Web 上の製品カタログを「単なる PDF 置き場」や「型番一覧」で終わらせず、 用途や条件から絞り込める検索にしていくうえで、最初の論点になるのがカテゴリ設計です。 どの軸で製品群を分けるかによって、「探しやすさ」と「説明のしやすさ」が大きく変わります。
本記事では、BtoB の製品カタログ検索を前提に、 シリーズ別・用途別・仕様条件別といったカテゴリ設計のパターンと、 実務でよく起きる悩みどころを整理します。
カテゴリ設計に入る前に、次の3つの視点を整理しておくと、後戻りが少なくなります。
例えば、技術者が「使用温度」「材質」「規格」から絞り込みたい場面と、 購買担当が「既存の型番に近い代替品」を探したい場面とでは、適切なカテゴリの切り方が異なります。
まず検討されやすいのが、「シリーズ名・製品ライン名」をベースにしたカテゴリ構造です。 カタログ構成や社内の呼び方と整合が取りやすい一方で、ユーザー側には馴染みがないケースもあります。
シリーズ別カテゴリは、「製品に詳しいユーザー」や「営業・代理店向け」の導線としては有効ですが、 初めて検討する見込み顧客向けには別の軸も用意しておく必要があります。
ユーザー側が「どんな場面で使いたいか」から製品を探すケースが多い場合は、用途別カテゴリが有効です。
用途別カテゴリでは、カテゴリ名そのものが「現場の課題・ニーズ」を表すように設計すると、 製品名や型番を知らなくても入口として機能します。 一方で、用途の区切り方が曖昧だと「どこに属するのか」が迷子になりやすいため、 営業・技術・マーケティングで事前にすり合わせておくことが重要です。
仕様条件(サイズ・電圧・温度範囲・認証規格など)が重要な商材では、 カテゴリと絞り込み条件の役割分担を明確にする必要があります。
カテゴリに仕様条件をすべて詰め込んでしまうと、 「カテゴリ数が爆発する」「どこに属させるか分からない製品が増える」といった問題が起きます。 仕様はあくまで数値・フラグでフィルタリングし、カテゴリは「入り口の分かりやすさ」に集中させる方が運用しやすくなります。
実務では、「シリーズ別」「用途別」「仕様条件別」を1つに決めるのではなく、 複数軸を併用する構成がよく採用されます。
このように、「どの階層で何を決めるか」をはっきりさせることで、 ユーザーが迷わずに絞り込みを進められるようになります。
製造業では、製品点数が多く、仕様条件の組み合わせも多岐にわたるため、 カタログ検索のカテゴリ設計がサイトの使いやすさに直結します。 用途別・シリーズ別・仕様別のどの軸を「入口」にするかは、 実際の営業・技術問い合わせの現場で使われている言葉をベースに検討する必要があります。
こうした「探しやすさ」「説明のしやすさ」を高めるための Web システム活用例として、 製造業向けWebシステム活用アイデア のような業種別ページでは、製品カタログ検索や技術資料ダウンロードなど、周辺機能を含めた構成イメージを紹介しています。 自社の製品構成に近いかを確認しながら、カテゴリ設計のヒントとして参照するケースもあります。
製品カタログ検索のカテゴリ設計では、 「社内のカタログ構成」と「ユーザーの探し方」の両方を満たすバランスが求められます。 シリーズ別・用途別・仕様条件別といった軸を組み合わせつつ、 どの階層で何を決めるかを明確にしておくことで、探しやすく運用しやすい構成に近づきます。
まずは現状の問い合わせ内容や営業現場のヒアリング結果をもとに、 ユーザーが実際に使っている言葉・切り口を洗い出し、試作版のカテゴリ構成を作ってみることが第一歩です。 そのうえで、絞り込み条件・検索UIと合わせて、段階的にチューニングしていくと良いでしょう。