担当者割当ロジックの作り方(自動・手動・混在)
問い合わせ管理システムを導入するとき、「誰に問い合わせを割り当てるか」という担当者アサインの設計は避けて通れません。
完全自動に振り切ると現場が追いつかず、完全手動にすると担当者によって偏りが出る──その中間をどう設計するかがポイントになります。
この記事のゴール
・代表的な自動割当ロジックの種類を整理する
・自動/手動の“混在パターン”を具体的にイメージできるようにする
・運用ルールと画面設計をセットで考える視点を持つ
1. 担当者割当ロジックを分解する3つの視点
担当者割当を検討するときは、次の3つの視点に分解すると整理しやすくなります。
- 「いつ」割り当てるか: 受信直後/一次対応後/案件化時 など
- 「誰に」割り当てるか: ランダム/順番/条件マッチング など
- 「どこまで自動にするか」: 全自動/半自動(候補提示)/手動
例えば、問い合わせ管理ダッシュボードのカラム設計テンプレート で整理した「担当者」「ステータス」「チャネル」などの情報と組み合わせることで、現場に合ったロジックを組み立てやすくなります。
2. 代表的な自動割当パターン
2-1. ラウンドロビン(持ち回り)
- 対象:同じスキルレベルの担当者が複数いるチーム
- 特徴:新規問い合わせを担当者リストの先頭から順番に割り当てる
- メリット:担当件数の偏りを防ぎやすい
2-2. エリア・拠点別割当
- 対象:拠点別営業・エリア制のサポート体制
- 特徴:都道府県・郵便番号・国などの条件から担当チームを決定
- 注意点:エリア境界(県境・国境付近)をどう扱うか事前に決めておく
2-3. スキル・カテゴリ別割当
- 対象:製品ラインナップや問い合わせ内容ごとに担当を分けたいケース
- 特徴:製品カテゴリ・問い合わせ種別などから担当グループを決定
- 事例:製造業向けWebシステム活用アイデア にあるような、製品シリーズごとに専門チームがある組織
3. 自動と手動を“混在”させる設計パターン
完全自動にしてしまうと、イレギュラー対応や育成目的のアサインが難しくなります。
現場でよく機能するのは、次のような“混在パターン”です。
3-1. 初期割当は自動、例外処理は手動
- 新規問い合わせはエリア・カテゴリなどの条件で自動割当
- 担当者が内容を確認し、「別チームの方が適切」と判断した場合に手動で再アサイン
- 再アサイン時には理由をコメントに残すルールをセットにする
3-2. 候補リスト提示型の半自動
- システム側が候補担当者を複数名提示
- 最終決定はリーダー・SVが行う
- 人員の稼働状況や育成状況を踏まえて柔軟に判断できる
このようなパターンは、ステータス管理の運用ルールと失敗しにくい設計 と組み合わせることで、
「誰のボールで、どのステータスにあるのか」を一貫して管理しやすくなります。
4. ロジック設計時に押さえておきたいデータ項目
担当者割当ロジックをシステム化するには、最低限次のようなデータ項目が必要になります。
- 担当者マスタ:所属部署・ロール・対応可能カテゴリ・エリアなど
- 問い合わせマスタ:チャネル・種別・エリア・重要度など
- 現在の担当件数:未対応+対応中の件数
インテンスが担当者割当ロジックを設計する際も、まずはこれらの項目を整理し、
「人が頭の中でやっている判断」をテーブルに落とし込むところからスタートします。
5. 運用ルールと画面設計のセットで考える
ロジックだけ整えても、現場の画面が分かりにくいと運用は定着しません。
次のようなUI上の工夫も重要です。
- 一覧画面に「現在の担当者」「割当理由(ルール名)」を表示する
- 再アサイン時は、元の担当者と理由を履歴として残す
- 管理者向けには、担当者別の担当件数・滞留件数が分かる集計ビューを用意する
こうした集計は、問い合わせ集計レポートの作り方 と同じ考え方で設計できます。
まとめ
担当者割当ロジックの設計は、「どこまでを自動にし、どこから先を人の判断に任せるか」の線引きが肝になります。
エリア・カテゴリ・スキルなどの条件を使った自動割当をベースにしつつ、例外処理や育成目的のアサインを手動で行える“混在パターン”を採用することで、現場の運用とシステム設計のバランスを取りやすくなります。
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