問い合わせ管理システムのダッシュボードは、「どの案件から手を付けるか」を判断する場です。 そのときに力を発揮するのが、ステータス・担当者・チャネルなどによるフィルタと、条件をあらかじめ登録しておける保存ビューです。
保存ビューは、単にフィルタ条件を登録する機能ではなく、担当者ごとの「作業の入り口」にするのが理想です。 そのためには、次の2点を最初に整理しておくと、ビューの乱立を防げます。
例えば、問い合わせ管理ダッシュボードのカラム設計テンプレート を決める際と同じように、ロールごとの「情報ニーズ」を洗い出してからビュー案に落としていくと、全体が整理されやすくなります。
BtoB向けの問い合わせ管理で、よく使われる保存ビューの例を挙げます。
担当者が朝一番に開くビューとして、ほぼ必須になるパターンです。
このビューを見れば、「どこで処理が止まっているか」を俯瞰できます。 ステータスや期限の運用ルールは、ステータス・優先度・期限の運用ルールを決める手順 とセットで整えておくと、ビューの意味がぶれにくくなります。
マーケティング担当が、チャネルごとの反応状況を確認したいときに使うビューです。 製造業向けWebシステム活用アイデア のような業種別ページで整理したチャネル戦略と紐付けておくと、分析の視点が取りやすくなります。
保存ビュー機能は便利ですが、誰でも自由に作ってよい状態にしておくと、似たようなビューが量産されてしまいます。 次のようなルールを決めておくと、運用が安定します。
「誰のためのビューか」が名前だけで分かるようにしておくと、一覧から探すときのストレスが減ります。
保存ビューの軸となるフィルタ条件は、現場で普段使っている言葉に揃えることが重要です。 システム上の項目名がそのままフィルタに並ぶと、「どの項目で絞ればよいか」が分かりにくくなります。
フィルタのラベルだけユーザー向けの表現に変えるだけでも、保存ビューの活用度合いは大きく変わります。
保存ビューは、作って終わりではありません。 四半期に一度程度、次の観点で棚卸しを行うと、ダッシュボード全体の使い勝手を維持できます。
インテンスで問い合わせ管理機能を設計する際も、最初は最小限のビューから始め、運用状況を見ながら2〜3か月単位で内容を調整していくケースが多くあります。
保存ビュー・フィルタ設計は、問い合わせ管理システムを「現場が毎日開きたくなる画面」に育てるための重要な要素です。 ロールごとのニーズから逆算してビューを設計し、命名ルールと権限、定期的な棚卸しまで含めてルール化しておくことで、長く使えるダッシュボードに育っていきます。