管理ダッシュボードKPI設計|「見れば動ける」指標と画面配置の考え方

KPIは、並べただけでは現場を動かしません。
“見た瞬間に次の行動が決まる指標”だけが、ダッシュボードとして機能します。
この記事では、問い合わせ・予約・受注などの管理画面でKPIを形骸化させないための設計を、指標選定と画面配置の両面から整理します。

この記事で扱う論点
・KPIの粒度(チーム/担当/案件)
・更新頻度(リアルタイム/日次)と見せ方
・カラム・フィルタ・保存ビューとの整合
・アラート(期限超過)と改善サイクル(タグ・分類)

1. KPIを「管理指標」ではなく「行動のトリガー」にする

よくある失敗は「綺麗な数字」だけ並べることです。
ダッシュボードで強いのは、次のような“行動が決まる指標”です。

数字をクリックして一覧へ降りる導線(ドリルダウン)がないKPIは、だいたい見られなくなります。
一覧側の設計は 検索・フィルタ設計 とセットで揃えます。

2. 粒度:チーム→担当→案件の3段階で迷わない

KPIは、粒度が混ざると読めなくなります。おすすめは3段階です。

案件粒度の情報は、カラム設計(カラム設計)と直結します。
「KPIに出ているのに、一覧で追えない」状態は現場が不信になります。

3. 更新頻度:リアルタイムにするところ、日次で良いところ

全指標をリアルタイムにすると、重くなる・意味のない揺れが増える、という問題が起きます。
現実的には、次の切り分けが安全です。

集計指標の作り方は 問い合わせ集計レポート の考え方を流用できます。

4. KPIとタグ・分類が揃うと改善サイクルが回る

KPIで異常を見つけても、原因が追えないと改善になりません。
原因追跡の鍵になるのが「分類(カテゴリ)」と「タグ」です。

例:期限超過が増えたとき
・タグ別に見る → 特定タグだけ遅れているなら、運用/担当/情報不足の問題が絞れる
・カテゴリ別に見る → フォーム項目不足(必要情報が取れてない)なら、設計改善へ繋がる

5. 画面配置:上は“異常”、下は“処理対象”に寄せる

ダッシュボードの上部は、異常(アラート)を置くと機能します。
下部は「今処理すべき一覧」を置きます。

レイアウトの型は 画面レイアウトパターン も参考になります。

業種別の典型

物流(納品予約・入出庫)

遅れがコストになる領域です。業務像は 物流向けシステム開発例 を前提に、
「本日入荷/出荷」「バース待ち」「差し戻し」など、現場の滞留が見えるKPIが効きます(関連:バース予約)。

自動車販売・整備・タイヤショップ

入庫が詰まると全体が詰みます。業務像は 自動車販売・整備・タイヤショップ向け を前提に、
「本日入庫」「部品待ち」「顧客連絡待ち」「ピット不足」を上部に置くと、現場が動きやすくなります(関連:ピット割当)。

インテンスでも、KPIは“綺麗な管理資料”ではなく、「見たら処理が進む」指標だけ残す方針で絞り込みます。

まとめ

KPIは、行動に直結する指標だけが意味を持ちます。
粒度(チーム→担当→案件)と更新頻度を揃え、一覧への導線と分類/タグで原因追跡できる形にする。
この設計にすると、ダッシュボードが“見るだけ”から“動ける画面”になります。

本記事は、Webシステム開発・スマホ自動変換「movo」・業務システム構築・フォームUX改善・EC支援を提供する 株式会社インテンスが、実際の開発プロジェクトで蓄積した知見をもとにまとめています。 株式会社インテンス(公式サイト)