安全書類・入場者管理をWeb化するときの項目設計(元請・サブコン向け)
安全書類と入場者管理は、現場の「今日は入れるか」を左右します。
紙やExcel、メール添付が混ざっていると、期限切れの発覚が遅い/最新がどれか分からない/差し戻し理由が埋もれるが起きやすい。
i-Construction 2.0 の流れでも「現場の情報を止めずに回す」要素として、ここは避けて通れません。
1. まず分ける:安全情報は「会社」「人」「現場」で粒度が違う
最初にやるべきは、書類を“提出物”で一括りにしないことです。粒度が混ざると運用が崩れます。
- 会社単位:会社としての提出書類(加入状況、各種誓約、体制表など)
- 人単位:作業員の資格・特別教育・健診など
- 現場単位:新規入場、作業内容、KY、搬入・車両、当日の入退場
この3層を分けるだけで、現場追加時の二重入力が減り、入力率が上がります。
2. 会社マスタに入れるべき最低限(“確認作業”が迷子にならない項目)
- 会社名/事業所/担当者(電話・メール)
- 協力会社区分(一次/二次/スポット等)
- 提出書類リスト(書類種別/有効期限/ファイル添付)
- 確認ステータス(未確認/確認中/承認/差し戻し)
- 差し戻し理由(選択式+補足)
差し戻し理由は“選択式”が効きます
自由記述だけだと、後で同じ差し戻しが繰り返されます。理由を選択式にすると、協力会社側も改善しやすくなります。
3. 作業員マスタの最低限(識別・資格期限・現場紐づけ)
個人情報は扱い方が重要です。必要最小限に絞りつつ、現場が止まらない項目を優先します。
- 氏名/フリガナ/生年月日(同姓同名対策)
- 所属会社/現場での役割(作業員、職長、誘導員など)
- 資格・教育(種別/取得日/期限/証憑添付)
- 入場履歴(どの現場に、いつ入ったか)
権限・閲覧範囲・操作ログは後付けが大変です。考え方は 権限・ログ設計 と同じで、「誰が見てよいか」を先に決めます。
4. 現場運用の一本道:申請→不足チェック→承認→当日入場
現場は分岐が増えるほど止まります。おすすめは「一本道」です。
- 入場申請(会社・作業員・作業内容・入場日)
- 不足チェック(会社書類/個人資格/現場書類)
- 承認(承認/差し戻し)
- 当日入場(入場済/入退場時刻、場合によりゲート受付)
“仮承認”を入れるなら条件を明文化
「現場は入れて、書類は後で」は起きます。やるなら、猶予期限・対象書類・例外条件を決めておかないと揉めます。
5. アラートは“現場に関係する期限”だけ強く出す
全部通知すると誰も見なくなります。通知は次の2段階が現実的です。
- 協力会社:自社の期限が近い書類だけ(例:30日以内)
- 元請・サブコン:当該現場に入場予定の会社・作業員に関係する期限だけ
まとめ
安全書類・入場者管理は、会社/人/現場の粒度を分け、申請〜当日までを一本道にするのが土台です。
その上で、期限アラートは“現場に関係するもの”に絞ると運用が続きます。
株式会社インテンスで作る場合も、最初は「協力会社+入場申請+承認」を固めてから、是正(チケット化)や図面配布(既読管理)へ広げる順が安全です。
本記事は、Webシステム開発・スマホ自動変換「movo」・業務システム構築・フォームUX改善・EC支援を提供する
株式会社インテンスが、実際の開発プロジェクトで蓄積した知見をもとにまとめています。
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