評価データや試験結果は、最初はフォルダ運用でも回りますが、案件が増えると「誰が、どの条件で、どの版を、どの供試体で」実施した結果なのかが追えなくなります。
この状態で困るのは、単に探せないことではなく、設計変更や不具合解析の判断に“使えない”ことです。
この記事では、試験結果を“あとから探せる=意思決定に使える”形へ整理するための設計ポイントをまとめます。
フォルダ階層で整理すると、途中で分類が変わった瞬間に破綻します。
先に「後から探すときに使う検索軸」を決め、メタデータとして持つほうが長期運用に強いです。
検索UI(絞り込み条件の組み方)は 絞り込み条件設計 や チップ型フィルターUI の考え方を使うと、運用に耐える形にしやすいです。
試験結果は、PDFだけ置くと中身が引けません。
設計としては、最低でも次の3層に分けると扱いやすいです。
例:試験レコード(T-2025-001)
対象=品番A / 図面Rev=C / 供試体=Lot-2412
試験種別=耐久 / 条件=40℃, 500h, 負荷=xx
結果=OK / 添付=report.pdf, raw.csv, photo.zip
添付の扱いは ファイル添付設計 とセットです。後で見返すなら「添付を置ける」だけでなく、添付の意味(何のデータか)を構造化する必要があります。
評価データが使えなくなる最大要因は、版が追えないことです。
「最新版の図面で試験した」ではなく、どのRevで実施したかが必要です。
これは 版管理 の設計思想を、そのまま試験にも持ち込むのが実務的です。
後工程で「設計変更の影響範囲」に使うなら、設変(ECO)側と紐づける設計が必要です(後述の トレーサビリティ設計 に繋がります)。
評価は「同じ条件でも供試体が違うと結果が違う」ことが普通に起きます。
最低限、供試体には次を持たせると検索と再現性が上がります。
不具合解析で効くのは、RMA側の情報(不具合受付フォーム設計)と評価結果を繋げられることです。
「RMAにロットがある/評価にロットがある」の両方が揃って初めて、追跡が成立します。
試験結果は、顧客提出、監査対応、共同研究などで社外に出ることがあります。
よって、権限とログは後付けにできません。
設計は 権限・ログ設計 を前提に、次の線引きが必要です。
品質保証・規格認証との共有は、単にフォルダ共有ではなく“Webで回る”形にするほうが強いです(品質保証・規格認証チームとの情報共有)。
ファイル名検索だけでは限界が来ます。実務で効くのは、条件・対象・版・結果での絞り込みです。
具体的には、次のようなフィルタがあると“あとから探せる”状態になります。
評価依頼を入口にするなら、依頼フォームと案件一覧で“見える化”する設計が効果的です(試作・評価依頼フォームと案件一覧)。
製造業の研究開発では、評価データが「探せる」だけで、設計判断・品質判断のスピードが変わります。
業務像は 製造業向け を前提に、評価データの整理を“ナレッジ”として回すなら、技術問い合わせのナレッジ化(最低限の項目設計)とも繋がります。
インテンスでも、評価結果は単なる添付ではなく、検索軸と版・供試体が壊れない形で設計します。
評価データを“あとから探せる形”にするには、フォルダよりメタデータです。
対象・版・条件・供試体・結果・関連案件を軸に、試験レコード+条件+添付に分けて持つ。
権限・ログと版管理を前提に、条件で引ける検索UIを作ると、設計変更や不具合解析に使える資産になります。