BtoB の見積依頼では、フォームから送られてきた情報だけでは見積作成に必要な条件が揃わず、 担当者がメールや電話で「追加で ○○ を教えてください」と個別にヒアリングしているケースが少なくありません。 とくに製造業や卸売・商社、技術サービスなど、条件や前提が案件ごとに異なるビジネスでは、 この“追加情報のやりとり”がボトルネックになりがちです。
本記事では、見積依頼後に必要となる追加情報を、 できるだけ自動で・抜け漏れなく収集できるようにするための設計ポイントを整理します。 属人的なメール運用から一歩進めて、「オートメーションの仕組み」として組み込むための考え方です。
まず、見積依頼後の追加情報が発生する背景を、構造的に整理しておきます。 よくあるパターンは次のようなものです。
この状態で無理に見積を作ろうとすると、 「一度出した見積を後から修正する」「条件を聞き直す」といった手戻りが増えます。 その結果、見積スピードが落ち、案件温度が下がってしまうことも珍しくありません。
追加情報の取得を担当者ごとのメール運用に任せていると、次のような問題が起こります。
これらはすべて、営業・技術担当の生産性を下げるだけでなく、 顧客側から見た「レスポンスの速さ」「対応の分かりやすさ」にも直結します。 見積前後のやりとりを、できるだけシステム側で標準化しておく価値は大きいと言えます。
見積依頼後の追加情報取得をオートメーション化する際の、基本的な流れを整理すると次のようになります。
はじめから細かい条件までフォームに詰め込もうとすると、 入力負荷が高くなり、離脱率が上がります。 そこで、初回の見積依頼フォームでは、次のような「最低限これだけは欲しい」情報を必須とし、 それ以外は後続フローで取得する前提を置きます。
初回フォームの役割は「案件として成立するかどうかの判断」に必要な情報を押さえること、 詳細条件は後続の追加質問で詰める、という分担を意識します。
初回の見積依頼データをもとに、システム側で「何が不足しているか」を判定します。 例えば、次のような条件分岐を設けます。
この「不足情報ごとの質問テンプレート」をあらかじめ用意しておくことで、 担当者が毎回ゼロからメール文面を作る必要がなくなります。
不足情報がある場合は、案件IDと紐づいた追加入力フォームのURLを自動発行し、 メールで案内します。 ユーザーはメール内のリンクからフォームにアクセスし、必要な項目だけを追加入力するだけで済みます。
このとき、フォーム側で案件IDや検討中の製品カテゴリを事前に表示しておくと、 ユーザー側も「何についての追加質問なのか」を迷わず回答できます。
追加情報取得フォームは「負荷を増やさない」「分かりやすく答えられる」ことが重要です。
フォームの冒頭で、初回の見積依頼内容や、担当者が把握している前提条件を簡潔に再掲します。 ユーザーは「自分が何を依頼した案件なのか」を再確認できるため、回答ミスが減ります。
すべてを自由記入にすると比較・集計が難しくなり、 逆にすべてプルダウンやラジオボタンにすると、現場の実態に合わないケースが出てきます。 代表的な条件は選択式、それ以外は補足記入欄で受ける、というバランスが現実的です。
「追加で 10 問以上あるのでは」とユーザーに警戒されないよう、 フォーム冒頭に「回答目安:2〜3分」などの情報を添えるだけでも、完了率が上がります。 実際に入力項目数が多くなる場合は、セクション分割やステップ表示も有効です。
追加情報をオートメーションで集めるだけではなく、 問い合わせ管理ダッシュボードやステータス管理と連携させることで、運用が安定します。
インテンスでも、こうした連携を行うことで、 「誰が、どの案件で、どの情報を待っているのか」を一目で把握できる構成を採用することが多くなっています。
見積依頼後の追加情報取得オートメーションは、 とくに製品点数が多く、条件の組み合わせが複雑になりがちな BtoB 企業で効果を発揮します。 例えば卸売・商社のように、メーカー・顧客・自社在庫の情報が交差する業態では、 見積前後の情報整理を仕組み化することで、営業現場の負荷を大きく下げられます。
当社では、こうした「どの業務をどこまでシステム化できるか」をイメージしていただくために、 卸売・商社向けの Web システム活用例もまとめています。
卸売・商社(BtoB企業)向けWebシステム活用アイデア では、 製品検索、見積依頼、在庫確認、取引先ごとの条件管理など、 周辺業務も含めた活用イメージをご紹介しています。 「自社の見積フローにも応用できそうか」を検討する際の材料としてご覧いただけます。
見積依頼後の追加情報取得をオートメーション化することで、 担当者が毎回メールで条件を聞き直す負荷を減らしつつ、見積スピードと精度を高めることができます。 初回フォームでは「最低限の必須情報」に絞り、 不足分は条件分岐された追加質問テンプレートと専用フォームで自動取得する—— という役割分担を設計することがポイントです。
さらに、問い合わせ管理ダッシュボードやステータス管理と連携させることで、 「どの案件が、どの情報待ちなのか」をチーム全体で共有しやすくなります。 自社の業種・商材特性に合わせて、追加情報のパターンと質問項目を整理し、 業務フロー全体の中にオートメーションを組み込んでいくことが重要です。