設計変更(ECO)と評価結果のトレーサビリティ設計|図面・BOM・試験データをつなぐ

設計変更(ECO)は、図面やBOMを更新するだけで終わらせると、後から「なぜ変えたのか」「どの試験で妥当性を取ったのか」が追えなくなります。
この状態は、監査・顧客説明・不具合再発時に必ず痛みになります。
この記事では、ECOを起点に、影響範囲・評価計画・試験結果・承認の証跡まで一本で追えるトレーサビリティ設計を整理します。

トレーサビリティ設計の核
・変更理由 → 影響範囲 → 評価計画 → 試験結果 → 承認 → リリース
この鎖が切れないように、Rev(版)とリンクの持ち方を決めます。

1. ECOを「申請」ではなく「変更レコード」として扱う

ECOは書類ではなく、変更の履歴そのものです。
よって、ECOには最低限、次を持たせます。

影響範囲を引くには、品目・BOMが整っていることが前提になります(品目マスタ・BOM設計)。

2. Rev(版)を揃える:図面Rev・BOM Rev・仕様Revを必ず結びつける

トレーサビリティが崩れる最大要因は、版のズレです。
ECOから見て、どのRevが「変更前」で、どのRevが「変更後」かを明確にします。
版管理の思想は 版管理 を土台にし、差し替えではなくRevで管理します。

“最新版”ではなく“どのRevで評価したか”が必要
評価結果が「最新版に紐づく」だけだと、後から差し替えで意味が変わります。
評価は“変更後Rev”に紐づけるのが原則です。

3. 評価計画をECOに紐づける:何をやれば承認できるのか

ECOの承認で揉めるのは「評価が足りる/足りない」の論点です。
これを防ぐには、ECOに評価計画をぶら下げ、承認条件を明示します。

評価依頼をフォーム起点で回すなら、案件一覧の“見える化”(試作・評価依頼フォーム)と繋ぐと、計画が現場で回ります。

4. 試験結果は「探せる形」で格納し、ECOにリンクする

ECOに「試験しました(PDF添付)」だけだと、後で探せません。
試験結果は条件で引ける形(試験レコード+条件+添付)で整理し(評価データ整理)、ECOからリンクします。
ここで初めて、ECO→評価→根拠が一本で繋がります。

5. 不具合(RMA)起点の設変:原因と恒久対策の鎖を切らない

設変の多くは不具合起点です。
不具合受付(RMAフォーム)→原因分析→ECO→評価→承認、の鎖が残ると再発防止が効きます。
技術問い合わせが起点の場合は、ナレッジ化(最低限の項目設計)へも戻せるようにします。

6. 承認・リリース:いつから切替で、現場にどう伝えるか

承認は、技術的妥当性だけでなく、切替手順(在庫・工程・検査)の合意が必要です。
承認フローは 承認フロー設計 を土台に、誰がどこまで承認するかを決めます。

品質保証・規格認証との共有は、Webで証跡が残る形が強いです(品質保証・規格認証との情報共有)。
インテンスでも、ECOは「図面更新」ではなく、評価と承認の鎖が切れない設計を重視します。

まとめ

ECOのトレーサビリティは、変更理由→影響範囲→評価計画→試験結果→承認→リリースの鎖を切らないことです。
図面Rev・BOM Rev・評価結果を結び、試験結果は探せる形で格納し、RMAやナレッジにも戻れる動線を作る。
この設計ができると、監査・顧客説明・再発防止が現実的に強くなります。

本記事は、Webシステム開発・スマホ自動変換「movo」・業務システム構築・フォームUX改善・EC支援を提供する 株式会社インテンスが、実際の開発プロジェクトで蓄積した知見をもとにまとめています。 株式会社インテンス(公式サイト)