物流会社の荷主向け集荷依頼フォームとステータス公開

3PL・路線便・共同配送などを行う物流会社では、荷主企業からの日々の集荷依頼をどのように受け付けるかが、 現場のオペレーション負荷に直結します。 電話・FAX・メールが混在していると、入力ミスや見落としが発生しやすく、 荷主側からは「今どこまで進んでいるのか分からない」という不満も生まれがちです。 本記事では、荷主向け集荷依頼フォームと、その後のステータス公開 の仕組みを整理します。

1. 集荷依頼フォームで押さえるべき項目

集荷依頼フォームでは、配車担当が「トラックの種類・本数・時間帯」を判断できるレベルの情報が必要です。

• 荷主情報（会社名・拠点名・担当者・連絡先）
• 集荷先住所（拠点マスタからの選択＋任意入力）
• 集荷希望日・時間帯（午前／午後／時間指定 など）
• 荷姿（パレット・ケース・バラ積み・ハンガー など）
• 数量・容積・重量の目安
• 行き先（センター／店舗／他社倉庫 など）

これらの項目は、 物流向けWebシステム活用アイデア で整理している「拠点検索・在庫確認・配送依頼」の構成とセットで考えると整理しやすくなります。

2. 荷主ごとのテンプレートと権限管理

荷主ごとに取扱商品・拠点・運用ルールが異なるため、集荷依頼フォームもある程度カスタマイズが必要です。

• ログインした荷主に応じて、集荷先候補・行き先候補を出し分ける
• 業種（通販・メーカー・卸など）ごとに、荷姿・数量の入力方法を調整する
• ユーザー権限に応じて、「依頼のみ」「依頼＋キャンセル・変更」など操作範囲を変える

ユーザー権限の考え方は、 権限・ログ設計で押さえておきたいセキュリティ観点 の内容をベースに、「荷主企業内の複数担当者」を想定してロール設計するのが現実的です。

3. 配車・倉庫管理システムとの連携

Webから受け付けた集荷依頼は、そのまま配車・倉庫管理の現場で使える形に落とし込む必要があります。

• 受付時に集荷依頼番号を発行し、配車システム側の案件IDと紐付ける
• 車両種別・ドライバー・ルートが確定したタイミングでステータス更新
• 倉庫側では、入荷予定リストとして参照できるようにする

ステータスのパターンは、 問い合わせステータス設計の実例とパターン で紹介している考え方を、物流向けにアレンジした形がイメージしやすいでしょう。 例：受付済み → 配車手配中 → 集荷済み → 中継センター入庫 → 納品完了 など。

4. 荷主向けステータス公開と通知

荷主側から見れば、「依頼した集荷が予定通り動いているか」「どこで止まっているか」が分かることが重要です。

• 荷主専用ポータルで、集荷依頼一覧と現在ステータスを表示
• ステータス更新時にメール・APIで荷主側システムへ通知
• 遅延や異常が発生した場合は、アラート表示・メール通知を行う

こうした「見える化」は、単発の集荷依頼フォームにとどまらず、 卸売・商社（BtoB企業）向けWebシステム活用アイデア で扱っているようなBtoBポータルの一機能として位置づけると、荷主企業にとっての価値が高まりやすくなります。

5. 既存チャネルとの共存

すぐに電話・FAX・メールをゼロにするのは現実的ではないため、 集荷依頼フォームは「徐々に比率を高めていく」位置づけになることが多いです。

• 電話・FAXで受けた依頼も、最終的にはWebと同じフォーマットで社内登録
• 頻繁に依頼を行う荷主から順に、「Webにまとめていただくと履歴確認もしやすくなります」と案内
• Web経由の依頼には、処理状況のオンライン確認やCSVダウンロードなどのメリットを用意

こうした「メリット提示」と合わせて導入することで、荷主側の運用を無理なくWebフォームへ移行しやすくなります。

まとめ

物流会社の荷主向け集荷依頼フォームは、単に「依頼を受け付ける窓口」ではなく、 配車・倉庫・荷主ポータルをつなぐハブとなる仕組みです。 集荷先・荷姿・数量・行き先といった基本情報を標準化しつつ、 荷主ごとのテンプレートや権限管理、配車システムとの連携、ステータス公開までを一体で設計することで、 現場の負荷を減らしながらサービス品質を高めることができます。

まずは、現在使っている依頼書フォーマットやメールテンプレートを棚卸しし、 それらを共通項目・荷主別項目に分解したうえで、自社に合った集荷依頼フォームとポータルの構成を検討してみてください。