問い合わせ管理やタスク管理システムでは、ステータス・優先度・期限の3要素が、日々のオペレーションの軸になります。 しかし、この3つの定義や運用ルールが曖昧なままだと、「なぜこの案件が放置されているのか」が分かりづらくなり、チーム全体の生産性にも影響します。
まずは、ステータス・優先度・期限の役割を、次のように明文化しておきます。
この役割が混ざると、「優先度の高い案件はステータスを特別にする」「期限が近い案件はステータス名で表現する」など、後から見て分かりにくい設計になりがちです。
ステータスは、ステータス管理の運用ルールと失敗しにくい設計 でも詳しく触れていますが、増やしすぎないことが重要です。
各ステータスには、「誰が・どのタイミングで・どのステータスに変更するか」という運用ルールをセットで定義します。 例えば「未対応 → 対応中」は、担当者が最初の対応を開始したタイミングで変更する、といった形です。
優先度は細かくしすぎると迷いの原因になります。現場で使いやすいパターンとしては、次の3段階がよく採用されます。
ここに「最優先(緊急)」を追加して4段階にするケースもありますが、まずは3段階から始め、現場の運用に応じて調整するのが安全です。
期限は、担当者の裁量に任せるだけではバラつきが大きくなります。 そこで、次のような初期値のルールを定めておくと、一定の基準が保てます。
期限はあくまで「目安」ですが、初期値がゼロの状態よりも、はるかに運用が安定します。
ステータス・優先度・期限は、ダッシュボードの中でどのように見せるかも重要です。
一覧画面(ダッシュボード)のカラム構成については、問い合わせ管理ダッシュボードのカラム設計テンプレート と連動させて考えると、全体として矛盾のない設計になります。
実際の現場では、例外的な対応も発生します。 そのときに担当者が迷わないよう、あらかじめ例外ルールも決めておきます。
こうしたルールを事前に決めておくと、ステータスや期限の意味がブレにくくなります。
最後に、定期的なレビューの中で、「どのステータス・優先度・期限の組み合わせが溜まりやすいか」を確認します。
このレビューを月次・四半期ペースで回していくことで、システム設計と運用ルールが徐々に現場にフィットしていきます。
ステータス・優先度・期限の3要素は、問い合わせ管理・タスク管理の「交通整理」にあたる部分です。 役割を明確に分け、最小限の選択肢から始め、ダッシュボードでの見せ方とセットで設計することで、現場が迷わずに使える仕組みに近づいていきます。