BtoB向けサイトや技術系製品のカタログでは、「製品詳細ページの仕様表」が検索性と比較性の中心になります。ただし、パンフレットのスペック表をそのままWebに流し込むと、情報の粒度が不揃いになり、絞り込み検索や比較表にうまく活用できません。
インテンスでは、製品仕様をそのまま並べるのではなく、「項目の分解」と「意味単位での正規化」を行ったうえで仕様表を設計することを基本方針としています。本記事では、その具体的な分解手法を整理します。
最初のステップは、カタログや社内資料に散在している仕様情報の棚卸しです。ここでのポイントは「媒体ごとの差異」をあえて洗い出すことです。
この段階では「とにかく全部出す」ことを優先し、後で正規化する前提で情報を集約します。
次に、棚卸しした仕様項目を「意味単位」で分解します。複数の情報が1セルに詰め込まれている場合は、Web側で扱いやすい粒度に分割する必要があります。
こうした分解を行うことで、後の絞り込み検索や比較表で「温度上限だけでフィルタする」といった使い方が可能になります。
仕様表をシステムに載せる際は、「値」と「単位」を分けておくと柔軟性が上がります。
単位を分けることで、将来的な単位変換(kg → g)や、単位の表記変更にも対応しやすくなります。
仕様表は網羅性だけでなく、「比較軸」として何を重視するかが重要です。インテンスでは、営業・技術・マーケティングのメンバーとワークショップ形式で「ユーザーが実際に比べている軸」を洗い出すことが多くあります。
これらを優先して構造化し、「一覧画面」「絞り込み条件」「比較表」で同じ軸を使い回せるように設計すると、UXと運用効率が大きく改善します。
仕様表をそのまま1テーブルに詰め込むと、柔軟な拡張が難しくなります。項目数が多いBtoBカタログでは、以下のような構造を検討します。
このように正規化しておくことで、新しい仕様項目の追加や、シリーズ限定の仕様にも対応しやすくなります。インテンスでは、管理画面側もこの構造に合わせて設計し、「項目の追加・変更」をノーコードに近い操作で行えるようにするケースが増えています。
仕様表を細かく分解しすぎると、運用負荷が上がり、現場で維持できなくなるリスクがあります。分解はあくまで「検索・比較に使う軸」を中心に行い、それ以外はテキストのまま残す判断も現実的です。
この線引きを明確にしておくと、システム側の設計もシンプルになり、運用チームの負担も抑えられます。
製品詳細ページの仕様表は、単にカタログをWebに載せ替えるだけでは十分に機能しません。仕様情報の棚卸し → 意味単位への分解 → 比較軸の整理 → データ構造設計、というプロセスを踏むことで、検索性と運用性を両立した仕様表に近づきます。
インテンスでは、製品カタログのWeb移行や検索システム構築の際に、こうした分解プロセスをセットで行うことで、「見せるための仕様表」から「活用できる仕様データ」への転換を支援しています。