エラーメッセージ設計の実務ガイド(離脱を減らす文言と表示位置)

フォーム改善というと「項目数を減らす」「ステップを分割する」などが注目されがちですが、 実務で効いてくるのはエラーメッセージの設計です。 同じバリデーションでも、文言や表示位置が悪いだけで、ユーザーは簡単に離脱してしまいます。

このページでは、問い合わせフォーム・資料請求フォーム・予約フォームなどで共通して使える、 エラーメッセージ設計の実務ポイントを、「文言」「表示位置」「タイミング」「運用」の4つの観点から整理します。

この記事で目指す状態
・ユーザーが「何をどう直せばよいか」を一目で理解できる
・入力エラーが原因の離脱を最小限に抑えられる
・社内の問い合わせ(「フォームから送れない」という電話)が減る

1. NGなエラーメッセージの典型パターン

まずは、実際の現場でよく見かける「よくない例」から押さえておきます。

共通しているのは、「ユーザー視点での“次の一歩”が分からない」 という点です。 BtoB サイトでも、こうした小さなストレスの積み重ねが離脱につながります。

2. 文言設計:ユーザーに「どう直せばよいか」を伝える

2-1. 抽象的な文言から、具体的な文言へ

抽象的な文言:

具体的な文言:

ポイントは、「何が問題か」だけでなく「どう直せばよいか」 を短く添えることです。 文言をテンプレート化しておき、フォームごとに使い回せるようにしておくと運用負荷も減ります。

2-2. トーン&マナーの決め方

BtoB サイトでは、くだけすぎた表現は避けつつも、ユーザーを責めないトーンが求められます。

敬語を強くしすぎると文が長くなりがちなので、「です・ます」を基調にしつつ、 1 行で読める分量に収めるのがバランスの良いところです。

3. 表示位置:ユーザーの視線の動きに合わせる

エラーメッセージの表示位置は、以下の3層を組み合わせて考えます。

スマホでは特に、フィールド直下のエラー表示 が効きます。 入力中の欄とメッセージの距離が離れるほど、ユーザーは修正箇所を見失いやすくなります。

4. タイミング設計:いつエラーを出すか

4-1. リアルタイム vs 送信時

最近は、入力中にリアルタイムでエラーを表示するパターンも増えていますが、 すべての項目でリアルタイムにする必要はありません。

リアルタイムバリデーションをやりすぎると、「まだ入力途中なのにエラーで怒られている」印象を与えることもあります。 「入力途中での補助」と「送信時の最終チェック」 を役割分担させると、ちょうどよいバランスになります。

4-2. スマホ環境での体験を必ず確認する

スマホでは、ソフトキーボードの表示で画面が狭くなるため、 「エラーが出ているのに見えていない」という状況が起きやすくなります。

こうした工夫をすることで、エラー発生後の“迷子状態”を避けられます。

5. エラーメッセージ運用のチェックリスト

最後に、既存フォームを見直す際に使えるチェックリストをまとめます。

問い合わせ件数が多い業種(医療機関・学校・ホテル・葬祭・BtoB製造など)では、 エラーメッセージの改善だけで、コールセンターや代表電話への「フォームから送れない」という問い合わせが目に見えて減ることがあります。 たとえば 医療向けシステム開発例学校向けシステム開発例 では、 フォーム入力〜予約〜問い合わせ管理までを含めた全体設計のイメージを紹介しています。 こうした構成例を参照しつつ、エラーメッセージも「導線設計の一部」として見直してみてください。

本記事は、Webシステム開発・スマホ自動変換「movo」・業務システム構築・フォームUX改善・EC支援を提供する 株式会社インテンスが、実際の開発プロジェクトで蓄積した知見をもとにまとめています。 株式会社インテンス(公式サイト)