製品カタログサイトやWeb上の製品データベースを構築する際、「カテゴリ構造をどう設計するか」は検索性と運用コストの両方に直結します。特にBtoBメーカーや技術商社では、製品点数が数百〜数万点になることも多く、最初の設計を誤ると後からのメンテナンスが非常に重くなります。
インテンスでは、製造業・部品メーカー・技術系サービスなどの案件で、製品カタログのカテゴリ構造をゼロから再設計することがよくあります。本記事では、その中でよく使うカテゴリ構造パターンを「テンプレート集」として整理し、設計時のたたき台として利用できる形でまとめます。
まず、製品カタログのカテゴリ設計がなぜ難しくなりがちかを整理します。
この結果、ユーザー視点の分類と社内都合の分類が混在し、カテゴリが増えすぎて誰も全体像を把握できない状態になりがちです。インテンスのプロジェクトでも、「カテゴリ数が数百を超え、どこに何があるか分からない」という相談は少なくありません。
最上位のカテゴリは、全体の骨格を決める重要なレイヤーです。代表的なパターンは次の通りです。
電機・機械系メーカーでよく使われる構造で、「何のジャンルの機器か」を起点にたどるパターンです。
ユーザーが「やりたいこと」ベースで探したい場合に有効で、引き合いの上流検討フェーズと相性が良い構造です。
業界ごとに要件が大きく異なる場合や、展示会・営業組織が業界別編成になっている企業で有効です。
多くの案件では、これらのうち 1〜2 パターンを「並列カテゴリ」として提供し、ユーザーが取りやすい入口を複数用意する構成をインテンスではよく採用しています。
トップカテゴリの下には、より具体的な分類を配置します。代表的なテンプレートをいくつか紹介します。
この構造は、「シリーズ単位で導入を検討する」BtoB製品でよく用いられます。シリーズページで特徴を説明し、その下に個別型番を一覧する形です。
「どの工程を自動化したいか」からスタートして機能カテゴリに落としていく構造で、ソリューションページと親和性の高い設計です。
業界別サイトや特設サイト側と連動させる場合、この3階層パターンで整理しておくと、後からのコンテンツ拡張もしやすくなります。
カテゴリ構造だけで全ての整理を行おうとすると、階層が深くなりすぎて破綻します。そこで、次のような情報はカテゴリではなく「タグ・属性」として扱うのが現実的です。
こうした属性は、カテゴリにするよりも「絞り込み条件」として扱った方が、検索性も保守性も高くなります。インテンスが構築する製品検索システムでも、カテゴリと属性の線引きを最初に整理することを強く推奨しています。
グローバル展開を視野に入れる場合、カテゴリ名や分類軸が各国サイトでどのように扱われるかも重要です。
後から海外サイトを作りたいという相談を受けることも多いため、初回設計の段階である程度「翻訳しやすい構造」にしておくと、将来の改修コストを抑えられます。
どれだけカテゴリ構造を整えても、運用ルールがなければすぐに崩れてしまいます。最低限、次のルールをテンプレートとして決めておくと運用が安定します。
インテンスとしては、カテゴリ構造を「一度作って終わりの静的なもの」ではなく、「運用しながら調整していく前提の設計」として捉えることを推奨しています。
製品カタログのカテゴリ構造は、ユーザーの探しやすさだけでなく、社内の運用しやすさ・今後の拡張性・グローバル展開のしやすさにも直結する要素です。
トップカテゴリの設計、第2・第3階層の構造、カテゴリと属性情報の役割分担、多言語展開を踏まえた命名といった観点をテンプレートとして押さえておくことで、大規模カタログでも破綻しにくい情報設計が可能になります。
インテンスでは、製品カタログ検索システムやWebデータベース構築のプロジェクトを通じて、こうしたカテゴリ構造の設計支援も行っています。自社カタログの整理に着手する際は、本記事のテンプレートをたたき台として活用しつつ、自社の製品構成・営業体制に合わせてカスタマイズしていくのが現実的なアプローチです。