FAQ の内容そのものは悪くないのに、「どこに何があるか分からない」と言われてしまう。 BtoB サイトの改善で、インテンスがよく直面する課題のひとつです。 原因の多くは、FAQの分類が社内の部署構成やプロダクト構成に引きずられていることにあります。
よくある失敗パターンは、FAQが次のような分類になっているケースです。
これは社内の組織構造そのものですが、ユーザーは「自分がどの製品の担当部署にあたるのか」を必ずしも理解していません。 結果として、ユーザーは「どのカテゴリを見ればよいか」から迷い始めます。
ユーザー視点のFAQ分類を作るためには、まずユーザーの言葉で質問を並べるところから始めます。 問い合わせメール・チャットログ・営業日報などから、次のような「セリフ」を書き出します。
このセリフ群を眺めながら、 「内見のこと」「お金のこと」「契約手続きのこと」 といったように、ユーザーの関心ごとでカテゴリを切っていきます。
ユーザー視点の分類を作る際に有効なのが、次の三軸で質問を整理する方法です。
最終的なカテゴリとしては「目的×テーマ」のように組み合わせますが、整理の第一段階では、 「どの状況のユーザーが」「何を知りたくて」「どのテーマについて聞いているか」 を切り分けておくと、重複や漏れを見つけやすくなります。
FAQの現実的な運用では、「料金の話でもあり、解約の話でもある」といった質問が多数存在します。 このような場合、1つの質問を無理に1カテゴリに押し込めないことが重要です。
実装レベルでは、
といった構成にしておくと、ユーザーの探し方と社内の管理の両方を両立できます。
FAQの分類は、それ単体で完結させるのではなく、実際の導線と揃えることが大切です。 例えば不動産サイトであれば、物件検索画面やお問い合わせフォームの構成と、FAQのカテゴリをできるだけ近づけておきます。
「物件探し」「内見・来店」「契約・入居」「退去・解約」などの導線と FAQ の分類軸が揃っていると、 ユーザーは違和感なく目的の情報に辿り着けます。 このような「探し方」と「分類」を揃える考え方は、 不動産向けWebシステム活用アイデア のように、業界別に整理した導線設計とあわせて検討するとイメージしやすくなります。
社内報告や運用の都合で、「製品別」「部署別」の分類も必要になることがあります。 この場合、ユーザー視点の分類と社内分類を二階建て構造にするのが現実的です。
フロント側はあくまでユーザー視点で見せつつ、裏側では社内都合の分類で集計・管理を行うイメージです。
FAQ分類の正解は、事前に机上で決め切ることはできません。 一度分類案を実装したら、次のようなログを見ながら微調整していきます。
カテゴリ名を変えるだけで閲覧数が大きく変わることもあるため、「一度決めたら変えない」ではなく、 小さなABテストや名称変更を前提に設計しておくと運用しやすくなります。
FAQ分類をユーザー視点にするためには、社内の組織図やプロダクト構成から一度離れ、 ユーザーのセリフ・状況・目的からカテゴリを組み立て直す必要があります。 そのうえで、社内管理用の分類とは二階建てにし、ログを見ながら微調整を続ける。 こうしたプロセスを踏むことで、「あるのに見つからないFAQ」から、「自然に辿り着けるFAQ」へと近づいていきます。