税務申告・納付期限カレンダーの設計とアラート運用の考え方

期限管理は地味ですが、税理士事務所の品質を左右します。
「分かっていたのに追えていなかった」が一番つらい。しかも期限は、顧問先ごとに条件が違います。決算月、課税事業者かどうか、納期の特例、電子申告の運用…。

ここでは、期限カレンダーを“ただの日付一覧”で終わらせず、未完了を追える仕組みにするための設計ポイントをまとめます。

関連テーマ
・顧問先ポータルの入口:顧問先ポータル設計
・契約メニューと期限の紐づけ:業務メニュー・料金台帳
・職員の進捗を見える化:タスク進捗ダッシュボード

1. 期限カレンダーは「イベント」ではなく「タスク」として持つ

カレンダーに日付だけ入れると、終わったかどうかが追えません。
期限管理で必要なのは、日付よりも「やることが完了したか」です。
そこで、期限を タスク(完了・未完了を持つ)として持ちます。

状態設計は、問い合わせ管理の考え方(ステータス設計)と同じで、「顧問先待ち」を用意しておくのが現実的です。

2. 期限の自動生成:顧問先ごとの“前提条件”を最小限持つ

自動生成が効くのは、前提条件が揃っている場合です。逆に、前提が曖昧なまま自動生成すると、間違った期限が並びます。
最低限、次の情報を顧問先マスタに持たせると、カレンダーが実用になります。

この前提条件は、顧問先の契約メニュー(業務メニュー管理)と同じ場所に置くと、更新漏れが減ります。

3. アラート設計:通知を増やすと、逆に見なくなる

アラートは多いほど良いわけではありません。実務では「見ない」方向に慣れます。
おすすめは、段階を3つに絞ることです。

未完了だけ通知する
「全部通知」だと、完了済みまで混ざります。未完了だけに絞ると、通知が仕事になります。

4. 顧問先への通知:テンプレは作るが“送り先”を固定しない

顧問先へのリマインドは、担当者が変わると破綻します。
顧問先ポータル(ポータル設計)と連携できるなら、通知先を「顧問先の担当者アカウント」に寄せます。
メール送信だけに頼るより、ポータル内に「未提出の提出物」が出ている方が強いです。

5. “顧問先待ち”を分解する:何を待っているのか分からないと止まる

期限が迫っているのに「顧問先待ち」のまま止まるケースは多いです。
このとき、何を待っているかが分かるようにしておくと、追いかけが具体的になります。

まとめ

税務の期限カレンダーは、日付を並べるだけでは回りません。期限を“完了状態を持つタスク”として持ち、顧問先マスタの前提条件で自動生成し、通知は未完了だけに絞る。顧問先待ちを分解して「何を待っているか」を見える化する。
インテンスで作る場合も、まずはタスク化と未完了通知の骨格を作り、次に職員の稼働(ダッシュボード)へ繋げると、繁忙期の詰まりが減ります。
士業向けの取り組み全体は 士業事務所向けシステム開発例 と相性が良いテーマです。

本記事は、Webシステム開発・スマホ自動変換「movo」・業務システム構築・フォームUX改善・EC支援を提供する 株式会社インテンスが、実際の開発プロジェクトで蓄積した知見をもとにまとめています。 株式会社インテンス(公式サイト)