数値条件の絞り込みUI(スライダー・範囲指定)の設計

製品検索や物件検索、在庫検索などの画面では、「価格」「面積」「温度範囲」「出力」など、 数値条件で絞り込みたいニーズがよく登場します。 このとき、単純なテキストボックスだけで入力させると、ユーザーにとって分かりにくく、 入力ミスも増えがちです。

本記事では、BtoB 向けの検索画面を想定しつつ、 数値条件の絞り込みUIを設計する際の考え方と、スライダー・範囲指定・プリセットボタンの組み合わせパターンを整理します。

この記事の対象読者
・製品検索・物件検索・在庫検索などの画面を設計している担当者
・数値条件の入力UIが分かりにくく、問い合わせやミスが多いと感じている方
・BtoBシステムで、仕様条件やスペックによる検索を実装したい企画・情報システム部門

1. 数値条件の絞り込みでよくあるつまずきポイント

まず、数値条件の絞り込みでユーザーがつまずきやすいポイントを整理します。

これらは UI 側である程度吸収できるため、設計段階で意識しておくことが重要です。

2. スライダーと範囲指定入力の役割分担

数値条件の絞り込みでよく検討されるのが、「スライダーで指定させるか」「最小値/最大値の入力ボックスにするか」です。 それぞれの得意・不得意を整理しておきます。

2-1. スライダーの特徴

一方で、きっちりした数値(例:101.3kPa など)を指定するには向きません。 また、レンジが広すぎると操作が難しくなるため、 「おおよその価格帯」「おおよその面積」のような用途に絞るのが現実的です。

2-2. 最小値/最大値入力の特徴

ただし、ユーザーが「どの範囲で指定すれば良いか」を知らない場合、 空欄のままになったり、極端な値を入力してしまうことがあります。 そのため、プレースホルダや範囲表示などでガイドする工夫が必要です。

3. 組み合わせパターン:スライダー+テキストボックス

実務では、スライダーとテキストボックスを組み合わせるパターンがよく使われます。 スライダーでざっくりと範囲を指定しつつ、テキストボックスで細かい微調整も可能にする構成です。

この場合、スライダーのハンドルを動かしたときにテキストボックスの値も連動させるなど、 両者の同期を丁寧に作り込むことが、使いやすさに直結します。

4. プリセットボタンで「よく使う条件」をショートカット

BtoB の現場では、数値条件もある程度パターン化されていることが多く、 「よく使う条件」が存在します。 例えば、物件検索であれば「〜50㎡/50〜100㎡/100㎡以上」、 製造設備の検索であれば「標準ライン向け/大型ライン向け」といった区切り方です。

このような場合、スライダーやテキスト入力だけでなく、 よく使う条件をプリセットボタンとして用意しておくと、操作が大幅に楽になります。

プリセットは、営業・現場担当からヒアリングした「実際によく使う区切り」をベースに設計すると効果的です。

5. 入力エラーとバリデーションの設計

数値条件では、「最小値 > 最大値」や「範囲外の値」などの入力エラーが起こりやすくなります。 これを放置すると、「検索結果がゼロ」「想定外の結果になる」といったユーザー体験の悪化につながります。

入力エラーを「ユーザーのミス」と捉えるのではなく、 UI 側でいかに吸収するかを前提にバリデーションを設計すると、問い合わせも減りやすくなります。

6. 不動産・物件検索での活用イメージ

不動産・物件検索のように、「価格」「面積」「築年数」「駅からの所要時間」など、 数値条件が多く登場する領域では、スライダー・範囲指定・プリセットの組み合わせが特に重要です。 エンドユーザーだけでなく、営業担当が社内で物件を選定する場面でも、 使いやすい絞り込み UI が業務効率に直結します。

こうした「条件を指定して探す」UI を、問い合わせフォームや資料請求導線などと組み合わせて活用する例として、 不動産向けWebシステム活用アイデア のような業種別活用ページでは、検索・問い合わせ・資料DL を一体にした構成イメージをまとめることが多くなっています。 自社の数値条件をどのように画面に落とし込むか検討する際のヒントになります。

まとめ

数値条件の絞り込みUIを設計する際は、スライダー・最小値/最大値入力・プリセットボタンなどのパーツを、 「ユーザーがどの程度条件を把握しているか」「どれくらい正確さが求められるか」に応じて組み合わせることが重要です。 また、単位の明示・有効範囲のガイド・エラー時の挙動など、細部の設計が使いやすさに直結します。

自社の業務領域でよく使われる数値条件を洗い出し、 実際の利用シーンをイメージしながら UI パターンを選択・組み合わせていくことで、 検索の敷居を下げつつ、必要な条件で絞り込める画面設計に近づけることができます。

本記事は、Webシステム開発・スマホ自動変換「movo」・業務システム構築・フォームUX改善・EC支援を提供する 株式会社インテンスが、実際の開発プロジェクトで蓄積した知見をもとにまとめています。 株式会社インテンス(公式サイト)