外部連携のデータマッピング設計|項目・コード・例外を“壊れない形”で繋ぐ

外部システム連携は、APIが繋がった時点ではまだ半分です。
実務で壊れるのは「項目の意味ズレ」「コード体系の不一致」「例外処理不足」「再送時の二重登録」です。
この記事では、連携の“地味に痛い”事故を減らすために、データマッピング(項目対応表)をどう設計するかを整理します。

この記事で扱う論点
・項目マッピング(意味ズレを潰す)
・コード体系の変換(カテゴリ/ステータス/担当など)
・冪等性と再送(連打・再試行でも壊れない)
・エラー保留と監査ログ(運用で回せる)

1. 連携は「項目」より「意味」を合わせる

同じ項目名でも、システムが想定している意味が違うことが多いです。
たとえば「納期」が、ある側では“希望日”、別側では“確定日”だった、などは典型です。
このため、マッピングは「項目名対応」ではなく「意味の定義」をセットで持ちます。

入力側の項目整理は 項目整理 や、見積項目(見積依頼)の考え方が土台になります。

2. コード体系:一致しない前提で“変換テーブル”を持つ

カテゴリ、ステータス、担当、拠点などは、ほぼ確実に一致しません。
一致させようとして片側を無理に変えると、運用側が壊れます。
現実解は、変換テーブルを持つことです。

コード体系を崩さない考え方は コード体系設計 が前提になります。

3. 冪等性:再送で二重登録しない(最初から仕様にする)

ネットワークや外部側の混雑で、同じリクエストが再送されるのは普通に起きます。
これに耐性が無いと、二重登録・二重通知・二重請求などの事故になります。
基本は冪等性(二重実行防止)の設計です。

4. エラー保留:失敗したデータを捨てない

連携は必ず失敗します。失敗した時に「何が」「なぜ」失敗したかが残らないと、運用が止まります。
おすすめは、エラーを捨てずに“保留キュー”へ置く設計です。

“沈黙する失敗”が一番危険
失敗を握りつぶすと、現場は「届いてない」ことに気づけません。
最低でも、KPIで保留件数を見える化(KPI)しておくと、運用の安心感が上がります。

5. 監査ログ:誰がいつ何を連携したかを追える

連携は、社内的には“自動で起きる更新”です。
勝手に変わったように見えるため、監査ログが無いと必ず揉めます。
ログは 権限・ログ の考え方で、次を残します。

業種別の典型

製造業(問い合わせ→技術対応→RMA)

型式・ロット・図番などの情報が連携のキーになりやすいです。
業務像は 製造業向け を前提に、
不具合受付(RMAフォーム)の入力項目と、外部(基幹・品質)側の項目定義がズレないよう、意味定義から合わせるのが重要です。

物流(見積→受注→配送)

運賃条件、附帯作業、燃料サーチャージなど、条件の意味ズレが起きやすいです。
業務像は 物流向け を前提に、
見積(条件の聞き方)と受注ステータス(分納・直送)を連携で崩さない設計が肝になります。

自動車販売・整備・タイヤショップ(予約→入庫→作業→精算)

予約枠、作業指示、部品手配、精算が繋がると、ステータス変換が難しくなります。
業務像は 自動車販売・整備・タイヤショップ向け を前提に、
入庫〜ピット割当(詰まらせない設計)の状態を、外部システム側の状態に無理に合わせず、変換テーブルで吸収するほうが運用が安定します。

インテンスでも、外部連携は“APIが繋がった”では終わらず、マッピング・変換・冪等性・保留運用まで含めて設計します。

まとめ

外部連携は、項目名より意味定義を合わせ、コード体系は一致しない前提で変換テーブルを持つのが現実的です。
冪等性と再送、エラー保留、監査ログをセットで入れると、連携は壊れにくく、運用で回る仕組みになります。

本記事は、Webシステム開発・スマホ自動変換「movo」・業務システム構築・フォームUX改善・EC支援を提供する 株式会社インテンスが、実際の開発プロジェクトで蓄積した知見をもとにまとめています。 株式会社インテンス(公式サイト)