チップ型フィルターUIの設計パターン
最近のWebサービスでよく見かける、丸みのある小さなボタンをクリックして条件をON/OFFするUI。
この記事では、この「チップ型フィルター」を、BtoB向けの検索・予約画面でどう活かすかを整理します。
この記事の狙い
・チップ型フィルターが向いている条件/向いていない条件
・スマホ前提でのレイアウトパターン
・既存の絞り込み条件設計との組み合わせ方
1. チップ型フィルターが向いている条件
チップ型フィルターが真価を発揮するのは、次のような条件です。
- 選択肢が少ない(3〜10個程度)
- ON/OFFの切り替えが頻繁に行われる
- 意味が直感的に分かるラベルで表現できる
例えば、製品カタログ検索の絞り込み条件設計パターン で例示した「用途」「環境(屋内/屋外/高温)」などは、チップ型と相性が良い条件です。
2. よくあるレイアウトパターン
2-1. 一行スクロール型
- スマホ画面上部にチップを横並びに表示し、横スクロールで全体を見せる
- 「すべて」「おすすめ」「人気順」などの切り替えにも使える
2-2. セクションごとのタグ群型
- 用途・材質・特徴など、セクションごとにチップをまとめて表示
- 複数条件を同時にONにできるようにする(OR/ANDの定義は明確に)
2-3. 結果一覧の上に置くインラインフィルター型
- 検索結果のすぐ上に並べ、操作結果がすぐに一覧へ反映される構成
- 選択状態を視覚的に把握しやすい
スマホ入力最適化のUIパターン一覧 でも触れたように、スマホでは「タップしやすさ」と「一目で状態が分かること」が特に重要になります。
3. AND/OR条件の扱いをどう見せるか
チップ型フィルターで悩みやすいのが、複数選択時の論理(AND/OR)です。
- 用途チップはOR(「高温向け」または「食品向け」)
- 用途+材質など、別セクション同士はAND(用途が高温向け かつ 材質がステンレス)
こうしたロジックは、ツールチップやヘルプに書くだけでなく、
「選択中:高温向け/屋外設置/ステンレス」のように、現在の条件を画面上部にテキストで表示しておくと誤解が減ります。
4. チップ型にしない方がよい条件
すべての条件をチップ化すれば良いわけではありません。
次のような条件は、プルダウンや入力ボックスの方が適しているケースが多くなります。
- 選択肢が多すぎるもの(10個を大きく超える)
- 項目名だけでは意味が伝わらないもの(説明文が必要)
- 数値レンジを扱うもの(サイズ・温度・価格など)
こうした条件は、絞り込み検索UIのパターンと実装の考え方 や
数値条件の絞り込みUI(スライダー・範囲指定)の設計 で扱うような別のUIで補完する方が現実的です。
5. 業種別の活用イメージ
業種ごとの活用例を少し挙げておきます。
- ホテル・宿泊業: ホテル向けWebシステム活用アイデア のように、「ビジネス」「リゾート」「大浴場あり」「駐車場あり」などの条件をチップ化
- 医療・クリニック: 診療科目や相談内容(歯科・矯正・ホワイトニングなど)をチップで切り替え
- 不動産: 「駅徒歩5分以内」「築10年以内」「ペット可」など、よく使う条件をチップでON/OFF
いずれの場合も、「よく使う条件」だけをチップにし、それ以外は詳細検索に回す構成が現実的です。
まとめ
チップ型フィルターUIは、スマホ前提の検索画面でとても有効なパターンですが、向いている条件・向いていない条件があります。
選択肢が少なく、意味が直感的に伝わり、頻繁にON/OFFされる条件を中心にチップ化し、
その他の条件はプルダウンやテキスト入力など別のUIに任せることで、シンプルで使いやすい絞り込み体験を作ることができます。
本記事は、Webシステム開発・スマホ自動変換「movo」・業務システム構築・フォームUX改善・EC支援を提供する
株式会社インテンスが、実際の開発プロジェクトで蓄積した知見をもとにまとめています。
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