自動車整備の入庫〜ピット割当を詰まらせない設計|作業指示・部品手配・連絡待ちを一枚で回す

自動車整備は「予約が取れた=段取り完了」ではありません。現場が詰まるのは、入庫した瞬間にピットが空いていない部品が揃っていない追加整備の承認待ちで止まる、の三つが重なるからです。 この状態で電話や紙の作業指示に頼ると、誰が何を待っているのかが見えなくなり、結果として回転率が落ちます。

この記事の対象読者
・整備工場/タイヤショップで、入庫が増えるほど現場が混乱する方
・ピット割当や部品手配が属人化していて、抜け漏れが出る方
・「連絡待ち」「部品待ち」で車が滞留し、予定が崩れることが多い方

1. “詰まり”の正体を分解する:予約・入庫・作業・引渡しは別工程

整備の流れを一言で「作業」と呼ぶと、管理が崩れます。実務では、次の工程が独立していて、それぞれにボトルネックがあります。

予約フォーム側で「適合確認」や「メニュー別の枠」を先に揃えると、入庫後の詰まりが減ります。持込取付やタイヤ交換の前提整理は タイヤ交換・持込取付の予約フォーム設計 が参考になります。

2. 作業指示の粒度:ピットに渡すのは“メニュー”ではなく“タスク”

「タイヤ交換」「車検」「オイル交換」といったメニュー名は、受付側には便利ですが、ピット側には曖昧です。 ピット割当と所要時間を安定させるには、メニューをタスクに分解し、必要な条件(設備・部材・資格)とセットで持たせます。

メニュー タスク分解(例) 条件(例)
タイヤ組替 脱着→組替→バランス→増締→試走 TPMS対応、ランフラット、低扁平
車検 点検→整備→検査ライン→書類 代車、部品交換見込み、外注の有無
ブレーキ 点検→交換→エア抜き→試走 部品在庫、追加整備の可能性

入力項目が増えすぎる場合は、送信後に必要なものだけ追加入力で回収する方が運用が続きます。追加情報の回収設計は 不足情報を後から取り切る方法 の考え方が使えます。

3. ステータスは“待ち”を表現する:整備は進捗より滞留が問題

現場が困るのは「どこまで終わったか」よりも、「何待ちで止まっているか」です。 そのためステータスは、工程の羅列より待ち要因を優先して設計します。

3-1. 最小ステータス例(滞留ポイント優先)

ステータスは増やしすぎると更新されません。設計の基礎は ステータス運用の決め方 を土台にし、期限の扱いは 優先度・期限の運用ルール と合わせると破綻しにくいです。

4. ピット割当:自動・手動・混在を前提にする

「全部自動割当」は現場に合わないことが多いです。急な入庫、設備の空き、担当者の得意分野があるため、現実は混在になります。 おすすめは「自動で候補を出し、最終決定は手動」という構成です。割当の考え方は 担当者割当ロジック を整備向けに置き換えると整理しやすいです。

4-1. 割当ロジックに入れる条件(例)

5. 部品手配の見える化:入荷予定日が“ない部品待ち”が最大の敵

「部品待ち」が厄介なのは、入荷予定日が曖昧なときです。 入荷日が曖昧だと、顧客連絡もできず、ピット計画が崩れます。運用上は、部品待ちを二段階に分けるだけで変わります。

「部品待ち」を期限で回すために、案件一覧に“予定日”を持たせると実務が楽になります。集計や一覧のカラム設計は 問い合わせ管理ダッシュボードのカラム設計 の考え方を流用できます(整備の案件管理に置き換えるだけです)。

6. 顧客連絡の設計:承認待ちを“放置”にしない

追加整備の承認待ちは、放置されると滞留の温床になります。 ここは「いつ・誰が・何を連絡するか」を固定化し、テンプレートも持っておくと強いです。 確認メールの情報整理は 確認メールに入れるべき情報 をベースに、整備向けに置き換えると抜けが減ります。

自動車販売・整備・タイヤショップ全体の設計方針(予約〜案件管理〜将来拡張)を俯瞰するなら、自動車販売・整備・タイヤショップ向け を入口に要件を整理すると、場当たりで機能追加しにくくなります。

まとめ

整備の詰まりは「作業が遅い」より「待ちが見えない」ことが原因になりがちです。メニューをタスクに分解し、部品待ち・承認待ちをステータスで表現し、ピット割当は自動候補+手動確定の混在で回す。 入荷予定日と連絡期限を持たせるだけでも滞留は大きく減ります。

本記事は、Webシステム開発・スマホ自動変換「movo」・業務システム構築・フォームUX改善・EC支援を提供する 株式会社インテンスが、実際の開発プロジェクトで蓄積した知見をもとにまとめています。 株式会社インテンス(公式サイト)