最近のWebサービスでよく見かける、丸みのある小さなボタンを押して条件をON/OFFするUI。 この記事では、このチップ型フィルターを、BtoB向けの検索・予約画面でどう使うと分かりやすいかを見ていきます。
見た目は軽くて扱いやすそうに見えますが、どんな条件でもチップ化すればよいわけではありません。 向いている条件と向いていない条件があり、ラベルの長さ、選択数、AND/ORの扱いまで含めて考えないと、かえって分かりにくい画面になります。
ここでは、チップ型フィルターが力を発揮しやすい場面、代表的なレイアウト、複数選択時の見せ方、別UIに回した方がよい条件まで、実務寄りに整理します。
チップ型フィルターが使いやすいのは、ユーザーが「ちょっと条件を足す」「外してみる」を繰り返しやすい場面です。 1回決めたら終わりではなく、試しながら候補を絞る画面で効果が出やすくなります。
たとえば、製品カタログ検索の絞り込み条件設計パターン で例示した「用途」「環境(屋内/屋外/高温)」のような条件は、このUIとかなり相性が良いです。
UI例 チップ型が向きやすい条件の見せ方
短くて意味が伝わる条件なら、押した瞬間に状態が分かるチップ型が扱いやすくなります。
チップ型フィルターは、どこに置くかで印象がかなり変わります。 同じUIでも、検索画面の入口なのか、結果一覧の補助なのかで向いている形が違います。
スマホ画面の上部に横並びで置き、必要に応じて横スクロールして見せる形です。 表示領域を取りすぎず、軽い切り替えを促しやすいので、よく使われます。
パターン1 一行スクロール型
検索結果の入口に置くと、全体を見せたまま軽く候補を狭めやすくなります。
用途・材質・特徴など、意味の近い条件ごとにチップをまとめて表示する形です。 条件が少し増えてきたときは、この分け方の方が見通しを保ちやすくなります。
パターン2 セクションごとのタグ群型
条件数が増えても、意味ごとに分けて見せることで読みやすさを保ちやすくなります。
検索結果のすぐ上にチップを置き、押した結果がそのまま一覧へ反映される形です。 状態変化が近くで見えるので、「今どんな条件で絞られているか」を把握しやすくなります。
パターン3 インラインフィルター型
選択中の条件
検索結果のすぐ上に条件を置くと、押した結果がどこに効いているかが伝わりやすくなります。
スマホ入力最適化のUIパターン一覧 でも触れたように、スマホでは「押しやすさ」と「状態がすぐ分かること」が特に重要です。 チップ型はこの2点と相性が良いため、うまくはまるとかなり軽快な印象になります。
チップ型フィルターで迷いやすいのが、複数選択したときの論理です。 見た目は同じでも、「同じグループ内でORなのか」「別グループ同士でANDなのか」が分からないと、結果が想像しづらくなります。
AND/OR 複数選択の考え方を見える形で置く
用途:高温対応 と 食品向け を同時選択
どちらかに当てはまるものを候補に含める見せ方が一般的です。
用途:高温対応 + 材質:ステンレス
両方を満たす候補だけに絞る方が、利用者の直感に合いやすくなります。
説明文だけでなく、選択中条件を画面に出しておくと、複数選択時の誤解を減らしやすくなります。
こうしたロジックは、ヘルプテキストだけで済ませるより、 「選択中:高温対応 / 屋外 / ステンレス」といった形で、現在の条件を画面上部や一覧直上に表示しておく方が伝わりやすくなります。
チップ型は見た目が軽くて扱いやすい反面、どんな条件にも向いているわけではありません。 むしろ、向いていない条件まで無理にチップ化すると、画面が窮屈になりやすくなります。
向き不向き チップ型で済ませない方がよい条件
| 条件の種類 | チップ型との相性 | 理由 | 代わりに使いやすいUI |
|---|---|---|---|
| 用途・特徴 | 向いている | 短い言葉で意味が伝わりやすい | チップ / タグ群 |
| 価格帯・温度帯 | 別UIが向く | 範囲指定の方が自然 | スライダー / 範囲入力 |
| メーカー名が20件以上ある | 別UIが向く | 一覧性が落ちる | モーダル / チェックボックス |
| 専門用語の多い規格条件 | 別UIが向く | 補足説明が必要になりやすい | アコーディオン / 詳細検索 |
よく使う条件だけをチップにして、それ以外は別UIへ逃がす方が、検索画面全体としては扱いやすくなります。
こうした条件は、絞り込み検索UIのパターンと実装の考え方 や 数値条件の絞り込みUI(スライダー・範囲指定)の設計 で扱うような別UIで補完する方が現実的です。
業種ごとに見ると、チップ型は「検索の全部」を担うというより、 よく使う条件だけを前に出す補助UI として使うと収まりが良くなります。
いずれの場合も、ユーザーが最初に触りやすい条件だけをチップで見せ、それ以外は詳細検索へ回す構成が扱いやすくなります。 全部を前面に出すより、「よく使うものだけ目につく場所に置く」方が、画面全体の分かりやすさは保ちやすくなります。
チップ型フィルターは、見た目が軽い分だけ、設計を浅く始めてしまいやすいUIでもあります。 実装前には、少なくとも次の点を確認しておく方が安全です。
このあたりが曖昧だと、見た目だけそれらしくても、操作したときに違和感が残ります。 チップ型は「押しやすさ」だけでなく、「押した結果が想像しやすいか」まで含めて設計したいところです。
チップ型フィルターUIは、スマホ前提の検索画面でかなり有効なパターンです。 ただし、向いている条件は限られていて、短く分かりやすいラベル、少なめの選択肢、軽いON/OFF操作という前提が合っていることが重要です。
用途や特徴のように、意味がすぐ伝わる条件には向いています。 一方で、数値レンジ、選択肢の多すぎる分類、説明が必要な専門条件は、別UIに任せた方が画面全体としては使いやすくなります。
実際の設計では、よく使う条件だけをチップ型で前に出し、残りは詳細検索に回す構成がもっとも収まりやすいことが多いです。 「全部チップにする」ではなく、「どこをチップにすると迷いが減るか」で考えると、使いやすい画面にしやすくなります。