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税理士業務の「顧問先ポータル」と業務進捗の見える化

税理士事務所・税理士法人では、顧問先とのやり取りや年末調整・申告業務が、メール・紙・電話・チャットなどに分散しやすくなります。
このページでは、「顧問先からの相談・依頼」「年末調整の資料回収」「試算表やレポートの共有」「申告・納付期限の管理」「職員のタスク進捗」を、Webシステム上で整理していくための考え方と画面構成イメージをご紹介します。

税理士業務の「顧問先ポータル」と業務進捗の見える化

こんな税理士事務所・税理士法人の方に向いています

  • 顧問先からの相談・依頼がメール・電話・チャットに散らばり、「誰が何を持っているか」が分かりにくい。
  • 年末調整や法定調書の資料回収が、Excelや紙・PDFのメール添付中心で毎年バタバタしてしまう。
  • 試算表や月次レポートを顧問先に共有しているが、「どこに置いたか」「どこまで見てもらえたか」が追いにくい。
  • 申告・納付期限のスケジュールが、人の頭や個人カレンダーに依存しており、事務所全体で一覧しづらい。
  • 職員ごとの担当件数やタスクの偏りが見えにくく、繁忙期の残業・負荷調整に苦労している。
  • 既存のグループウェアやファイルサーバーを使っているが、「税理士業務ならでは」の管理がしにくいと感じている。

このページで扱うシーン →ダッシュボードの画面イメージへ

現場で起きがちな運用上の課題

パターン1: 顧問先とのやり取りがツールごと・担当者ごとに分散

顧問先からの質問や依頼が、メール・電話・チャット・FAXなど複数チャネルで入ってきて、担当者の受け皿に依存しているケースです。
「どこまで対応したか」「誰がボールを持っているか」を事務所全体で把握しづらく、抜け漏れチェックや引き継ぎに余計な時間がかかりがちです。

パターン2: 年末調整・申告業務の進捗が“担当者の頭の中”にしかない

年末調整や法人・個人の申告業務の進捗が、担当者ごとのExcelやメモで管理されており、所長・マネージャー視点で全体を俯瞰しづらい状況です。
繁忙期になると、「どの顧問先がどこまで終わっているか」「期限が迫っているのはどこか」を把握するための確認作業そのものが負担になりがちです。

パターン3: 顧問先ごとの契約内容・業務範囲が整理されておらず、“言った・言わない”になりやすい

顧問先ごとの料金や業務範囲、オプション業務の有無が、契約書や見積書のファイルにしか記録されておらず、職員全員が共通認識を持ちにくいケースです。
新しい担当者が引き継いだときに、「どこまで含まれている契約か」を確認するのに時間がかかったり、顧問先との認識差がトラブルにつながることがあります。

パターン4: 職員ごとのタスク量や残業見込みが見えず、繁忙期の負荷分散が難しい

それぞれの担当者が真面目にこなしていても、「誰にどれだけ仕事が偏っているか」「今週・来週の余裕がどの程度あるか」が数字で見えない状態です。
結果として、負担の大きい職員に仕事が集中したり、ギリギリになって他のメンバーにヘルプをお願いする形になりがちです。

ダッシュボード(管理画面)構成イメージ集

シーン1

顧問先からの相談・依頼を案件(チケット)化して進捗を管理したい

顧問先からの相談・依頼を、メールではなく専用フォーム経由で受け付け、案件(チケット)として管理するイメージです。

  • 顧問先名・担当者名・連絡先
  • 相談の区分(税務相談/節税提案/資金繰り/相続・事業承継 など)
  • 内容の概要と希望する回答期限
  • 担当税理士・担当職員のアサイン状況
  • ステータス(受付/対応中/顧問先確認中/完了 など)

顧問先ごと・担当者ごと・案件の種類ごとに絞り込める一覧を用意しておくことで、「今どの顧問先からどんな相談が来ているか」「誰がボールを持っているか」が一目で分かるようになります。

画面イメージ:顧問先からの相談・依頼受付フォーム+チケット一覧

画面構成イメージはPCからご覧ください。

シーン2

年末調整・法定調書の資料回収状況を一目で確認したい

年末調整や法定調書の資料回収状況を、顧問先ごとに一覧できるポータル画面のイメージです。

  • 顧問先ごとの年末調整対象人数・対象従業員リスト
  • 源泉徴収票・保険料控除証明書などの提出状況
  • 顧問先側の入力フォーム(従業員情報の登録・修正)
  • 事務所側のチェック状況・差戻しコメント
  • 進捗ステータス(資料回収中/事務所処理中/完了)

顧問先ごとに「何が提出済みで、何が未済か」を色分けしておくことで、繁忙期でも優先すべき顧問先を見極めやすくなります。
顧問先側には、「あと何パーセント残っているか」が分かる簡易な進捗メーターを出すイメージです。

画面イメージ:年末調整・法定調書ポータル(顧問先別の資料提出状況一覧)

画面構成イメージはPCからご覧ください。

シーン3

月次試算表やレポートを顧問先ごとに安全に共有したい

月次試算表やレポートを、顧問先専用のポータル画面からダウンロード・閲覧できるようにするイメージです。

  • 顧問先ごとの「ファイルボックス」(試算表PDF・グラフ・コメント付きレポート)
  • 閲覧履歴(誰がいつどのファイルを開いたか)
  • 簡単なチャット欄やコメント欄(試算表への質問・補足説明)
  • 重要指標(売上・利益・資金繰りなど)の簡易ダッシュボード

メール添付ではなくポータル経由で共有することで、誤送信リスクの低減や、過去分を含めた「どこに何があるか」の整理がしやすくなります。
所長・担当者視点では、「今月分をアップしていない顧問先」「閲覧されていない顧問先」を一覧することもできます。

画面イメージ:顧問先ごとの月次レポート共有ダッシュボード

画面構成イメージはPCからご覧ください。

シーン4

税務申告・納付期限を事務所全体で見える化したい

法人税・消費税・所得税・償却資産税などの申告・納付期限を、顧問先ごとに整理したカレンダービューのイメージです。

  • 税目ごとの申告・納付期限(自動計算 or マスタ登録)
  • 顧問先ごとの対象税目・対象期
  • 業務ステータス(資料回収中/申告書作成中/チェック中/電子申告済/納付確認済 など)
  • 期限までの残日数や、期限超過のアラート表示

月ごとに「今月の山場」がどこにあるか、誰がどの申告を担当しているかを一覧できることで、早めの段取りや職員間のヘルプ調整がしやすくなります。

画面イメージ:税務申告・納付期限カレンダー(税目別・顧問先別の進捗一覧)

画面構成イメージはPCからご覧ください。

シーン5

顧問先ごとの業務メニュー・料金・対応履歴を整理したい

顧問先ごとの「契約メニュー」と「対応履歴」を1画面で確認できる管理画面のイメージです。

  • 月次顧問・決算申告・給与計算・年末調整・資金繰り支援などの業務メニュー
  • 料金・請求サイクル・更新月・値上げ履歴
  • 主担当税理士・サブ担当職員
  • 最近の主要な対応履歴(スポット相談・資料作成など)

顧問先からの相談に対して、「契約範囲内かどうか」「オプション提案の余地があるか」をその場で判断しやすくなります。
新しい担当者が引き継ぐ際にも、過去のやり取りを時系列で追いやすくなる構成です。

画面イメージ:顧問先別の業務メニュー・料金・対応履歴ビュー

画面構成イメージはPCからご覧ください。

シーン6

職員ごとのタスク進捗と負荷状況をダッシュボードで把握したい

事務所内のタスクを職員ごとに集約し、「誰にどれだけ仕事が載っているか」を見える化するダッシュボードのイメージです。

  • 職員ごとの担当顧問先数・未完了タスク数
  • 今週・来週の申告・年調タスク件数
  • 想定残業時間・混雑度(色分け)
  • 直近数週間のタスク完了件数の推移

所長・マネージャー視点で、早めに負荷の偏りに気付けるようにしておくことで、「ギリギリになってヘルプ要請」ではなく、前倒しのタスク配分がしやすくなります。

画面イメージ:職員別タスク進捗・負荷ダッシュボード

画面構成イメージはPCからご覧ください。

Webシステムでどう楽にしていけるか

  1. 1. 顧問先からの相談・依頼を「チケット」として一元管理

    メールや電話ベースのやり取りを残しつつも、最終的には顧問先・案件単位のチケットとして整理することで、「抜け漏れがないこと」を一覧で確認できるようにします。
    ステータスや担当者を固定のマスタで管理しておくことで、担当交代時もスムーズに引き継げます。

  2. 2. 年末調整・申告業務の進捗をフォーム+一覧で標準化

    すでにお使いのExcelやチェックリストの項目を、Webフォームと管理画面に落とし込むイメージで設計します。
    いきなり全顧問先を移行せず、まずは一部の顧問先・一部の税目から試し、運用になじんだ段階で範囲を広げていく進め方が現実的です。
    また、現在お使いの税務・会計システム(申告ソフト・会計ソフトなど)から出力されるCSVや、書式が決まったテキストデータに合わせて項目を揃えておくと、
    Web側で集めたデータを、そのまま取り込みやすい形に整えられます。二重入力を減らしつつ、既存システムとの連携を前提に設計していきます。

  3. 3. 顧問先ポータルで「見せる情報」と「所内専用情報」を分けて管理

    顧問先向けには、試算表・レポート・進捗ステータス・コメントなど、見せても良い情報だけを出すポータルを用意します。
    所内では、より詳細なメモや内部用のメモ欄を持たせつつ、同じ案件を見ていることが分かる設計にしておきます。

  4. 4. 期限カレンダーとタスクダッシュボードを最初から意識した項目設計

    カレンダーやダッシュボードを後付けで作るのではなく、「税目」「期」「申告区分」「期限」「担当者」「ステータス」といった軸を最初からデータ項目として持たせます。
    これにより、システム側での自動集計やアラート表示が行いやすくなります。

  5. 5. 職員の負荷状況を「なんとなく」ではなく数字で把握

    タスク1件1件を細かく登録するところまで求めずとも、「顧問先×期×税目」レベルでの単位にまとめることで、負荷の見える化としては十分です。
    所長・マネージャーが画面を見れば、今週・来週どこが危ないかが分かる状態を目指します。

小さく始めるならどこからか

税理士業務は範囲が広く、すべてを一度に整理しようとすると進みにくくなります。
初期段階では、次の 2〜3 点に絞ってスタートするケースが多いです。

  • 顧問先からの相談・依頼を受け付ける簡易フォームと、チケット一覧画面。
  • 年末調整または特定の税目(たとえば消費税)の進捗管理表をWeb化した画面。
  • 一部の顧問先向けに、試算表PDFを載せるシンプルなポータル画面。

こうした小さな単位でも、「どの顧問先で何が起きているか」「どこにボトルネックがあるか」が見えやすくなります。
そのうえで、顧問先ポータル全体や申告期限カレンダー、職員ダッシュボードなどは、実際の運用を見ながら段階的に広げていく形が現実的です。

ご相談いただくときのポイント

ご相談時には、次のような情報があると話を進めやすくなります。

  • 現在お使いの進捗管理表(年末調整・申告スケジュールなど)のサンプル。
  • 顧問先とのやり取りで使っているフォーマット(相談受付シート、チェックリストなど)。
  • まずは整理したい対象(年末調整/法人税申告/相続・事業承継支援など)の優先順位。
  • 所内のどのメンバーまで関わって検討したいか(所長・マネージャー・担当職員など)。

現在の運用を前提にしながら、「どこをWebで支えると効きそうか」を一緒に整理するスタンスです。
士業全体としての活用イメージは、 士業向けWebシステム活用アイデア にまとめていますので、あわせてご覧ください。

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