重複データのマージ設計|顧客・問い合わせ・予約の“二重登録”を事故らせない

重複はゼロになりません。
メールと電話で別登録、担当者が違って二重登録、フォーム送信が二重、予約が同名で別人…。
重複を放置すると二重対応・放置・集計の崩壊が起きますが、マージを雑にすると“誤統合”の事故が起きます。
この記事では、重複を前提にした安全なマージ設計を整理します。

この記事で扱う論点
・重複が起きる入口(フォーム/電話/メール/外部ポータル)
・同一判定(自動統合できる条件/できない条件)
・マージ手順(親子、履歴、参照の付け替え)
・権限・ログ・ロールバック(戻せる仕組み)

1. まず“何が重複すると困るか”を分ける

重複にはレベルがあります。全部を同じ扱いにすると失敗します。

受付チャネル横断の考え方は 電話・メール・フォームの統合 とセットで整理すると、
重複が「入口の違い」なのか「本当に別件」なのかが判断しやすくなります。

2. 同一判定:自動でやるのは“強いキー”だけ

誤統合のリスクを最小化するには、自動統合を強いキーに限定します。
候補提示(人が判断)と分けるのが基本です。

“安全側”の作り
・自動統合は強いキー限定
・それ以外は候補として提示し、人が確定
・統合した人と理由をログ化(説明できる)

3. マージ仕様:統合の中心は「参照付け替え」と「履歴の保持」

マージで重要なのは、データを消すことではなく、参照関係が崩れないことです。
現実的には次の設計が破綻しにくいです。

また、マージ対象を見つけやすいように、一覧の検索・フィルタ(絞り込み導線)を合わせて整備しておくと運用が回ります。

4. ロールバック:誤統合を“戻せない”と運用が止まる

誤マージは必ず起きます。だから、戻せないマージは現場が怖くて使いません。
最低限、次の情報は残します。

権限とログは 権限・ログ設計 を前提に、
マージ操作は管理者のみ、候補確認はスタッフでも可、といった分離が現実的です。

5. “重複を減らす”側の打ち手(入力・運用)

マージ設計と同時に、重複を減らす打ち手も用意すると、全体の工数が減ります。

業種別の典型

不動産(反響・内見)

同一人物がポータル・電話・フォームで複数回入ってくるのが普通です。
業務像は 不動産向け を前提に、
反響〜内見の導線(関連:取りこぼし防止)をチケットで束ね、顧客マスタは安全側に統合するのが現実的です。

自動車販売・整備・タイヤショップ

電話予約→Web予約の二重、家族名義の揺れ、車両単位での履歴など、重複が発生しやすいです。
業務像は 自動車販売・整備・タイヤショップ向け を前提に、
「顧客」だけでなく「車両(ナンバー/車台番号)」で紐づく設計も検討すると、現場の追跡が楽になります(入庫管理の考え方は 入庫予約 と相性が良いです)。

インテンスでも、マージ機能は“作る”より“怖くない運用に落とす”ほうが難所になりやすいので、権限とロールバックは必須で詰めます。

まとめ

重複は前提です。
自動統合は強いキーに限定し、候補提示+ログで安全側に倒す。
参照付け替えとロールバックを設計して、現場が怖がらずに使えるマージにすると、二重対応と集計崩壊が大きく減ります。

本記事は、Webシステム開発・スマホ自動変換「movo」・業務システム構築・フォームUX改善・EC支援を提供する 株式会社インテンスが、実際の開発プロジェクトで蓄積した知見をもとにまとめています。 株式会社インテンス(公式サイト)