大学・パートナー企業との共同研究プロジェクトをポータル化するアイデア

共同研究は、関係者が多く(大学、企業、外部ベンダー等)、成果物も多様(試験データ、レポート、議事録、図面、契約関連)です。
メールと共有フォルダだけで回すと、版ズレ・権限漏れ・探せない問題が積み上がり、研究のスピードが落ちます。
この記事では、共同研究プロジェクトを“権限付きで整理できる”ポータル化のアイデアを整理します。

ポータル化で狙うこと
・誰が見られるか(NDA・契約)を崩さず共有する
・成果物の版(リビジョン)を揃える
・議事録・タスク・成果物が1本で追える状態にする
・評価データを“あとから探せる形”で残す(評価データ整理

1. 共同研究で破綻しやすいポイントを先に押さえる

共同研究で問題になりやすいのは、技術そのものより運用です。特に次の4点が多いです。

権限とログは後付けできないので、最初に 権限・ログ の設計を置き、成果物は 版管理 の思想で固めるのが安全です。

2. ポータルの基本構造:「プロジェクト」→「成果物」→「活動(議事録/タスク)」

ポータルは情報を置く場所ではなく、プロジェクトを回す器です。
最低限、次の3系統を分けて持つと運用が崩れにくいです。

議事録・合意事項は、後で揉める原因になりやすいので、承認フロー(承認設計)で「合意済」を明示できると強いです。

3. 成果物の版ズレを防ぐ:差し替えではなくRevで管理する

共同研究では、ドラフトが乱立します。差し替え運用だと、いつ何が合意されたかが消えます。
成果物は確定版を固定し、修正は新Revで発行します(版管理)。
特に、提出用成果物(対外提出)と、社内検討用(草案)を分けるのが実務的です。

“提出用”の切り出し
社外提出では、社内の検討メモや未検証データを混ぜない必要があります。
提出セットを作れる設計は、品質共有の文脈(規格認証との情報共有)にも繋がります。

4. 評価データの扱い:条件と供試体が追えることが再現性

共同研究のデータは“再現できる形”で残さないと意味が薄れます。
評価データは、試験レコード+条件+添付の構造で整理し(評価データ整理)、プロジェクトIDから引けるようにします。
試作・評価依頼をフォーム起点で回すなら、依頼側の案件一覧(見える化)と紐づけると、研究と現場が繋がります。

5. 共同研究ならではの「権限の分割」:組織・研究室・個人単位

社内だけの権限設計と違い、共同研究は外部が入ります。
そこで、次のレイヤーを分けると事故が減ります。

添付を扱うときは、保存期間やダウンロード権限も含めて設計します(添付設計)。
インテンスでも、共同研究系は「閲覧できる/できない」の線引きを最初に仕様化します。

6. 「プロジェクトが止まる」ポイントを状態で見える化する

共同研究は、成果物が出ない/レビューが止まる/次の実験が決まらない、などで停滞します。
そこで、活動ログに“状態”を持たせると、止まりが見えます。

ステータスの設計は、一般の案件管理(運用ルール)と同じで、遷移を決めることが重要です。

業種別の位置づけ(製造業の研究開発・共同研究)

製造業の研究開発では、共同研究の成果を“社内に残す”ことが次の競争力になります。
業務像は 製造業向け を前提に、評価データ、ナレッジ、品質共有が一本で繋がる形にすると、研究成果が現場へ落ちやすくなります。
インテンスでも、共同研究ポータルは「共有」より先に、権限・版・証跡が崩れない設計を重視します。

まとめ

共同研究をポータル化するなら、権限・版・証跡・再現性が鍵です。
プロジェクト基本情報/成果物(Rev管理)/活動ログ(議事録・タスク)を分け、評価データは条件で引ける形で残す。
外部参加者を前提に権限を分割し、合意・確定を状態として扱うと、共同研究が“回る器”になります。

本記事は、Webシステム開発・スマホ自動変換「movo」・業務システム構築・フォームUX改善・EC支援を提供する 株式会社インテンスが、実際の開発プロジェクトで蓄積した知見をもとにまとめています。 株式会社インテンス(公式サイト)