フォーム改善で最も悩ましいのが「必須項目の数をどこまで減らすべきか」という判断です。 少なすぎると業務で扱えず、多すぎるとユーザーが離脱します。 本記事では、インテンスでも実務で使っている情報整理ワークフローをもとに、必須項目を減らしつつ業務を破綻させない考え方を整理します。
項目が増えすぎる典型的な原因は、業務フローをそのままフォームに写経してしまうことです。 しかし、実際にフォームで集めるべきなのは、判断に必要な最小限の情報だけです。
たとえば見積依頼フォームであれば、次のように整理します。
この「判断基準の棚卸し」を行わないまま設計すると、 「一応聞いておきたい情報」が次々と必須項目になり、結果として離脱しやすいフォームになります。
次に、業務側が欲しい情報を、そのまま一問で書かせるのではなく、ユーザー負担を減らす形に分解していきます。
これにより、ユーザーは「何を書けば良いか」を迷わずに済み、入力時間も短縮できます。
特に BtoB では、詳細な条件は担当者とのヒアリングで詰めることが多いため、 フォーム側には「最初の振り分けに必要な情報」だけを載せる設計が現実的です。
必須項目を減らした結果、社内での確認作業が増えすぎると本末転倒です。 そのため、項目削減案を作ったあとは、必ず後工程のシミュレーションを行います。
ここで「やはり最初に聞いておくべき」と判断された情報だけを、必須項目として残していきます。 逆に、なくても大きな問題が起きない項目は、任意または後続ステップに回すのが基本方針です。
机上でいくら議論しても、実際の案件に当てはめてみないと見えない課題が必ず残ります。 そのため、項目を絞り込んだ段階で、試作フォームを作り、現場メンバーにレビューしてもらうことが重要です。
インテンスでも、この段階で想定外のパターンが多数見つかることが多く、 本番前に修正しておくことで、運用開始後の手戻りをかなり抑えられます。
同じ「見積依頼フォーム」「問い合わせフォーム」でも、業種によって必須項目の基準は大きく変わります。 ここでは代表的なパターンをいくつか挙げます。
製造業向けでは、「どこまでフォームで絞り込み、どこから営業が詰めるか」の線引きが重要です。 例えば、用途別の製品検索や技術資料ダウンロードを組み合わせた構成は、 製造業向けWebシステム活用アイデア でも紹介しているように、「フォームで最低限」「その後の画面で詳細を整理する」という役割分担を取りやすくなります。
ここでは、分類さえ正しくできれば、後工程での追加ヒアリングで十分対応できるケースが多くなります。
一度に多くを聞きすぎると、患者側の負担が大きくなり、入力途中で離脱されやすくなるため、段階的な設計が重要になります。
ここまでの内容を、実務で使えるフローとして整理すると次のようになります。
この流れを踏むことで、「とりあえず全部必須」から脱却しつつ、業務に耐えるフォーム設計がしやすくなります。 自社の業務フローだけでなく、業種別の活用例や画面構成を参考にしながら、フォームの役割を整理していくことが重要です。