問い合わせ種別プルダウンの設計パターン(部署・目的・緊急度の切り方)

問い合わせフォームの「お問い合わせ種別」プルダウンは、社内の誰に・どの順番で・どう振り分けるか に直結する重要な項目です。 しかし現場では、「部署名ベースで作った結果、ユーザーには分かりにくい」「目的と種別が混在していて選びづらい」といった問題がよく起こります。

ここでは、問い合わせ種別プルダウンを設計する際に使える、部署別・目的別・緊急度別 の切り方と、その組み合わせパターンを整理します。

この記事でやること
・問い合わせ種別の「よくある失敗パターン」を把握する
・部署別・目的別・緊急度別の3軸でパターンを整理する
・社内フローやメール振り分けと連動させる設計の考え方を押さえる

1. よくある失敗パターン

まず、既存フォームを見直すときにチェックしておきたい典型的な失敗例です。

こうした状態だと、ユーザーは「とりあえず一番上」や「その他」を選びがちです。 その結果、社内の振り分けやレポート分析で種別が役に立たなくなります。

2. 設計の基本方針:「誰に届くか」と「何をしたいか」を分ける

問い合わせ種別プルダウンを整理するときは、次の 2 つを分けて考えると分かりやすくなります。

「部署」軸だけで作るとユーザーから見て分かりにくくなり、 「目的」軸だけで作ると社内の振り分けと紐づけにくくなります。 実務では、ユーザーには目的ベースで見せつつ、内部的には部署と紐づける という構成が扱いやすいパターンです。

3. 目的別パターン:ユーザー視点での分類

まず、ユーザーの「やりたいこと」ベースで種別を設計するパターンです。

3-1. BtoB サービスの例

こうした目的ベースの分類にしておくと、ユーザーは直感的に選びやすくなり、 自動返信メールやサンクスページの文面も目的に合わせて出し分けしやすくなります。

4. 部署別パターン:内部ルーティングとレポート向け

一方で、社内運用の観点では「どの部署で対応するか」を整理しておく必要があります。

4-1. 内部マッピングの例

フォームの実装上は、ユーザーから見える種別は目的ベース にしつつ、 内部コードとして「部署コード」や「担当グループID」を紐づけておくイメージです。

5. 緊急度パターン:SLA と連動させる

SLA(対応目標時間)を決めているサポート窓口では、緊急度も設計に組み込む必要があります。

この緊急度は、それ自体をプルダウンにする場合もあれば、 「既存契約・ご利用中サービスについて」の詳細欄の中で選択させる場合もあります。 いずれにせよ、緊急度によって誰にどの順番で通知するか を決めておくことが重要です。

6. 種別プルダウン見直しの手順

実際に既存フォームをリニューアルする際の、現実的な手順をまとめます。

  1. 現在の問い合わせ種別と、その選択比率を確認する(アクセス解析 or 問い合わせログ)
  2. 「その他」「サービスについて」のような曖昧な項目にどんな内容が集まっているかを洗い出す
  3. ユーザーの目的ベースで 5〜8 程度の種別候補を作る
  4. それぞれを、社内の担当部署・担当グループにマッピングする
  5. 必要に応じて、緊急度や既存顧客/新規見込みの区分を別項目で追加する

ここまで整理してから実装に入ることで、「種別プルダウンは作ったが、結局社内で使われない」という状態を避けられます。

7. 業種別の具体例を参考にする

士業事務所・コンサルティングファーム・医療機関など、 問い合わせ内容が専門的で多岐にわたる業種では、種別設計の出来不出来が現場負荷に直結します。

たとえば、 コンサル向けシステム開発例 では、 「無料相談」「診断レポート請求」「セミナー申込」といった種別の切り方と、案件管理へのつなぎ方をイメージできます。 また、士業事務所向けシステム開発例 では、 相談内容のジャンル(労務・契約・知財など)と担当弁護士・社労士とのマッピングが重要になります。

こうした業種別の構成例を眺めながら、自社の問い合わせ窓口で 「ユーザーは何をしたくてフォームを開いているのか」「誰にどう届くべきか」を整理していくと、 単なるラベルの並びではない、意味のある問い合わせ種別プルダウンが作りやすくなります。

本記事は、Webシステム開発・スマホ自動変換「movo」・業務システム構築・フォームUX改善・EC支援を提供する 株式会社インテンスが、実際の開発プロジェクトで蓄積した知見をもとにまとめています。 株式会社インテンス(公式サイト)