問い合わせ管理が回らなくなる典型は、「期限が無い」または「期限があっても守れない」です。
担当者の頑張りで回していると、繁忙期・担当交代・欠員で崩れます。
そこで使われるのがSLA(Service Level Agreement)の考え方です。
本記事では、SLAを“現場の運用ルール”に落とすために、期限・優先度・保留・割当・表示・集計までを整理します。
問い合わせで揉めるのは「返事が遅い」か「解決が遅い」かが混ざるからです。
そこで期限を2つに分けます。
一次回答は「解決」ではありません。
不足情報の回収(フォローアップ設計)を早く回すための期限です。
この分離だけで、相手の不満は大きく減ります。
優先度は主観だと揉めます。最低限、次の2軸で表にします。
問い合わせ種別の切り方(プルダウン設計)と整合させ、
受付時点で優先度が半自動で付くようにすると運用が揺れません。
「顧客の返信待ち」「外部回答待ち」「部品入荷待ち」など、保留は必ず発生します。
ここで決めるべきは、SLAの時計を止めるかどうかです。
保留の理由は固定し、ステータス運用(運用ルール)として落とします。
理由が自由入力だと、集計できず改善につながりません。
期限があっても、割当が曖昧だと守れません。担当割当は、ルール(自動・手動)を先に決めます。
さらに、期限超過が見えたら“上に上げる”仕組み(エスカレーション)を用意します。
期限管理は、メールや口頭では回りません。ダッシュボードに出す必要があります。
カラム設計は テンプレート を前提に、SLA用に以下を追加すると回りやすいです。
表示が整うと、集計(レポート)につながります。
「遅延が多いカテゴリ」「遅延が多い拠点」「保留が長い理由」を見える化し、改善に回せます。
一次回答が遅いと、そのまま他社へ流れます。業務像は 士業事務所向け を前提に、
一次回答期限を短めに固定し、必要情報が不足している場合は即フォロー(回収設計)へ回すのが効きます。
部品待ちなど保留が発生しやすいので、時計停止のルールを決めないと、期限が形骸化します。
業務像は 自動車販売・整備・タイヤショップ向け を前提に、
「保留理由」と「次の連絡期限(リマインド)」をセットにすると運用が安定します。
SLAは、期限を置くことではなく、期限で運用を回す仕組みです。
一次回答期限と解決期限を分け、優先度を緊急度×影響度で固定し、保留の時計停止ルールを決める。
割当とエスカレーションを用意し、ダッシュボードとレポートで改善に回せば、問い合わせ管理は崩れにくくなります。