製造業の業務システムは、品目マスタとBOM(部品表)が弱いと、見積・手配・在庫・不具合対応が連鎖的に崩れます。
「検索できるように一覧を作る」レベルではなく、業務で使える粒度・変更管理・例外吸収が必要です。
この記事では、品目マスタ/BOMを“業務の背骨”として設計するためのポイントを整理します。
品目マスタは、現場の入力が自由になりやすく、表記ゆれや分類揺れが発生します。
しかし、品目は外部連携(基幹、購買、倉庫)でもキーになりやすいため、後から直すのが難しい領域です。
まずは、コード体系の思想(コード体系設計)で、表示名と機械処理を分けます。
品目属性は、用途が違うと必要項目が変わります。
全部を必須にすると登録が止まり、少なすぎると運用で詰まります。
項目の整理は 項目整理 の手順で、“使う工程”から逆算します。
BOMは、現場によっては複数の意味を持ちます。
設計部門が持つBOMと、製造・購買が使うBOMが一致しないケースもあります。
最初から“完全一致”を狙うより、用途ごとに整合点を作るほうが現実的です。
この“用途差分”は、外部連携(データマッピング)の問題でもあるため、最初に定義しておくと後で揉めません。
BOMは必ず変わります。変わらない前提で設計すると、運用が破綻します。
設変は、見積・手配・在庫・不具合解析に影響します。
そのため、BOMは 版管理(Revision) の思想で、確定版は編集不可、変更は新しい版を作る運用が強いです。
実務では、欠品や廃番で代替品が出ます。ロット差分で品質が変わることもあります。
これを自由入力で吸収すると、トレーサビリティが崩れます。
そのため、代替品は関係として持ち、ロット管理が必要なら在庫にロット属性を持つのが基本です。
不具合解析が詰まるのは「情報が揃わない」ことが原因です。
RMAフォーム設計(ロット・使用条件・添付)と、品目・BOMが繋がっていると、対象ロットの部品構成まで追えるため解析が速くなります。
また、添付(写真、ログ、図面)は ファイル添付 の設計で、権限・保存期間まで決めます。
製造業は、基礎データが弱いと「入力が増えるほど現場が苦しくなる」典型です。
業務像は 製造業向け を前提に、
技術問い合わせ(型式・ロット・図番)や、技術資料DL(ゲート設計)と同様に、コードと版管理を先に固めると運用が崩れにくくなります。
インテンスでも、製造業のシステムは“画面”より先に、品目マスタとBOMの定義・版管理・例外吸収を固めることを重視します。
品目マスタとBOMは、製造業の業務システムの背骨です。
品番体系(表示と機械処理の分離)、用途差分(設計/製造/購買)、設変の版管理、代替品・ロットといった例外のモデル化ができると、見積・手配・在庫・RMAが噛み合います。
最初にここを固めるほど、後工程の手戻りが減ります。