年末調整・法定調書業務をWebフォーム化するときの設計ポイント

年末調整や法定調書の時期は、税理士事務所も顧問先も「人手が足りない」状態になりがちです。
しかも、差し戻しの理由が単純なことも多い。たとえば 添付が足りない数字の桁が違う対象者の有無を誤解している など。
Webフォーム化の狙いは、入力を楽にすることより「差し戻しを減らして、集計の手戻りを潰す」ことに置くと失敗しにくいです。

関連テーマ
・顧問先ポータルの土台:顧問先ポータル設計
・期限の見える化(出し忘れ対策):申告・納付期限カレンダー
・差し戻しが増えるなら:エラーメッセージ設計

1. 「入力させる」より「判定させる」項目を先に作る

年末調整は、全員に同じ入力をさせると疲れます。
まずは、対象者かどうかを分ける“判定”を置きます。ここが整理できると、不要な欄が消えて、差し戻しも減ります。

“対象外”を早めに確定させる
対象外が確定できると、記入漏れではなく「対象外として処理済み」になります。現場の心理的負担も下がります。

2. 添付設計:スマホ撮影前提で“足りない添付”を潰す

年調の詰まりは添付が原因になりがちです。
ただ、添付のルールを文章で書いても読まれません。フォーム側で、必要な添付だけ出す作りに寄せます。

添付の“不足”は、送信後の差し戻しより、送信前のチェックが効きます。フォームのバリデーションの考え方は 即時バリデーション と近いです。

3. 入力項目は「顧問先の給与担当がまとめて入力する」前提も持つ

顧問先によって、入力者が従業員本人か、給与担当(総務)かが違います。
ここを想定せずに作ると、ログインや委任が面倒になって止まります。

最初から両方に対応するのが難しければ、顧問先側の運用に合わせてどちらかに絞り、次年度で拡張するのが現実的です。

4. 差し戻し設計:指摘が散らばらない“コメントの置き場”を作る

差し戻しがメールだと、対象者・対象項目・最新版が混ざります。
フォーム化するなら、差し戻しは「対象者 × 指摘項目」に紐づけて残します。

このステータスの作り方は、問い合わせ運用の考え方(ステータス設計テンプレ)がそのまま使えます。

5. 個人情報の取り扱い:閲覧範囲とログが大事

年末調整は個人情報の塊です。だからこそ、閲覧範囲を切るのが先です。
従業員本人が入力するなら本人のみ。給与担当が入力するなら担当者権限。税理士事務所側も担当者範囲で絞る。
そして最後に、操作ログ(誰がいつ見たか)を残します。

権限とログの基本は 権限・ログ設計 の延長で整理できます。

まとめ

年末調整・法定調書をWebフォーム化するなら、入力欄を増やすより「対象判定」「必要な添付だけ出す」「差し戻しの置き場を一本化」の3つが効きます。
顧問先ポータル(顧問先ポータル設計)の中の“季節業務”として組み込み、期限アラート(カレンダー設計)まで繋げると、顧問先の出し忘れも減ります。
インテンスで作る場合も、最初は年調の「差し戻し削減」に狙いを絞った方が運用に乗りやすいです。

本記事は、Webシステム開発・スマホ自動変換「movo」・業務システム構築・フォームUX改善・EC支援を提供する 株式会社インテンスが、実際の開発プロジェクトで蓄積した知見をもとにまとめています。 株式会社インテンス(公式サイト)