品質クレーム(市場不具合/顧客クレーム)は、暫定対応(Containment)→原因解析(Root Cause)→恒久対策(Corrective Action)→再発防止(Preventive Action)が別々に管理されると、結局“同じ形の再発”が起きます。
メール、Excel、共有フォルダで回し続けるほど、証跡が散り、担当者依存が強くなります。
問い合わせチケットの延長で作ると、クレームは破綻します。理由は、クレームは「原因」「再発防止」「影響範囲」「顧客説明」までが必須だからです。
入口(受付)の設計は 不具合受付(RMA)フォーム設計 を土台にしつつ、クレーム特有の項目を追加します。
「対応中」という一言だと、どこで詰まっているのかが分かりません。
ステータスは ステータス設計の実例 の考え方で、段階を分け、遷移条件を決めます。
原因解析は文章だけだと説得力が弱く、引き継ぎも崩れます。
評価・試験結果を“あとから探せる形”で整理して紐づけると、証跡として強くなります(評価データ整理)。
試作・評価依頼が発生する場合は、案件一覧で見える化(試作・評価の見える化)までつなげると運用が安定します。
原因解析:推定/確定の区別を持つ
・仮説:Aが原因の可能性(根拠:再現試験T-2025-xxx)
・確定:Bが直接原因(根拠:分解写真/測定ログ/工程データ)
クレームで最も重要なのは影響範囲です。
「該当ロットはどれか」「どこへ出荷したか」「同一工程・同一部品の他品番に波及するか」を素早く引けないと、暫定対応が遅れます。
ここは、品目マスタ/BOM/出荷情報のつながり(ECO×BOM×評価のトレーサビリティ)を前提に設計します。
対策は、技術的妥当性だけでなく、品質・製造・営業への説明責任が絡みます。
承認フローは 承認フロー設計 を土台に、少なくとも以下を分けると事故が減ります。
顧客・営業に見せる情報と、社内の原因解析(仮説含む)を同じ画面にすると危険です。
社内の心理的安全性も下がります。
よって、外部提示用の品質情報ビューは別設計にします(顧客・営業向け品質情報ビュー)。
クレーム管理は、個別対応で終わらせると組織が強くなりません。
原因カテゴリ、工程、供給者、現象タグなどを揃えると、ダッシュボードで傾向が出せます(品質会議用ダッシュボード)。
タグの設計思想は タグをレポート・改善施策に活かす が参考になります。
クレーム管理は製造業だけの話ではありません。たとえばタイヤショップでも、
・取付後の振動/異音(現象)
・車種・型式・装着条件(再現条件)
・測定値(バランス、アライメント、偏摩耗状態)
・再作業・再発防止(作業標準の改訂)
を一元管理できると、店頭対応と再発防止が安定します。
インテンスでも、製造業の品質管理と同じ思想で、現場運用に合わせた設計を組み立てます。
品質クレーム管理は、暫定対応→原因解析→恒久対策→再発防止の鎖を切らないことが核心です。
ステータスを段階化し、影響範囲を引ける形で持ち、評価データ・承認・証跡をリンクで残す。
さらに、外部提示用ビューと集計用ダッシュボードまで見据えると、単発対応ではなく組織学習につながります。