受付・チェックイン設計の実務|予約番号/電話/QRで詰まらない導線と画面設計

予約システムを入れても、現場で詰まるポイントは「受付」です。
予約は取れているのに、来たお客様を捌けない。検索できない。本人確認で止まる。受付が混むと、後工程(診療、整備、案内、搬入)が全部遅れます。
本記事では、受付/チェックインを“現場の処理”として設計し、例外まで含めて壊れない導線と画面の作り方を整理します。

この記事で扱う論点
・チェックイン手段(予約番号/電話/氏名/QR)の併用設計
・受付画面(一覧・検索・ワンタップ更新)の構成
・同時対応(複数窓口)と誤操作防止
・例外(予約なし、時間違い、代理、遅刻)とステータス運用

1. チェックイン手段は1つに絞らない(現場は“入力できない”が起きる)

受付で詰まる典型は、「予約番号が分からない」「電話番号が違う」「漢字が違う」です。
そのため、チェックイン手段は最初から複数用意します。

検索の表記ゆれ対策は、検索ログとゼロヒット分析 の発想を受付検索にも流用できます(全角/半角、スペース、記号、かな/カナ吸収)。

2. 受付画面の基本構成:現場は“検索”より先に“今日の一覧”

現場が最初に見たいのは「今日・いま来る予定の一覧」です。検索画面から入る設計にすると、混雑時に必ず遅くなります。
基本は次の3ブロックに分けると運用が安定します。

空き状況表示や時間枠の前提がある場合は、空き状況表示時間枠設計 を前提に「今日の一覧」の粒度(15分、30分、枠単位)を揃えるとブレません。

3. ワンタップ更新:受付は“入力”ではなく“状態遷移”の連打

受付で多い操作は、ほぼステータス更新です。
そこで、入力フォームを開かせずに、一覧からワンタップで更新できる方が現場に合います。

ステータス運用は 失敗しにくい設計 の考え方で、差し戻し(呼び出し失敗、本人不在)や取消(来なかった)も含めて設計すると後戻りが減ります。

4. 同時対応(複数窓口):誤操作を前提にガードを入れる

受付は複数人が同じ画面を触ります。誤操作は起きます。起きたときに復元できる設計が必要です。

操作ログは 監査ログ設計 と整合させると説明責任に耐えます。誤操作復旧の観点は バックアップと復旧 の考え方(ソフトデリート・履歴)を受付ステータスにも流用できます。

5. 例外処理:現場が困るのは「予約がない/時間が違う/代理」

受付の例外(必ず起きる)
・予約なしの飛び込み(当日追加)
・時間違い(早すぎる/遅すぎる)
・代理(家族、会社の担当者)
・予約情報が古い(電話番号変更、車両変更など)

例外は「別導線」にせず、受付画面の中で処理できる方が現場は速いです。
ただし個人情報の取り扱いが増える場合は、同意や閲覧権限を 同意管理権限設計 に合わせて調整します。

業種別に“受付設計”が刺さる場面(例)

医療・クリニック

受付の詰まりは待合混雑に直結します。予約とフォーム連携の前提は 予約×申込フォーム連携 に揃え、業務像は 歯科・皮膚科・美容クリニック向け を前提に「受付で見せる情報」と「医師側で見る情報」を分けると事故が減ります。

ホテル(宴会・団体)

受付というより「当日の担当割当・導線案内」の意味合いが強くなります。業務像は ホテル向け を前提に、チェックイン手段より「今日の一覧で迷子にしない」設計が効きます。

自動車販売・整備・タイヤショップ

入庫受付が遅れると、ピット割当・部品確認・代車調整が連鎖的に遅れます。業務像は 自動車販売・整備・タイヤショップ向け を前提に、受付時点で回収すべき前提(代車/保険/持込/車両情報)を通知やフォームと連携して先回りするのが効きます。

まとめ

受付/チェックインは、検索機能ではなく現場オペの設計です。
チェックイン手段は複数用意し、「今日の一覧→ワンタップ更新→例外受付」を同一画面で回せる構成にすると、混雑時でも詰まりにくくなります。
ログと復旧を前提にしておけば誤操作も小さく収束します。インテンスでも、受付は“最後に付け足す画面”ではなく、現場の処理速度から逆算して設計する方が成功率が上がります。

本記事は、Webシステム開発・スマホ自動変換「movo」・業務システム構築・フォームUX改善・EC支援を提供する 株式会社インテンスが、実際の開発プロジェクトで蓄積した知見をもとにまとめています。 株式会社インテンス(公式サイト)