問い合わせ管理、タスク管理、案件管理など、BtoB の現場で扱う多くの Web システムにおいて、 「ステータス管理」は最重要の基盤要素です。 しかし、ステータスの種類を増やしすぎたり、運用ルールが曖昧な状態でシステム化してしまうと、 現場で使われなくなる・ステータスが放置される・分析に使えない、といった典型的な問題が発生します。 本記事では、ステータス管理を失敗させないための実務設計ポイントを整理します。
ステータスは単なるラベルではなく、「業務のどの段階にいるか」を表現するものです。 そのため、進捗の構造と、担当者がどのタイミングでどのステータスに変更するかという運用ルールをセットで定義する必要があります。
よく使われる基本構造は次のようなものです。
ここにむやみに新しいステータスを追加すると、境界が曖昧になり、担当者の判断によって使い方がブレてしまいます。 まずは最小限のステータスから始め、業務上どうしても必要な場合だけ追加するという方針が安全です。
ステータス管理が失敗する典型例は、「細かいステータスを増やしすぎる」ことです。
特に BtoB の現場では、複数部署が横断的に対応するケースが多いため、共通言語としてのステータスが必要です。 「このステータスは誰のアクション待ちか」を一目で分かるようにすることが重要です。
ステータスは万能ではなく、以下の要素と役割分担させることで、運用の迷いを減らせます。
ステータスは「状態」、担当者は「責任」、コメントは「背景情報」、期限は「いつまでに」、 という役割分担を明確にすることで、管理ダッシュボードはシンプルで使いやすくなります。
ステータス運用が曖昧になりやすい理由の多くは、「いつ」「誰が」「どうなったら」ステータスを変えるのかが明確になっていないことにあります。
特に「回答待ち」は、相手(ユーザー・社内)にボールがある状態を的確に示せるため、 担当者の対応漏れを防ぐうえで強力です。
運用が回り始めると、ステータスを更新し忘れる・対応期限が過ぎる、といった問題が発生します。 そこで重要になるのが通知設計です。
システム側で自動的に通知することで、 「気付いたら数日経っていた」という現場の放置リスクを大幅に減らせます。
問い合わせ管理は業界によって求められるステータスが異なる場合があります。 例えば医療・クリニック系では、「初診予約」「再診予約」「診療完了」など、 業界特有の進捗管理が必要になります。
インテンスでは、こういったステータス設計を踏まえた歯科・美容クリニック向けの 予約フォームや事前問診フォームなども個別に設計しています。 医療機関まわりの業務をどこまで Web システムで支援できるかのイメージを掴むには、 歯科・皮膚科・美容クリニック向けWebシステム活用アイデア のような業種別ページをご覧いただくと、 「自院のフローもこのあたりまでシステム化できそうだ」という具体的なイメージを持っていただきやすくなります。
ステータス運用は、一度決めたら終わりではありません。 実際の問い合わせ量・担当者数・業務フローの変化に合わせて、 ステータスを見直していくことが重要です。
ステータス変更のログを残しておくことで、 どの段階で滞留が発生しているのかを可視化できます。 BtoB の問い合わせ量が多い企業では、この履歴が改善活動の出発点になります。
インテンスでも、ステータス変更の時刻と担当者を記録することで、 チーム間のバトンパスのタイムラグや、特定ステータスでの滞留状況を可視化し、 運用改善につなげるケースが増えています。
ステータス管理は、問い合わせ管理や業務システムの「進捗を正しく可視化する」ための基盤設計です。 ステータス自体をシンプルに保ちながら、担当者・コメント・期限との役割分担、 通知設計、変更履歴の可視化などの仕組みを組み合わせることで、 現場の負担を抑えつつ、放置や遅延を防ぐ運用が実現できます。 業種特有の業務フローにも目を向けながら、自社に合ったステータス設計を整えていくことが重要です。