電子帳簿保存法に沿った証憑管理|領収書・請求書の回収・検索・訂正履歴の設計
証憑が増えるほど、税理士事務所の作業は「仕訳」より先に「探す」に持っていかれます。
顧問先ごとに提出方法が違うままだと、回収口が散る/分類が揺れる/差し戻しが埋もれるが起きがちです。
電子帳簿保存法の“考え方”に沿って、証憑を集める・見つける・直すを崩れにくくする設計を整理します。
このページの要点
・提出ルート(メール・チャット・紙)を“統一”してから整える
・分類は「月×区分×取引先」など、迷いにくい軸に寄せる
・検索性(後で見つかる)と、訂正・削除履歴(後で説明できる)を両立する
・差し戻し理由をテンプレ化して、戻りを速くする
1. 提出方法がバラバラだと、検索の前に破綻する
証憑管理で最初にやるべきは、保管ルールより「入口」を揃えることです。
入口が散ると、どんなに良い分類を作っても、提出が迷子になって回りません。
- メール添付:スレッドが増え、最新版が迷子になりやすい
- チャット:送った本人は分かるが、後から探す人が困る
- 紙:入力は楽でも、共有・検索・差し戻しが重い
入口の現実的な落とし所
「提出口を1つにする」だけで一段変わります。最初から全顧問先を一律にせず、移行できる顧問先から段階的に揃える方が続きます。
2. 分類の基本は「迷わない軸」を先に決める
分類を細かくしすぎると、入力が止まります。まずは、誰が見ても同じ判断になりやすい軸から始めます。
- 月(対象期間):例)2026年01月
- 区分:売上/仕入/経費/給与/その他
- 取引先(任意):同名・表記ゆれ対策は後で効く
「現場が入力できる粒度」で止めておく方が、結果的に精度が上がります。
3. “検索できる”状態を作るための項目設計
証憑は、後からの問い合わせ(税務調査対応や顧問先からの質問)で探すことが多いです。
そのため、ファイル名任せにせず、最低限の検索キーを持たせた方が強いです。
- 対象期間(年月)
- 区分(売上/仕入/経費…)
- 金額(手入力でなくても、入力できる形に)
- メモ(短文:例「ETC」「家賃」など)
4. 訂正・削除の扱いは「上書きしない」が基本
証憑管理は、後からの説明が必要になることがあります。上書きすると、なぜ変わったかが追えません。
- 差し替え:最新版+履歴(旧版)を残す
- 削除:論理削除(非表示)で「誰がいつ」をログに残す
- 差し戻し:理由をテンプレ化(不足/不鮮明/期間違い/重複など)
細かい要件はケースで変わるため、ここでは一般的な設計観点としてまとめています。実装時は顧問先の運用実態と合わせて決めるのが安全です。
5. 事務所側は「顧問先別」より「未処理別」が効く
証憑は溜まると処理が止まります。事務所側の一覧は、顧問先別よりも「未確認」「差し戻し中」「承認待ち」を先に見せる方が現場は動きます。
- 未確認(新着)
- 差し戻し中(顧問先の対応待ち)
- 確認済(処理済み)
まとめ
証憑管理は、ルールを増やすより「入口を揃える」「迷わない分類」「検索キー」「履歴」の4点を揃える方が先です。
税理士業務のDXを進めるときは、証憑の回収と差し戻しが整うだけでも、日々の消耗がはっきり減ります。
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