不具合再現(再現試験)を早く回す情報テンプレート|環境・条件・ログの揃え方

不具合解析で一番時間を食うのは、実は技術力そのものではなく、再現条件が揃わないことです。
「こちらでは再現しない」「現場の状況が分からない」「ログが足りない」──この往復が増えるほど、解析は遅れ、現場も疲弊します。
ここでは、再現試験を早く回すために、受付段階で揃えておくべき情報テンプレートを整理します。

関連トピックス
・不具合受付(RMA)の入口設計:ロット・使用条件・添付を揃える
・原因・対策・再発防止まで一元化:品質クレーム管理システム
・試験結果を探せる形で残す:評価データの整理

1. 再現試験が詰まる“典型パターン”を先に潰す

再現が詰まる理由は、だいたい次のどれかです。技術議論に入る前に、情報欠落を潰す設計にします。

2. 受付フォーム(またはヒアリング票)の“最小テンプレ”

入力項目は増やしすぎると嫌われます。そこで「解析に必須の核」だけ先に揃えます。
BtoBの不具合受付なら、最初の段階でここまで揃うと再現が早いです。

2-1. 対象特定(誰の何か)

2-2. 発生状況(いつ・どのくらい)

2-3. 使用環境(再現条件の骨格)

“相手機器”が抜けると再現が止まる
現場側は「自社装置の不具合」と捉えがちですが、実際は相手機器の設定やFW差分で挙動が変わることが多いです。
型式・FW・設定ファイル(可能なら)までが取れると一気に早くなります。

3. 手順は“操作の列挙”ではなく「前提→操作→期待→実際」で書かせる

「こうしたら起きた」だけだと、前提がズレて再現しません。
テンプレとして、次の4点で書かせると、再現性が上がります。

※ 可能なら、操作の“動画”が強いです。写真・動画の添付設計は、一般の添付設計と同様に、容量・拡張子・公開範囲まで決めておくと事故が減ります。

4. ログの揃え方:必須ログを“選べる”ようにしておく

ログは「とりあえず全部ください」だと、現場が疲れます。
逆に、必要なログが欠けると解析が止まります。
現実的には、ログ種別を選択肢化して、必要なものだけ取れるようにします。

ログの“期間”を先に指定する
「発生直前10分〜発生後5分」「発生日の0:00〜24:00」など、期間を指定できるUIにすると、データ量が現実的になります。

5. 受付→解析→対策の流れを“ステータス”で破綻させない

再現試験は、担当が複数に跨ります(現場、営業、品質、設計、評価)。
ここでステータスが曖昧だと、誰がボールを持っているのか分からなくなります。
ステータス設計は、一般の問い合わせ管理と同じく、ステータス運用ルールの考え方がそのまま使えます。

インテンスでも、現場が疲れない不具合受付の設計は「追加情報待ち」を強くし、往復回数を減らす方向で組み立てることが多いです。
製造業の文脈での全体像は 製造業向けシステム開発例 が近いイメージです。

まとめ

再現試験を早く回す鍵は、技術論に入る前の“情報の揃え方”にあります。品番・ロット、環境条件、再現手順、必要ログをテンプレ化し、追加情報待ちを減らすだけで、解析のスピードは大きく変わります。
入口(RMA)から対策・再発防止までを一続きにすると、「同じ往復」を繰り返さない組織になります。

本記事は、Webシステム開発・スマホ自動変換「movo」・業務システム構築・フォームUX改善・EC支援を提供する 株式会社インテンスが、実際の開発プロジェクトで蓄積した知見をもとにまとめています。 株式会社インテンス(公式サイト)