問い合わせ管理ダッシュボード設計ガイド|一覧・ステータス・検索・権限まで
問い合わせ管理ダッシュボードは、「誰から」「どんな用件が」「今どういう状態か」をひと目で把握するための中枢画面です。本記事では、一覧項目・ステータス・検索/絞り込み・権限設計など、業界を問わず共通して使える設計ポイントを整理します。
この記事の対象読者
・問い合わせ対応がメールボックスやスプレッドシートに分散している企業
・問い合わせフォームは導入済みだが、その後の対応状況が追いづらいと感じている担当者
・今後、簡易的な問い合わせ管理システムやダッシュボードを構築したい情報システム/Web担当
問い合わせ管理ダッシュボードの役割
問い合わせ管理ダッシュボードは、単なる「一覧画面」ではなく、次の役割を持つハブ画面です。
- 1. 現在の状況を一望する:未対応/対応中/完了などのステータスを俯瞰
- 2. 優先度の高い案件を見つける:緊急・重要度・対応期限で絞り込み
- 3. 担当者ごとの負荷を把握する:担当者別の件数・滞留案件を確認
- 4. 過去履歴から学ぶ:タグやカテゴリ別の件数推移を集計する基盤
これらの役割を意識すると、「何を一覧に出すべきか」「どんな絞り込み軸が必要か」が見えやすくなります。
一覧画面設計の基本
1. 一覧に出すべき基本項目
最低限、次の情報は一覧上にあると運用しやすくなります。
- 受付日時
- 氏名(または会社名+担当者名)
- 問い合わせ種別(カテゴリ)
- ステータス(未対応/対応中/完了/保留など)
- 担当者
- メモ/最新対応内容の冒頭(要約)
「件名」「チャネル(Webフォーム/電話/メール転記など)」を加えると、一次把握がしやすくなります。
2. 並び順と強調の設計
- デフォルトは「受付日時の新しい順」か「未対応優先」
- ステータスごとに行背景色やアイコンで視覚的に区別
- 期限切れ・SLA超過の案件にはラベル表示(赤アイコンなど)
単に一覧を並べるのではなく、「どこを見れば優先度がわかるか」に配慮します。
ステータスと担当者の設計
1. ステータスは「現場の運用フロー」に合わせる
よくあるステータス例は次のとおりです。
- 未割り当て(誰も担当が決まっていない)
- 対応予定(担当者は決まったがまだ未着手)
- 対応中
- 回答済み(顧客返信待ち)
- 完了
- クローズ不可(情報不足/キャンセルなど)
実際の運用フローに合わせて、ラベル名は現場用語に寄せて設計すると浸透しやすくなります。
2. 担当者アサインの方法
- カテゴリ(製品別・サービス別)ごとに初期担当を自動アサイン
- エスカレーション時の「上位担当」フィールドを別に設ける
- 担当者の変更履歴が残るよう、更新ログを保持する
担当者の決め方が曖昧だと、ダッシュボードを作っても「誰がやるのか」が不明瞭なままになりがちです。
検索・絞り込み機能の設計
1. 最低限ほしい絞り込み軸
- ステータス(未対応・対応中・完了など)
- 問い合わせ種別(製品カテゴリ・サービスカテゴリ)
- 受付期間(例:直近7日・今月・任意日付)
- 担当者
- キーワード(氏名・会社名・メール・件名・本文)
運用が進むにつれ、「チャネル(電話/Web)」「優先度」「タグ」での絞り込みニーズも出てきます。
2. 現場でよく使う“ショートカット”フィルタ
- 「自分が担当の未対応+対応中のみ」
- 「チーム全体の未対応のみ」
- 「今日受付分」
- 「SLA(回答期限)超過分」
頻出パターンをあらかじめボタン化しておくと、日々の運用が格段に楽になります。
権限・ログ・セキュリティ設計
1. 権限レベルの分け方
- 閲覧のみ(閲覧専用・一部項目マスク)
- 担当者(自分の担当分を更新可能)
- チームリーダー(チーム内の全件を編集・再アサイン可能)
- 管理者(全件閲覧・設定変更・エクスポート権限)
BtoBや医療・福祉・教育などの分野では、個人情報・機密情報を扱うため、閲覧範囲の制御が特に重要です。
2. 変更ログとエクスポート
- ステータス変更/担当者変更/メモ更新の履歴を簡易ログとして保存
- 期間・カテゴリ別にCSVエクスポートできるようにしておく
- 退職者アカウントの取り扱いルール(削除せず無効化など)
ログとエクスポートは、「トラブル時に説明できるか」「改善のために集計できるか」という観点から設計します。
業種別の典型ユースケース
1. 物流・倉庫・インフラ
- 荷物問い合わせ・配達状況確認・集荷依頼などをカテゴリ別に管理
- エリア別(支店・営業所)に担当を分けるダッシュボード構成
2. 医療・クリニック・介護
- 診療内容の問い合わせ・見学予約・家族向け相談の履歴管理
- 個人情報の閲覧権限を職種別(医師/事務/相談員)に制御
3. 学校・大学・専門学校
- 資料請求・オープンキャンパス・個別相談・進路相談の窓口を一括管理
- 入試広報・各学科・事務局など、部署別ビューのダッシュボード
4. ホテル・旅館・施設
- 宴会見積・宿泊団体問い合わせ・会議室利用など、用途別に案件管理
- 営業担当ごとのパイプラインとしてダッシュボードを活用
5. BtoBサービス・SaaS
- トライアル申し込み・技術問い合わせ・請求関連問い合わせの一元管理
- サポートSLAや契約プラン別の優先度管理と連動
まとめ
問い合わせ管理ダッシュボードは、「フォームの先」にある運用の質を大きく左右する重要な画面です。一覧項目・ステータス・検索軸・権限・ログという基本要素を押さえたうえで、自社の業種・組織体制に合わせて調整することで、属人化を防ぎつつ対応品質と生産性を両立できます。
本記事は、Webシステム開発・スマホ自動変換「movo」・業務システム構築・フォームUX改善・EC支援を提供する
株式会社インテンスが、実際の開発プロジェクトで蓄積した知見をもとにまとめています。
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