8DやCAPAは、作り方を知っていても回りません。
回らない理由はだいたい同じで、「暫定対策で止まる」、「効果確認がやられない」、「横展開が口約束で終わる」。
原因分析の手法(なぜなぜ、特性要因図)が正しくても、ワークフローが弱いと最後に崩れます。
この3点は“人の頑張り”では解決しません。画面とステータスで固定します。
画面の背骨は単純です。複雑にすると入力が嫌われます。
原因の書き方そのものは現場の流儀がありますが、少なくとも「仮説」と「確定」を同じ欄に混ぜないだけで、読みやすさが変わります。
ステータスは細かすぎても回りませんが、雑だと止まります。8D/CAPAなら次くらいが現実的です。
「実施済(確認待ち)」を入れるのがポイントです。やった本人は完了のつもりでも、確認側から見ると未完了のことが多いからです。
是正処置は、文章だけだと説得力がありません。現場写真、手順書改定、検査記録、試験結果が揃って初めて強くなります。
添付を単に貼るのではなく、用途を選ばせます(後で探せる)。
「探せる」状態を作るという点では、評価データ整理と同じ発想です。
恒久対策が設計変更・工程変更に触れると、ECOが通るまで進みません。
ここでCAPA側を放置すると、結局、期限だけが過ぎます。
対策として、CAPAとECR/ECOをリンクし、どこで止まっているか見えるようにします。
ECR/ECOの設計そのものは 設計変更の申請フロー を土台にすると作りやすいです。
横展開は、対象の列挙だけだと必ず漏れます。
「誰が確認し」「何をもって完了とするか」を、対象ごとに持てる形にします。
インテンスでも、横展開は“良いこと”として扱われがちですが、実務ではここが一番漏れやすいので、画面側で手当てします。
8D/CAPAを回す鍵は、原因分析のテクニックより、暫定→恒久→効果確認→横展開が止まらないワークフローです。確認待ちを明示し、証跡を用途別に残し、ECO待ちを見える化する。これで「形だけのCAPA」から抜けやすくなります。
品質領域の実装イメージは 製造業向けシステム開発例 とも近い話です。