ECR/ECO(設計変更)の申請フロー設計|影響範囲・承認・通知を“漏らさない”

設計変更は「図面を直す」だけでは終わりません。
BOM、工程、検査、試験、規格、在庫、出荷、客先提出物──どこか1箇所でも漏れると、現場が後で爆発します。
ECR/ECOのWeb化で狙うのは、スピードよりも 影響範囲を漏らさないこと。そのための項目と画面の作り方をまとめます。

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1. ECRとECOを分ける(混ぜると事故る)

現場でありがちな失敗が「とりあえず変更します」でECO相当まで進んでしまうことです。
運用としては、次のように分けた方が回ります。

ECR段階では“影響が分からない”のが普通です。だからこそ、ECOに上げる前のチェックを仕組みにします。

2. 入力項目(ECR):まずは「理由」と「現象」を揃える

ECRの段階で必要なのは、設計案よりも「何が起きているか」です。
不具合起点なら、受付(RMA)と同じテンプレが流用できます:不具合受付フォーム

3. 影響範囲チェック(ECO):ここを“チェックリスト”にする

ECOで一番価値が出るのは、影響範囲の棚卸しです。
自由記述だけだと漏れるので、項目としてチェックさせます(Yes/No/要調査)。

“要調査”を用意する
現場はその場で全部判断できません。「Yes/No」だけにすると、適当にNoにされます。要調査を残し、担当と期限を付けるのが現実的です。

4. 承認ルート:固定ルートより「条件分岐」が効く

承認が形骸化するのは、関係ない人まで承認に入ってしまうからです。
条件分岐の例を挙げます。

この条件分岐が作れると、承認が“仕事”になります。インテンスで作る場合も、最初は分岐を少なめにして、詰まりポイントが見えたところから増やすやり方が多いです。

5. 切り替えタイミング:いつから新Revかを曖昧にしない

設計変更で揉めるのは「いつから切り替えるの?」です。
ECOには切り替え条件を必須にします。

6. 通知:関係者の“見落とし”を前提にする

通知は送ったつもりで終わりがちです。そこで、通知対象を仕組み側で決めます。
例えば「在庫影響Yesなら倉庫・出荷」「工程影響Yesなら製造」「規格影響Yesなら認証担当」など。
通知が多すぎると無視されるので、条件付きが効きます。

まとめ

ECR/ECOを回すコツは、設計案の良し悪しより「影響範囲を漏らさない」ことにあります。ECRで理由と現象を揃え、ECOで影響チェックをYes/No/要調査で持ち、条件分岐の承認にする。切り替え条件を必須にして、通知も条件付きで絞る。
製造業の運用を止めずに整理したいなら、製造業向けシステム開発例の文脈と相性が良いです。

本記事は、Webシステム開発・スマホ自動変換「movo」・業務システム構築・フォームUX改善・EC支援を提供する 株式会社インテンスが、実際の開発プロジェクトで蓄積した知見をもとにまとめています。 株式会社インテンス(公式サイト)