物流の見積フォームは、他業種の見積フォームと同じ作り方をすると高確率で破綻します。 理由は、見積単価の前提が「距離」だけではなく、運び方(路線便/チャーター/混載)、荷姿(パレット/バラ/長尺)、容積重量、集荷・配送のウィンドウ(時間指定)、さらに付帯作業(荷役・検品・流通加工)で大きく変わるからです。
物流の見積で最も危険なのは、全てを一つのフォームで共通化しようとすることです。 共通化すると、路線便ユーザーにチャーター前提の質問が刺さり離脱します。逆に、チャーター案件に路線便レベルの情報しか集まりません。 最初に次のように分岐させるだけで、後工程が一気に楽になります。
分岐の切り方(目的ベースで迷わせない)という意味では、 問い合わせ種別プルダウンの設計パターン の「目的・緊急度で切る」考え方が物流にも有効です。
路線便は「重量」だけで見積が出ると思われがちですが、実務では容積重量(サイズ換算)が刺さります。 そのため、荷姿(段ボール/クレート/パレット)と、三辺サイズ・個数の回収が重要です。
| 項目 | 入力例 | なぜ必要か |
|---|---|---|
| 荷姿 | 段ボール/パレット/長尺 | 運賃体系・取扱可否に直結 |
| サイズ | 縦×横×高さ(cm) | 容積重量の算定 |
| 重量 | kg(総重量/1個あたり) | 運賃・荷役条件 |
| 発送頻度 | 毎日/週2/スポット | 単価(契約)を決める前提 |
チャーターは「何トン車ですか?」から入ると失敗しやすいです。 実務で詰まりやすいのは、時間指定、荷待ち、待機、そして積付制約(フォーク可否、パワーゲート、手積み)です。 車格はそれらが確定してから決まることも多いので、まず制約を取ります。
時間枠やウィンドウの入力設計は、予約カレンダーの考え方と近いです。 時間枠設計の実務ガイド を、物流の集荷・納品ウィンドウに置き換えると設計が早いです。
3PLの見積で最も危険なのは、平均値だけを聞いて終わることです。 実務では、繁忙期の波動(例:月末、セール時)で人員・スペースが決まるため、波動を数字で取らないと見積が外れます。
細かい数値入力が必要な箇所は、範囲指定や段階選択で負担を下げるのが現実的です。 UIとしては 範囲指定UI の考え方が使えます(例:月間出荷「〜500」「〜2000」などの段階化)。
物流の見積は、営業だけで完結しません。配車、現場、倉庫管理などが関与し、ボールが移動します。 ここを曖昧にすると「見積が出ない」状態になります。最小でよいので、次を分けます。
振り分けルール(地域、サービス形態、荷主規模)を明確にするなら、 担当振り分けルールの設定方法 と、基礎となる ステータス運用 をセットで設計すると破綻しにくいです。
物流見積は、最初から全部集めようとすると離脱します。 初回は「サービス形態」「荷姿」「集荷・納品」「頻度」など見積の入口だけ揃え、追加が必要な案件だけ追加入力へ誘導する方が現実的です。
送信後の追加入力・追加質問を自動化する発想は、 追加情報取得オートメーション をそのまま使えます(不足項目を“案件ごとに”出し分けるのがコツです)。
物流の全体像(見積→受注→配車→実績→請求)を俯瞰するなら、 物流向けシステム開発例 を入口に、どこまでWeb化するかを整理すると要件がブレにくいです。
物流の見積フォームは、路線便・チャーター・3PLで必要情報が根本的に異なるため、最初にサービス形態で分岐させるのが要点です。 路線便は容積重量と荷姿、チャーターは時間指定と荷役・積付制約、3PLは波動と付帯作業を数量で回収する。 そのうえで、見積までのステータスと担当振り分け、送信後の追加入力を組み合わせると、往復と放置が減り、見積回答が速くなります。