税理士事務所の顧問先ポータル設計と画面構成の基本パターン

顧問先対応が増えてくると、いちばん先に限界が来るのは「資料を集める」「状況を伝える」「確認の行き違いを潰す」の3つです。
メール添付が当たり前のままだと、最新版がどれか分からない未提出が誰なのか見えない担当者が替わると経緯が消えるが起きがちです。
そこで、顧問先向けに“やること”がまとまったポータルを用意すると、事務所側の消耗がかなり減ります。

あわせて読む(同じ流れで作りやすいテーマ)
・年末調整をWebフォーム化:年末調整・法定調書のフォーム設計
・契約プランと料金表の管理:業務メニュー・料金テーブル管理
・期限とアラートの運用:申告・納付期限カレンダー設計

1. ポータルの役割を「連絡手段」から切り離す

顧問先ポータルを失敗させる原因のひとつが、「チャットもファイルも全部ここで」と詰め込みすぎることです。
最初は、ポータルの役割を次に絞った方が運用が安定します。

チャットは既存ツール(Teams/Chatwork等)で足りるケースが多く、最初から抱えない方が現実的です。

2. 画面構成の基本パターン(顧問先側)

顧問先側の画面は、迷わせないのが正義です。基本は次の3画面だけでも回ります。

2-1. ホーム(今月のやること)

2-2. 提出(アップロード)

2-3. 連絡・確認(差し戻し/確認依頼)

“差し戻し”の作法を決める
差し戻しが増えるほど、顧問先のストレスが上がります。差し戻し理由は「不足」「不鮮明」「内容確認」「形式違い」など選択肢を用意し、文章を長くしない方が通ります。

3. 事務所側の画面は「顧問先別」より先に「タスク別」が効く

事務所側が見たいのは、「A社の状況」よりも「未提出がどれだけあるか」「差し戻しが溜まっていないか」です。
そのため、一覧の切り口は“顧問先別”に寄せすぎない方が回ります。

この「一覧で回す」発想は、問い合わせ管理のステータス運用に近いです(考え方だけなら ステータス運用ルール が参考になります)。

4. アカウント設計:顧問先の“人”が複数いる前提にする

顧問先は法人なら担当者が複数います。社長・経理・総務で見たいものが違うこともあります。
そこで、最初から「顧問先=1アカウント」にはしない方が安全です。

5. セキュリティは“やり過ぎない”が、ログは必須

税務資料は個人情報も含みます。だからこそ、セキュリティは当然気にしますが、現場が使えない強度にすると放置されます。
現実的には、次を押さえるだけで事故はかなり減ります。

ログ設計の観点は、一般論として 権限・ログ設計 の延長で考えると整理しやすいです。

まとめ

顧問先ポータルは、豪華な機能より「資料依頼」「提出」「差し戻し」「進捗」の4点を揃える方が先です。
インテンスで作る場合も、最初は“提出物タスク+アップロード+進捗”の骨格を作り、年末調整や期限カレンダー(期限アラート)のような季節業務から拡張する形が相性が良いです。
士業向けの全体像は 士業事務所向けシステム開発例 もあわせて見るとイメージがつきます。

本記事は、Webシステム開発・スマホ自動変換「movo」・業務システム構築・フォームUX改善・EC支援を提供する 株式会社インテンスが、実際の開発プロジェクトで蓄積した知見をもとにまとめています。 株式会社インテンス(公式サイト)