問い合わせフォームの改善と言うと、項目数やUIの話になりがちですが、実務では 「文章の一言で送信率が変わる」 ケースが少なくありません。 本記事では、インテンスが BtoB サイトの改善で実際に試してきた、心理的抵抗を下げる文章設計のポイントを整理します。
フォームに辿り着いたものの、入力を始める前に離脱するユーザーは少なくありません。 多くの場合、「営業されそう」「きちんと準備しないといけなさそう」といった漠然とした不安が原因です。
その不安を和らげるために有効なのが、フォーム冒頭の短い前置き文です。
特に製造業やBtoB商材では、「詳細条件が決まってからでないと問い合わせてはいけない」と思い込んでいる見込み顧客が多く、 こうした一文があるだけで送信率が変わるケースを、インテンスでも何度も経験しています。
ユーザーは、「どの程度まで詳しく書く必要があるのか」が分からないと、負担感を強く感じます。 そこで有効なのが、“書かなくてよい情報” を先に示してしまう方法です。
「きれいな文章にまとめなくて良い」と明示することで、ユーザーは気軽に書き始めることができます。
電話番号や会社名など、ユーザーが慎重になりがちな項目については、「なぜ聞いているのか」という理由を短く添えるだけで印象が大きく変わります。
理由が分かれば、「不要な情報を集められているのでは?」という警戒心はかなり和らぎます。
自由記述欄では、「どの程度まで詳しく書くべきか」が分からないと手が止まりがちです。 そこで、悪い例と良い例をセットで見せると、ユーザーは「このくらいで良いのか」とイメージしやすくなります。
このように「短くて良い」ことを示すことで、心理的な負担を軽減できます。
送信ボタンを押す直前は、ユーザーの心理的負荷が最も高まるタイミングです。 ここで送信後に何が起こるかを明確に伝えると、不安が一気に下がります。
特に BtoB 向けの高単価商材では、「このあと営業がしつこく連絡してこないか」という不安が大きいため、 「しつこい営業は行っておりません」といった一文が有効な場面もあります。
心理的抵抗を下げるための言葉は、業種によっても変わります。 たとえば、製造業では「技術的な相談でも歓迎です」、卸売・商社では「少ないロットの相談でも対応します」といった一文が、背中を押す材料になります。
こうした「業種ごとの不安」を整理するには、 製造業向けWebシステム活用アイデア のような、課題と活用シーンをセットで整理したページがあると便利です。 フォーム単体ではなく、サイト全体の文脈の中で、どんな不安を解消すべきかを決めていくと設計がぶれにくくなります。
問い合わせフォームの心理的抵抗は、UIや項目数だけでなく、一文ごとの言い回しにも大きく左右されます。 冒頭の前置き文でハードルを下げ、センシティブな項目には理由を添え、送信後の流れを明示する。 こうした小さな工夫を積み重ねることで、問い合わせ数と内容の質を同時に高めることができます。