管理画面の検索・フィルタ設計|担当者が迷わない絞り込み導線の作り方

管理画面の検索・フィルタは、用意しただけでは使われません。
現場が求めているのは「検索機能」ではなく、今日の作業が詰まらずに終わることです。
そのためには、絞り込み条件の項目そのものよりも、初期表示・保存ビュー・並び替え・担当者の行動導線までを含めて設計する必要があります。

この記事で扱う論点
・検索が使われない原因(項目が多い/初期値が弱い/並び順が違う)
・「保存ビュー(よく使う絞り込み)」の作り方
・カラム(一覧表示)とフィルタの整合
・ステータスや期限との組み合わせ(作業優先度が見える形)

1. まずは「現場が実際にやっている絞り込み」を言語化する

検索UIを先に作ると、だいたい失敗します。先にやるべきは、現場が今どんな順番で処理しているかの棚卸しです。

この「処理の順番」に合わせて、保存ビューの候補を作ります。保存ビュー・フィルタの考え方は、保存ビュー・フィルタ設計ガイド と同じで、
条件の自由度より「迷わず押せる定番」を優先します。

2. フィルタ項目は増やすより「効く項目」を揃える

項目を増やすほど、運用は重くなります。
実務で“効く”のは、次のような項目です。

「フリーワード検索」は便利ですが、運用の中心にはなりにくいです。
フリーワードは補助として置き、主軸は“押せば効く”フィルタにします。

3. 一覧カラムとフィルタはセットで設計する

フィルタだけ作っても、一覧の情報が足りないと現場は動けません。
一覧カラム設計は ダッシュボードのカラム設計 と同じで、
「次の判断に必要な情報」を最短で揃えます。

よくある“足りない”例
・期限が一覧に出ない → 期限フィルタがあっても処理が進まない
・保留理由が見えない → 保留案件の棚卸しができない
・担当変更履歴が追えない → 二重対応や放置が起きる

特に期限・優先度・保留理由は、運用ルール(失敗しにくい設計)と合わせて揃えると、フィルタが“作業の地図”になります。

4. 保存ビュー(定番ボタン)を作ると、検索が“現場の言葉”になる

保存ビューの強みは、条件が固定されることではなく、現場の作業がボタンになることです。
例えば次のようなビューがあると、迷いが減ります。

インテンスで制作する案件でも、まず保存ビューから作ると、現場導入がスムーズになるケースが多いです。

業種別の典型

物流(入出庫・納品予約)

期限とステータスが現場の滞留コストに直結します。業務像は 物流向けシステム開発例 を前提に、
「本日入荷」「本日出荷」「受付待ち」「差し戻し」などの保存ビューを先に用意すると、教育コストが下がります。

自動車販売・整備・タイヤショップ

入庫・部品手配・連絡待ちが混ざり、一覧が散らかりやすい領域です。業務像は 自動車販売・整備・タイヤショップ向け を前提に、
「部品待ち」「顧客連絡待ち」「本日入庫」など“待ち理由”のカラムとフィルタを揃えると、詰まりが見える化します(通知設計は 通知・リマインド とも相性が良いです)。

まとめ

検索・フィルタは機能ではなく、現場の作業導線です。
現場の処理順を棚卸しし、効く項目(ステータス・期限・担当)を揃え、一覧カラムと保存ビューをセットで設計する。
これだけで、管理画面の“探す時間”が“処理する時間”に変わります。

本記事は、Webシステム開発・スマホ自動変換「movo」・業務システム構築・フォームUX改善・EC支援を提供する 株式会社インテンスが、実際の開発プロジェクトで蓄積した知見をもとにまとめています。 株式会社インテンス(公式サイト)