見積・原価・承認が会社固有の場合
材料、加工時間、粗利条件、技術確認を同じ見積番号で管理する画面例です。
金属加工業の見積管理例を見る
早く始めたい、標準的な業務に合わせられる、利用人数の増減にも契約変更で対応できる。この条件なら、まずSaaSを検討できます。独自の処理や権限、連携が必要な場合も、まず候補SaaSの標準機能・設定・標準連携で対応できるかを確認します。満たせない要件が業務上重要で、手作業による補完が続く場合に、部分開発または個別開発を比較します。
比較で見落とされやすいのは、初期費用よりも毎月の利用料、社内作業、追加連携、解約時のデータ移行まで含めた総費用です。このページでは、SaaSとカスタムWebシステム(スクラッチ開発)を7つの観点で比べ、自社に合う方式を判断する順序を説明します。
先に結論:次の条件が判断の目安です
業務が標準機能に合い、短期導入と初期費用の抑制を優先する場合。
候補SaaSの標準機能・設定・標準連携では、業務上重要な要件を満たせない場合。
SaaSの主要機能は使い続け、受付・一覧・出力など不足部分だけを追加したい場合。
SaaSは、サービス提供会社が用意した共通機能を、月額または年額の契約で利用する形が一般的です。 カスタムWebシステムは、自社の業務手順や必要な機能を確認し、個別に設計・開発します。 比較する際は、導入までの期間や初期費用だけでなく、標準機能で対応できる範囲、他システムとの連携、保守体制、将来データを移行できるかまで確認する必要があります。 なお、他社ブランドで提供されるOEM型のSaaSも、ここではSaaSに含めます。
| 観点 | SaaS(既成のクラウドサービス) | カスタムWebシステム(自社仕様開発) |
|---|---|---|
| 導入スピード | 契約後すぐに利用できるサービスが多く、短期間で導入できる。 | 要件確認、画面・データ設計、開発、テストが必要なため、利用開始までに時間がかかる。 |
| 初期費用 | 初期費用を抑えやすい。利用人数、データ量、機能、連携先によって月額・年額費用が変わる。 | 設計・開発費が必要になる。保守、サーバー、将来の改修にかかる費用も含めて検討する。 |
| カスタマイズ性 | 設定や追加機能の範囲で変更できる。変更できる項目や画面、処理にはサービスごとの制限がある。 | 画面、入力項目、権限、処理手順を要件に合わせて設計できる。ただし、変更内容ごとに開発・テストが必要になる。 |
| 業務とのフィット感 | サービスが想定する標準的な業務に近いほど、設定だけで対応できる。独自の処理が多い場合は、別の台帳や作業が残ることがある。 | 独自の承認手順や例外処理を含めて設計できる。要件を増やしすぎると、開発費と保守範囲も大きくなる。 |
| 他システムとの連携 | 公開されているAPIやCSV入出力を利用できる。連携可能なデータ、実行回数、利用プランなどはサービスの仕様に従う。 | 基幹システム、既存SaaS、OEM提供中のサービスなどに合わせて連携方法を設計できる。相手側のAPI仕様や利用条件の確認は必要になる。 |
| 解約・乗り換え | 解約手続きは比較的簡単でも、出力できるデータの種類や形式、添付ファイルの取得方法はサービスごとに異なる。 | データ構造、仕様書、ソースコード、運用資料を適切に管理していれば移行計画を立てやすい。保守会社や開発環境への依存にも注意が必要。 |
| 保守・障害対応 | 共通基盤や標準機能は提供会社が保守する。自社設定、連携処理、利用者対応の担当は別に決める必要がある。 | 監視、バックアップ、脆弱性対応、問い合わせ窓口など、開発会社と自社の担当範囲を契約前に決める。 |
カスタム開発では、ソースコードや設計資料があることと、別会社へ保守を引き継げることは同じではありません。ソースコード・設計資料の納品範囲、利用・改変できる条件、第三者への保守引き継ぎ、外部サービスの契約名義も事前に確認します。
SaaSは初期費用、カスタム開発は開発費だけを見て比べると、運用開始後の差を判断できません。3〜5年程度の利用を想定し、次の費用を同じ表に入れて比較します。
| 区分 | SaaSで確認する項目 | カスタム開発で確認する項目 |
|---|---|---|
| 導入時 | 初期設定、データ移行、研修、外部連携の設定費 | 要件定義、設計、開発、テスト、データ移行 |
| 毎月・毎年 | 利用者数・拠点数・件数別の料金、上位プラン、API利用料 | サーバー、監視、バックアップ、保守、軽微な改修 |
| 社内作業 | 転記、CSV加工、例外案件の別管理、アカウント管理 | 運用担当者、問い合わせ対応、仕様変更時の社内確認 |
| 終了・変更時 | データ出力、添付ファイル取得、契約終了後の保存期間 | 別環境への移設、保守会社変更、仕様書・ソースコードの引き継ぎ |
SaaSとカスタム開発の比較とは別に、システムをどこで稼働させるかも決める必要があります。 カスタムWebシステムは、クラウドにもオンプレミスにも構築できます。 選定時は、社内規定、データの保存場所、外部からの利用方法、障害時の復旧目標、運用担当者の有無、数年間の総費用を確認します。
同じ会社の中でも、業務によって適した方法は異なります。 勤怠や会計にはSaaSを利用し、顧客向けの受付画面や自社独自の管理機能だけを個別開発するなど、複数の方法を組み合わせることもできます。
材料、加工時間、粗利条件、技術確認を同じ見積番号で管理する画面例です。
金属加工業の見積管理例を見る得意先向けの商品検索・見積・発注・出荷確認だけをWebで追加する構成例です。
BtoB受発注サイトの例を見る変更通知、問い合わせ、取材、証明書などを受付時に分類する窓口画面の例です。
依頼受付ポータルの例を見る既存のSaaSを継続利用し、標準機能では対応できない部分だけを個別開発する方法があります。 たとえば、SaaSや基幹システムはそのまま利用し、顧客向けの受付画面、進捗確認画面、社内用の一覧画面を追加します。 OEMで提供しているSaaSに、自社独自の申し込み画面や管理機能を組み合わせることも可能です。
予約とその後の説明・同意までを分けて考える例は、患者向けマイページの画面構成でも確認できます。
既存システムを一度に置き換える場合は、データ移行、利用者への案内、並行運用、障害時の対応まで検討する必要があります。
現在のシステムを継続利用できる場合は、改善が必要な業務から個別に追加し、利用結果を確認しながら対象範囲を広げる方法もあります。
SaaS、カスタム開発、両者を組み合わせた構成のどれが適するかは、次の順序で確認します。
現在の業務手順、利用中のシステム、管理しているデータ、担当部署、困っている作業を確認します。社内規定や公開希望時期などの条件も、この段階で確認します。
SaaSの標準機能で対応できる範囲と、個別開発が必要な範囲を分けます。SaaS中心、SaaSと個別開発の併用、カスタム開発中心など、条件に合う構成を比較します。
最初に導入する機能と後から追加する機能を決めます。必要に応じて検証用の試作(PoC)や初期版(MVP)を用意し、画面イメージ、概算費用、開発期間を提示します。
採用した構成に応じて、SaaSの設定、外部連携、必要な開発を行い、実際の業務手順で受入確認します。外部システムとの連携は、テストデータと本番に近い条件で確認します。
公開後は、利用状況、問い合わせ、処理時間、エラーを確認します。必要に応じて入力項目、権限、通知条件、操作手順を変更します。
比較案を作るときは、方式名だけでなく「初期範囲」「後から追加する範囲」「既存システムに残す範囲」を一枚に記載します。見積金額の差が、どの機能と運用分担から生じているかを確認できます。
利用人数が少なく、標準機能で完結する間はSaaSが安いことが多い一方、上位プラン、追加連携、転記作業が増えると差は縮まります。想定利用年数を決め、社内作業も含めて比較します。
既存SaaSや基幹システムを残し、受付画面、一覧、帳票出力など必要な部分だけを開発する方法もあります。まず置き換えない範囲を決めると、初期費用を限定できます。
顧客・案件などの主要データに加え、添付ファイル、コメント、変更履歴を出力できるか確認します。解約後の取得期限と出力形式も契約前に確認が必要です。
物理設備を自社で管理しない構成でも、アプリケーションの更新、権限管理、監視、バックアップ確認、利用者対応は残ります。どこまでを提供会社や開発会社が担当するかを決めます。
「既存のSaaSを継続利用したい」「自社独自の業務だけをシステム化したい」「OEM提供中のサービスに受付画面や管理機能を追加したい」といったご相談に対応しています。 現在の業務、利用中のサービス、必要な連携、運用体制を確認し、SaaSの活用、個別開発、両者を組み合わせた構成を比較してご提案します。