タイヤ交換・持込取付の予約フォーム設計|車両情報と適合確認を先回りして店頭オペを詰まらせない

タイヤ交換・持込取付の予約は「日時が取れたら完了」ではありません。現場で詰まりやすいのは、当日に適合しない必要部材がない作業想定より時間がかかるの三つです。 とくに持込の場合、ホイールのPCD(例:114.3)、穴数(4H/5Hなど)、ハブ径、インセット(オフセット)といった適合条件が揃わないと、当日になって作業不可や追加作業が発生し、店頭オペレーションが崩れます。

この記事の対象読者
・タイヤショップ/整備工場で、Web予約は入るが当日トラブルが多い方
・電話確認の往復が多く、受付〜作業計画が回っていないと感じている方
・持込取付(ネット購入含む)を増やしたいが、適合確認コストが重い方

1. 予約フォームのゴールは「作業メニュー確定+前提条件の確定」

予約フォームをカレンダーだけにすると、当日まで前提が確定しません。 実務上のゴールは、作業メニュー(何をやるか)と、適合確認に必要な最小セット(できる/できないの判定)を先に確定することです。

1-1. よくある“前提不足”の例(当日トラブルの原因)

2. 入力項目の設計:車両情報→作業メニュー→持込情報の順が安全

ユーザーは「何をしたいか」は言えますが、「何が必要か」は言えないことが多いです。 そのため、設計順序は車両特定(前提)→作業メニュー(目的)→持込情報(制約)が安定します。

ブロック 主な項目(例) 狙い
車両情報 車種/年式/型式(分かる範囲)、駆動(2WD/4WD)、純正 or 社外 適合確認の起点を作る
作業メニュー タイヤ交換、組替、脱着、バランス、アライメント、TPMS対応 作業時間と工賃の前提を揃える
適合要素 タイヤサイズ、ホイール径、J数、穴数、PCD、インセット、ハブ径 “当日不可”を先に潰す
持込情報 持込タイヤ/ホイールの入手元、到着予定日、直送可否、同梱部材 受領〜保管〜当日準備を回す

ホイール穴数(4H〜8H等)やホイール幅(J数)といった条件を検索UI側にも出す場合、 入力の“言葉”を揃えないと問い合わせが増えます。条件の見せ方は、製品検索の考え方として 数値条件の絞り込みUIチップ型フィルターUI の設計が流用できます。

3. 必須にしないと回らない項目/任意でよい項目を分ける

フォームを重くしすぎると離脱します。一方で、軽すぎると店頭が詰みます。 ここは“必須の線引き”を明確にします。

3-1. 最低限「必須」に寄せたい項目

3-2. 任意だが、入力されると店頭が助かる項目(“推奨”表示が有効)

「分からない」を許容しつつ、追加回収を自動化すると往復が減ります。 送信後の追加入力の考え方は 追加情報取得オートメーション がそのまま使えます。

4. 時間枠設計:メニュー別に“枠の長さ”を変える(固定枠は破綻しやすい)

タイヤ交換は、同じ「交換」でも作業時間が違います(扁平・ランフラット・TPMS・輸入車等)。 固定の30分枠などで回そうとすると、繁忙期に破綻します。 メニュー別に枠を変えるか、最低でも「追加条件がある場合は長め枠」の分岐が必要です。

枠の粒度・ズレの吸収は、予約一般の設計として 時間枠設計の実務ガイド空き状況表示パターン を土台にすると、運用に耐えやすいです。

5. ステータスと担当割当:受付→適合確認→確定の“ボールの所在”を見える化する

タイヤ・整備の予約は、受付担当・ピット・発注担当の間でボールが移動します。 ここを曖昧にすると「放置」が起きます。まずは最小のステータスで分けます。

ステータス運用のトリガーは ステータス管理の運用ルール の枠組みで決めるとブレません。 担当者の割当が混在する場合は 担当者割当ロジック の考え方で「受付担当→ピット→責任者」へ段階移譲を作るのが安全です。

自動車販売・整備・タイヤショップ領域の全体像(予約〜作業〜在庫・顧客管理)を俯瞰するなら、 自動車販売・整備・タイヤショップ向け を入口に、必要機能の優先度を整理すると要件が早く固まります。インテンスでも、繁忙期の受付負荷を起点に設計を組み直す相談が多いです。

まとめ

タイヤ交換・持込取付の予約フォームは、日時だけでなく「適合確認に必要な前提」と「作業メニュー」を先に確定するのが要点です。 必須/任意を線引きし、分からない入力は写真や追加入力で吸収する。メニュー別の時間枠と、受付→適合確認→確定のステータス運用を組み合わせることで、当日トラブルと放置を減らし、店頭オペレーションを安定させられます。

本記事は、Webシステム開発・スマホ自動変換「movo」・業務システム構築・フォームUX改善・EC支援を提供する 株式会社インテンスが、実際の開発プロジェクトで蓄積した知見をもとにまとめています。 株式会社インテンス(公式サイト)