海外拠点や製造委託先(CM/EMS、外注工場)と不具合情報を共有するとき、
単にチケットを共有するだけでは回りません。
言語・時差・責任分界(誰が何をやるか)・データ秘匿(何を見せるか)・監査(証跡)が絡むからです。
この記事では、不具合情報共有ポータルを構築する際の留意点を整理します。
委託先を巻き込むとき、揉めるのは技術ではなく分担です。
8D/CAPAの段階で、誰が何を確定させるかを定義します。
この分担が曖昧だと、ポータルが“連絡板”になって終わります。インテンスでも、まず責任分界を仕様として固めます。
時差があると「返事待ち」が増えます。
そこで、ポータル側で次回連絡予定日・回答期限・エスカレーション条件を持つ設計が効きます。
ステータス設計は ステータス設計 の考え方で段階を分け、遷移条件を明文化します。
委託先に全てを見せる必要はありません。むしろ危険です。
権限・監査ログは 権限・ログ設計 を前提に、少なくとも次を分けます。
現場の不具合は、文章よりも添付で伝わります。
ただし、添付は情報漏洩リスクも高いので、保存期間・ダウンロード制限・監査ログが必要です。
添付設計の基本は ファイル添付設計 を前提にします。
海外拠点・委託先とデータを繋ぐと、必ず“名称が一致しない”問題が出ます。
品番体系、工程名、検査項目、設備名、ロット表記などがズレるからです。
ここは、データマッピング(データマッピング設計)を前提に「変換表」を持つのが実務的です。
分類が揃うと、集計・パレートが成立し、品質会議用の統計(クレーム統計ダッシュボード)にも繋がります。
委託先が絡む不具合は、対策が工程変更・検査変更・部材変更に及びます。
よって、クレーム→対策→ECO→切替→効果確認の鎖が必要です。
ここは トレーサビリティ設計 を前提に、変更前後のRevと有効開始日を管理します。
委託先だけでなく、大学・研究機関・パートナー企業との共同プロジェクトでも、権限・版・証跡の問題は同じです。
共同研究ポータルの考え方(共同研究ポータル)を併せて設計すると、外部関係者が多い案件でも破綻しにくくなります。
インテンスでは、外部関係者を前提に“見せる範囲”と“正式版”を壊さない設計を組み立てます。
海外拠点・委託先との不具合共有ポータルは、言語・時差・責任分界・権限・監査・データマッピングが鍵です。
8D/CAPAの分担を明確にし、期限と次回連絡を機械的に持ち、添付を安全に共有し、名称ズレは変換表で吸収する。
さらにECO・評価・統計ダッシュボードへ接続できると、単なる共有ではなく“品質改善が回る仕組み”になります。