製品カタログ検索のカテゴリ設計パターン

Web 上の製品カタログを「単なる PDF 置き場」や「型番一覧」で終わらせず、 用途や条件から絞り込める検索にしていくうえで、最初の論点になるのがカテゴリ設計です。 どの軸で製品群を分けるかによって、「探しやすさ」と「説明のしやすさ」が大きく変わります。

本記事では、BtoB の製品カタログ検索を前提に、 シリーズ別・用途別・仕様条件別といったカテゴリ設計のパターンと、 実務でよく起きる悩みどころを整理します。

この記事の対象読者
・製造業・BtoB向けの製品サイトを運営している担当者
・「製品が多すぎて、ユーザーが目的のものにたどり着きにくい」と感じている方
・既存カタログ PDF を検索可能な Web カタログに移行したい企画・マーケティング部門

1. カテゴリ設計の前に確認しておきたい 3 つの視点

カテゴリ設計に入る前に、次の3つの視点を整理しておくと、後戻りが少なくなります。

例えば、技術者が「使用温度」「材質」「規格」から絞り込みたい場面と、 購買担当が「既存の型番に近い代替品」を探したい場面とでは、適切なカテゴリの切り方が異なります。

2. シリーズ別カテゴリ:社内都合とのバランス

まず検討されやすいのが、「シリーズ名・製品ライン名」をベースにしたカテゴリ構造です。 カタログ構成や社内の呼び方と整合が取りやすい一方で、ユーザー側には馴染みがないケースもあります。

2-1. シリーズ別のメリット

2-2. 課題・注意点

シリーズ別カテゴリは、「製品に詳しいユーザー」や「営業・代理店向け」の導線としては有効ですが、 初めて検討する見込み顧客向けには別の軸も用意しておく必要があります。

3. 用途別カテゴリ:現場の課題から入る導線

ユーザー側が「どんな場面で使いたいか」から製品を探すケースが多い場合は、用途別カテゴリが有効です。

3-1. 用途別カテゴリの例

用途別カテゴリでは、カテゴリ名そのものが「現場の課題・ニーズ」を表すように設計すると、 製品名や型番を知らなくても入口として機能します。 一方で、用途の区切り方が曖昧だと「どこに属するのか」が迷子になりやすいため、 営業・技術・マーケティングで事前にすり合わせておくことが重要です。

4. 仕様条件別カテゴリ:絞り込み条件との組み合わせ

仕様条件(サイズ・電圧・温度範囲・認証規格など)が重要な商材では、 カテゴリと絞り込み条件の役割分担を明確にする必要があります。

カテゴリに仕様条件をすべて詰め込んでしまうと、 「カテゴリ数が爆発する」「どこに属させるか分からない製品が増える」といった問題が起きます。 仕様はあくまで数値・フラグでフィルタリングし、カテゴリは「入り口の分かりやすさ」に集中させる方が運用しやすくなります。

5. 複数軸を併用する場合の設計パターン

実務では、「シリーズ別」「用途別」「仕様条件別」を1つに決めるのではなく、 複数軸を併用する構成がよく採用されます。

5-1. 代表的な構成例

このように、「どの階層で何を決めるか」をはっきりさせることで、 ユーザーが迷わずに絞り込みを進められるようになります。

6. 製造業向けの活用イメージ

製造業では、製品点数が多く、仕様条件の組み合わせも多岐にわたるため、 カタログ検索のカテゴリ設計がサイトの使いやすさに直結します。 用途別・シリーズ別・仕様別のどの軸を「入口」にするかは、 実際の営業・技術問い合わせの現場で使われている言葉をベースに検討する必要があります。

こうした「探しやすさ」「説明のしやすさ」を高めるための Web システム活用例として、 製造業向けWebシステム活用アイデア のような業種別ページでは、製品カタログ検索や技術資料ダウンロードなど、周辺機能を含めた構成イメージを紹介しています。 自社の製品構成に近いかを確認しながら、カテゴリ設計のヒントとして参照するケースもあります。

まとめ

製品カタログ検索のカテゴリ設計では、 「社内のカタログ構成」と「ユーザーの探し方」の両方を満たすバランスが求められます。 シリーズ別・用途別・仕様条件別といった軸を組み合わせつつ、 どの階層で何を決めるかを明確にしておくことで、探しやすく運用しやすい構成に近づきます。

まずは現状の問い合わせ内容や営業現場のヒアリング結果をもとに、 ユーザーが実際に使っている言葉・切り口を洗い出し、試作版のカテゴリ構成を作ってみることが第一歩です。 そのうえで、絞り込み条件・検索UIと合わせて、段階的にチューニングしていくと良いでしょう。

本記事は、Webシステム開発・スマホ自動変換「movo」・業務システム構築・フォームUX改善・EC支援を提供する 株式会社インテンスが、実際の開発プロジェクトで蓄積した知見をもとにまとめています。 株式会社インテンス(公式サイト)