製品開発が進むほど、試験の数は指数的に増えます。ところが、試験結果が散らばったままだと、最後に必ず同じ壁に当たります。
「この要求は、どの試験で満たした?」/「この結果は、どのRevの評価?」/「提出用の証跡はどれ?」
DVP&R(Design Verification Plan & Report)は、計画表を作ることが目的ではなく、要求・仕様・試験・結果をつないで“説明できる状態”を作るのが本質です。
DVP&Rが破綻する原因の多くは、紐づけの単位が曖昧なまま運用が始まることです。
最低限、次の3つのID(またはキー)を固定します。
Excelで慣れている現場ほど、Webに移すなら“同じ見え方”から入ったほうが理解コストが下がります。
その上で、Webならではの強み(リンク、履歴、検索、添付の整列)を足していきます。
※ このあたりは、品質クレーム系の設計思想(“原因・対策・再発防止の紐づけ”)と近いので、品質クレーム管理の設計例 の考え方も流用できます。
DVP&Rで最も痛い事故は、古いRevの結果を最新版に転用してしまうことです。
対策はシンプルで、試験IDに「評価対象Rev」を固定し、後から書き換えられないようにします。
顧客や認証機関に提出する場合、個別ファイルではなく“セット”で管理した方が事故が減ります。
例:提出レポート、測定ログ、校正証明、写真、手順書、逸脱説明書(必要時)など。
技術資料の扱いに近いので、公開範囲やゲートの設計は 技術資料DLのゲート設計 を土台にすると整理が早いです。
入力が面倒だと、DVP&Rは必ず形骸化します。
そこで、入力を増やす代わりに、選択肢化と自動補完で正確性を上げます。
インテンスでも、試験台帳のWeb化は「入力を増やす」方向に行くと失敗しやすいので、まずは“揃えるだけ”から始める設計を採ることが多いです。
製造業の活用イメージとしては 製造業向けシステム開発例 の考え方とも相性が良いです。
DVP&Rを“作る”のではなく、“説明できる状態を維持する”ためには、要求ID・試験ID・成果物を一貫して紐づけ、Revをズラさない仕組みを先に作るのが要点です。
そのうえで提出パッケージ、逸脱、関連不具合までつながると、会議や監査の準備が劇的に短くなります。