入力内容を保持する仕組みの実装パターン

長めの問い合わせフォームや見積フォームでは、「入力中に画面を閉じてしまい、最初からやり直しになった」という不満が起こりがちです。 また、エラー時に入力内容が消えてしまうと、それだけで離脱のきっかけになります。

ここでは、入力内容を保持するための代表的な実装パターンと、それぞれの向き・不向きを整理します。

この記事で扱うパターン
・サーバー側での一時保存(セッション・下書き保存)
・ブラウザ側での保持(ローカル保存)
・ステップ分割+中間送信

1. サーバー側での一時保存(セッション/下書き)

もっともベーシックなのは、サーバー側で入力内容を一時保存し、再表示時に復元する方法です。

BtoB の見積フォームや、不動産向け の物件問い合わせフォームのように、 入力項目が多く検討期間も長いケースでは、「下書きリンクをメールで送る」仕組みと組み合わせることもあります。

2. ブラウザ側での保持(ローカル保存)

もう一つのパターンは、ブラウザ側で入力内容を保持する方法です。 例えば、ローカルストレージや一時的なブラウザ機能を使って、次のような挙動を実現します。

この方法は、学校向け のエントリーフォームや、 説明会申込フォームなど、「個人の端末からの利用が中心」な場面で使いやすいパターンです。 一方で、共有端末や端末乗り換えが前提の業務用途にはあまり向きません。

3. ステップ分割+中間送信

長大なフォームの場合、途中ステップでサーバーへ送信しておく構成も有効です。

ホテル・葬祭・医療など、葬祭向けシステム開発例 に見られるような、 事前情報が多い予約・相談フォームでは、こうした「段階的な登録」も検討の余地があります。

4. UXとセキュリティのバランス

入力保持の仕組みは、便利な一方で、個人情報の扱いという観点も避けて通れません。

このあたりは業種によって許容度が異なるため、社内のセキュリティポリシーと相談しながら、どこまで実装するかを決める必要があります。

まとめ

入力内容を保持する仕組みは、「どの程度の期間・精度で復元したいか」「どのくらいの個人情報を扱うか」によって、最適なパターンが変わります。 サーバー側の一時保存・ブラウザ側のローカル保存・ステップ分割+中間送信などを組み合わせながら、 自社の業務フローとセキュリティポリシーに合ったバランスを探っていくことが重要です。

本記事は、Webシステム開発・スマホ自動変換「movo」・業務システム構築・フォームUX改善・EC支援を提供する 株式会社インテンスが、実際の開発プロジェクトで蓄積した知見をもとにまとめています。 株式会社インテンス(公式サイト)