引渡し後に困らない:竣工図書と設備台帳のまとめ方

引渡し後に「必要な資料が見つからない」「どれが最新版か分からない」は、かなりの確率で起きます。
原因は、資料が多いことではなく、揃える単位と更新ルールが決まっていないことです。

ここでは、竣工図書(引渡し資料)と設備台帳を、あとから探せる形にまとめるための実務ポイントを整理します。
改訂を扱う前提は 図面改訂・仕様変更を「配布+既読」で管理 の考え方が土台になります。

このテーマと相性がいいページ
・改訂の回し方:図面改訂・仕様変更の配布+既読
・ファイル/図面の扱い:ファイルアップロード設計
・マスタと台帳の基本:マスタ運用の設計ガイド
・証跡を残す:監査ログ設計
・バックアップ前提:バックアップと復旧設計
・設備・レイアウト情報:備品・レイアウト情報の取得設計

1. 竣工図書は「束ね方」を先に決める

竣工図書を「フォルダに全部入れる」運用だと、引渡し直後は何とか見えても、半年後に迷子になります。
まずは束ね方(分類)を固定します。

分類は「引渡し後の探し方」に合わせる
工事側の都合で分類すると、運用側が探しにくくなります。
設備台帳の軸(場所・機器・系統)と揃えると迷子が減ります。

2. “最新版”はファイル名ではなく、改訂履歴で決める

竣工図書で揉めるのは「最新版がどれか」です。
ファイル名に頼ると破綻するので、改訂履歴で決めます。

この“配布+既読”の考え方は 図面改訂の運用 がそのまま当てはまります。

3. 設備台帳は「場所」「機器」「保守」の3軸が揃うと強い

設備台帳がただの一覧になっていると、結局は使われません。
実務で役に立つのは、次の3軸で探せる状態です。

台帳の“軸”を決めるときは、マスタ運用の考え方が効きます(マスタ運用)。

4. ファイルの登録は「重さ」と「権限」を先に決める

竣工図書は、PDFもあればCADもあり、容量が大きくなりがちです。
後から揉めないように、最初にルールを切っておきます。

この辺りの整理は ファイルアップロード設計 と相性が良いです。

5. 証跡(誰が・いつ・何を)を残して、引渡し後の説明責任に備える

引渡し後は「渡した/渡してない」「聞いてない」が起きます。
資料の公開・差替え・受領の証跡があると、話が早いです。

監査ログの基本は 監査ログ設計 を土台にすると組み立てやすいです。

6. “消えない前提”を作る(バックアップと復旧)

資料が揃っていても、消えたら終わりです。
バックアップは後付けになりがちなので、最初に「戻せる前提」を置きます。

考え方は バックアップと復旧設計

まとめ

竣工図書と設備台帳を“引渡し後に使える形”にするには、束ね方(分類)と最新版の決め方(改訂履歴)を先に固定するのが要点です。
設備台帳は「場所・機器・保守」の3軸を揃え、ファイルは容量・権限・証跡・バックアップまで含めて運用の形に落とします。
インテンスで組む場合も、改訂と台帳の軸が揃うだけで、半年後の探しやすさが変わります。

本記事は、Webシステム開発・スマホ自動変換「movo」・業務システム構築・フォームUX改善・EC支援を提供する 株式会社インテンスが、実際の開発プロジェクトで蓄積した知見をもとにまとめています。 株式会社インテンス(公式サイト)