アラートとエスカレーション設計|期限超過を“放置させない”通知ルールの作り方

放置が起きる組織は、だいたい“気づけない仕組み”になっています。
逆に、通知が多すぎる組織は“気づきがノイズ化”しています。
つまり、アラート設計は「厳しくする」より「必要な人に、必要なタイミングで、行動できる情報だけ届く」ように作るのがコツです。
この記事では、期限超過・放置を減らすための通知・段階エスカレーションの作り方を、実務の型として整理します。

この記事で扱う論点
・通知の種類(即時/定期/段階)と粒度
・優先度(重大/要注意/情報)を分ける理由
・静穏時間(夜間)と、まとめ通知(ダイジェスト)
・ダッシュボードKPIと連動させて“気づき”を維持する

1. まず「放置の定義」を決める(曖昧だと運用が死ぬ)

放置と言っても、何を放置とするかが曖昧だと通知が暴れます。
おすすめはSLA/期限の定義を先に置くことです(SLA設計)。

ステータスが絡むなら、遷移図(ステータス遷移)の「差し戻し/保留」を入れておくと、放置判定が現実に合いやすいです。

2. 通知の種類を3つに分ける(全部即時にしない)

通知は、次の3種類に分けると整理できます。

A:即時通知(イベント通知)

割当は 割当ロジック とセットで設計すると、「誰に飛ぶか」がブレません。

B:定期通知(ダイジェスト)

C:段階通知(エスカレーション)

段階通知の意図
最初から管理者に全部飛ばすと、管理者側がノイズで死にます。
まず担当に“自力で戻せる猶予”を与え、超過したら上げる方が現実的です。

3. 優先度(重大/要注意/情報)を分ける

通知が多い現場では、優先度を分けないと全部が同じ重さになります。
最低でも3段階にして、通知手段も変えるのが現実的です。

優先度の判定には、カテゴリやタグ(分類 / タグ活用)が効きます。
“急ぎ”をカテゴリに入れず、タグで管理すると、設計が崩れにくいです。

4. 静穏時間(夜間)と、まとめ通知で運用を壊さない

24時間通知が飛ぶと、運用が嫌われてオフにされます。
夜間・休日の扱いは、業種により変わるので“設計で選べる”形にします。

通知手段の設計全般は 通知・リマインド と整合させます。

5. ダッシュボード連動:通知を減らすには“見える化”も必要

通知だけで運用を回すと、通知が増える一方です。
KPI(ダッシュボードKPI)で「期限超過」「未割当」「差し戻し滞留」を可視化しておくと、
通知は“きっかけ”に、日常は“画面”で回せるようになります。

業種別の典型

医療(初診予約・トリアージ)

緊急度が混ざると、全件同じ通知は危険です。
業務像は 医療向け を前提に、
初診予約(トリアージ項目)などは、重大度で通知経路を変える設計が現実的です。

自動車販売・整備・タイヤショップ(入庫・部品待ち・連絡待ち)

「部品待ち」「顧客連絡待ち」は放置に見えて、実はボールが外にあります。
業務像は 自動車販売・整備・タイヤショップ向け を前提に、
入庫(入庫予約)やピット(割当)の状態と連動させ、
“放置”と“待ち”をステータスで分けると、通知がノイズ化しにくいです。

インテンスでも、通知は「増やす」より「減らしても回る構造(KPI+状態設計)」を優先します。

まとめ

アラート設計は、放置を減らす一方で、通知疲れも生みます。
放置の定義(SLA)を固定し、通知を即時/定期/段階に分け、優先度と静穏時間でノイズを抑える。
KPIと連動させると、通知に頼り切らない運用になり、放置が減りやすくなります。

本記事は、Webシステム開発・スマホ自動変換「movo」・業務システム構築・フォームUX改善・EC支援を提供する 株式会社インテンスが、実際の開発プロジェクトで蓄積した知見をもとにまとめています。 株式会社インテンス(公式サイト)