品質会議・経営報告用のクレーム統計ダッシュボード設計

品質会議や経営報告で「今月のクレーム件数は○件でした」だけを見ても、意思決定は進みません。
必要なのは、重大度・再発・影響範囲・収束スピード・工程/供給者の偏りなど、改善につながる切り口です。
この記事では、品質クレーム管理データ(クレーム管理システム)を“判断材料”に変えるダッシュボード設計を整理します。

このダッシュボードが支える判断
・今月の悪化は「件数」か「重大度」か
・再発が増えているのはどの領域か
・クローズが遅い原因はどこか(解析?対策?効果確認?)
・供給者/工程の偏りはあるか(パレート)
・対外説明(外部ビュー)の整備が追いついているか

1. まずKPIを決める:件数だけではなく“質”と“速度”

品質のダッシュボードでよくある失敗は、カウント指標だけに寄ることです。
最低限、次の3カテゴリでKPIを揃えると、会議が進みやすくなります。

A. 発生(規模)

B. 収束(速度)

C. 再発(学習)

これらの指標を成立させるには、クレーム側の分類・タグが揃っている必要があります(タグを改善施策に活かす)。

2. パレート設計:工程・原因・供給者・顧客の“偏り”を可視化する

品質会議で強いのはパレートです。件数だけでなく、重大度スコアや影響台数で重み付けすると、優先順位が決まります。

「分類が揃わない」問題
分類がバラバラだと、パレートは嘘になります。
入力側(クレーム管理)のカテゴリ・タグを軽量でも統一することが前提です(クレーム管理設計)。

3. ドリルダウン設計:経営には“要約”、現場には“掘れる”

ダッシュボードは、要約だけだと現場が使えず、詳細だけだと経営が見ません。
よって、上は要約、下は掘れる構造が必要です。画面レイアウトは ダッシュボードの画面レイアウト の考え方が使えます。

一覧のカラム設計は 一覧カラム設計 を流用し、フィルタは 絞り込み条件設計 を前提にすると破綻しにくいです。

4. スナップショット:過去の報告値が変わると信頼が落ちる

ダッシュボードを運用していると、「先月の数字が後から変わった」が必ず起きます。
原因は、データが更新されるからです(クローズ、再分類、重大度見直しなど)。
経営報告で必要なのは、当時の確定値の保存(スナップショット)です。

5. 外部提示ビューとの連動:説明の整備状況もKPIにする

営業や顧客対応が詰まるのは、説明が整っていないときです。
外部提示用ビュー(顧客・営業向け品質情報ビュー)の更新状況を、KPIとして見える化すると、ボトルネックが潰れます。

6. 権限と監査:経営・品質・製造で“見える範囲”を変える

クレーム統計でも、顧客名や供給者名は見せ方に配慮が必要です。
権限設計は 権限・ログ を前提に、
「誰が何を見られるか」を最初に決めます。インテンスでも、ダッシュボードは“全員に同じ画面”にしない前提で設計します。

まとめ

品質会議・経営報告用ダッシュボードは、件数だけでなく、重大度・速度・再発の3軸でKPIを揃えることが要点です。
パレートで偏りを出し、上は要約・下は掘れる構造にし、月次スナップショットで信頼性を守る。
外部提示ビューの整備状況も含めて可視化すると、品質対応が“組織として改善される状態”になります。

本記事は、Webシステム開発・スマホ自動変換「movo」・業務システム構築・フォームUX改善・EC支援を提供する 株式会社インテンスが、実際の開発プロジェクトで蓄積した知見をもとにまとめています。 株式会社インテンス(公式サイト)