問い合わせ管理システムを導入する際、「どのような画面レイアウトにするか」は、 現場の使いやすさと運用定着率を左右する重要な要素です。 同じデータを扱っていても、一覧の見せ方や詳細表示の方法、集計情報の位置づけ次第で、 “見えてくるもの” と “行動につながる情報” は大きく変わります。
本記事では、BtoB向けの問い合わせ・案件管理を前提に、 よく使われるダッシュボード画面レイアウトのパターンと、その設計ポイントを整理します。
まず、問い合わせ管理ダッシュボードで最低限押さえておきたい情報を整理します。 どのレイアウトパターンを採用する場合でも、次の要素は何らかの形で表示されることが多いです。
これらを「一覧で俯瞰する部分」と「個別に詳細を見る部分」にどう分けるかが、 レイアウト検討の出発点になります。
もっともシンプルで汎用性が高いのが、いわゆるテーブル型の一覧レイアウトです。 行に案件、列に項目を並べて表示する構成で、Excel ベースの管理から移行する場合も違和感が少なく済みます。
テーブル型は「運用初期」や「既存 Excel 管理の置き換え」には向いていますが、 対応履歴やコメントを頻繁に見る場合は、詳細表示との組み合わせが重要になります。
問い合わせ件数が多い現場では、一覧と詳細を行き来する回数が増えます。 その際、別画面への遷移を繰り返すと、操作負荷が高くなりがちです。 そこで有効なのが、左側に一覧・右側に詳細を表示する「2ペインレイアウト」です。
当社でも、問い合わせ件数が多い BtoB サポート窓口では、 2ペイン型ダッシュボードを採用するケースが増えています。
案件の進捗やステータスの偏りを視覚的に把握したい場合は、 ステータスごとにカードを並べる「カンバン型レイアウト」が有効です。 列を「未対応」「対応中」「回答待ち」「完了」などに分け、 案件カードをドラッグ&ドロップで移動するスタイルです。
一方で、問い合わせ件数が膨大な場合は、 カンバン単体ではなく「テーブル型一覧+一部カンバン」のような併用構成も検討します。
ダッシュボードという名称から、グラフやチャートを多く並べたくなりますが、 問い合わせ管理では「日々のオペレーション」と「月次・週次の分析」は役割が異なります。
これらを一画面に詰め込みすぎると、かえって重要な情報が埋もれてしまいます。 運用に応じて、「オペレーション用ダッシュボード」と「分析用レポート画面」を分ける判断も有効です。
最近では、担当者が社外やリモート環境から問い合わせ状況を確認するケースも増えています。 その場合、PC前提のレイアウトだけを想定していると、スマートフォンでの閲覧性が悪くなります。
「すべてをモバイルで完結させる」のではなく、 「最小限の確認と一次対応ができる」レベルを狙うと現実的です。
問い合わせ管理ダッシュボードの画面レイアウトは、 テーブル型・2ペイン型・カンバン型・集計重視型など、業務の性質や件数によって適したパターンが異なります。 まずは「誰が、どの粒度で、何を見たいのか」を整理し、 一覧・詳細・集計・アラートの役割を分けたうえでレイアウトを設計することが重要です。
そのうえで、モバイル利用やチームでの進捗共有といった運用シーンを踏まえ、 現場の負荷を減らしつつ、対応漏れ・遅延を防ぐダッシュボード構成を検討していくとよいでしょう。