検索ログとゼロヒット分析|「見つからない」を改善する運用設計(カタログ/FAQ/拠点検索)

検索機能は、実装直後はそれっぽく動きます。しかし本当に効いているかは「見つかったか」で決まります。
見つからない検索は、ユーザーが何を求めているかの“生ログ”です。ゼロヒットや離脱が多いのに放置すると、フォーム改善やLP改善より先に機会損失が積み上がります。
本記事では、検索ログを使って「見つからない」を潰す運用設計を、実務の手順として整理します。

この記事で扱う論点
・検索ログに残すべき項目(クエリ、フィルタ、結果件数、クリック)
・ゼロヒットの分類(表記ゆれ/カテゴリ不整合/データ不足/用語のズレ)
・同義語・サジェスト・フィルタUIの改善手順
・改善サイクル(週次/隔週で回す現実的な形)

1. 検索ログに残すべき項目:まず「改善できる形」にする

検索ログがあっても、結果件数しか残っていないと改善が進みません。最低限、次を残します。

個人情報が混ざる可能性がある場合は、同意やログの扱いを 同意管理 と矛盾しない形にします。監査性の観点は 監査ログ設計 と同型で「何を、なぜ残すか」を先に決めると安全です。

2. ゼロヒットの分類:原因を4タイプに分けると施策が決まる

この分類ができると、改善の打ち手が一気に絞れます。
たとえば A は正規化とサジェスト、B は同義語辞書、C はカテゴリ・フィルタ設計、D はマスタ運用の話です。

3. 打ち手:実務で効くのは「正規化」「同義語」「導線」の3点セット

3-1. クエリ正規化(A対策)

型番・品番検索の体験は、入力補助(サジェスト/入力補助)とセットで考えると効きます。
正規化は、全角/半角、記号揺れ、空白、大小文字などを吸収し、「検索される側の表記」に寄せていきます。

3-2. 同義語と辞書(B対策)

ユーザーは社内用語を知りません。FAQのキーワード設計(検索性向上)と同様に、現場の呼び方・略称・俗称を辞書化して吸収します。

3-3. フィルタUIとカテゴリ(C対策)

フィルタUIは、増やすほど迷わせます。まず設計の骨格は 絞り込みUIの考え方 を前提にして、チップ型(チップ型フィルター)など「解除しやすいUI」に寄せると離脱が減ります。
カテゴリ構造は カテゴリ構造テンプレ と整合するように組み直すと、運用で破綻しにくいです。

4. 改善サイクル:週次で回る“軽い運用”に落とす

検索改善は、気合を入れると続きません。週次で回る最小サイクルが現実的です。

レポート定義が曖昧だと議論が終わらないので、KPI設計とレポート定義の観点で、ゼロヒット率・検索後クリック率・検索後CV(問い合わせ/予約)を先に定義しておくのが安全です。

業種別に効きやすい検索改善(例)

製造業(部品・仕様の検索)

型番や図番は表記ゆれが多く、BOM的な用語も混ざります。業務像は 製造業向け を前提に、正規化+同義語辞書を厚めに作ると効きます。

自動車販売・整備・タイヤショップ(適合・品番・サービス)

タイヤ・ホイールはサイズ表記や略語が多く、ゼロヒットが出やすい領域です。業務像は 自動車販売・整備・タイヤショップ向け を前提に、入力補助(サジェスト)とフィルタ解除のしやすさを優先すると改善が速いです。

まとめ

検索ログは「見つからない理由」を可視化する最強の材料です。
ログ項目を整え、ゼロヒットをA〜Dで分類し、正規化・同義語・カテゴリ/フィルタUIの3点セットで小さく改善を回す。
これを続けるほど、検索が“問い合わせフォームの前段”として機能し、全体の成果が上がります。インテンスでも、検索改善は一度の大改修より、週次の小改善の方が成功率が高いです。

本記事は、Webシステム開発・スマホ自動変換「movo」・業務システム構築・フォームUX改善・EC支援を提供する 株式会社インテンスが、実際の開発プロジェクトで蓄積した知見をもとにまとめています。 株式会社インテンス(公式サイト)