SaaSを導入した後も、Excelの台帳や共有フォルダを使い続けている会社は珍しくありません。
システムへの入力とExcelへの記録が並行し、「導入前と作業量が変わらない」と感じることもあります。
原因をExcelや利用者の意識だけに求めても、状況は改善しません。
標準機能では扱えない情報、社内報告に必要な集計、例外案件の処理、社外との共有など、Excelが補っている業務が残っているためです。
このページでは、SaaS導入後もExcelが使われる主な理由を6つに分け、確認すべき点と見直しの進め方を解説します。
最初に、現在使われているExcelが何のために必要なのかを確認します。
すべての台帳を詳しく調べる前に、利用頻度の高いものを3つ選ぶだけでも、SaaSで不足している機能や運用上の問題が見えてきます。
現在も日常的に使っているExcelを3つ挙げます(例:案件台帳、進捗表、見積一覧)。
それぞれが担っている役割を、後述する6つの理由に当てはめます。複数の理由に該当する場合は、すべて記録します。
利用頻度、作業時間、入力ミスへの影響を確認し、優先度の高いものから2つまでを見直しの対象にします。
Excelが使われているという事実だけでは、SaaSの導入が失敗したとは判断できません。
項目をすぐに追加できる、並べ替えや集計がしやすい、社内外へ渡しやすいなど、Excelが適している用途もあります。
Excelを減らす場合も、使用禁止を先に決めるのではなく、
現在の台帳が担っている機能を、どの仕組みに移すのかを明確にする必要があります。
Excelが使われる理由は一つとは限らず、二重入力と報告資料の作成など、複数の問題が同時に起きていることがあります。
現在の運用に該当する項目を確認し、Excelが担っている役割を把握します。
確認すること:正本となるシステムを決め、もう一方への入力が必要な場合は、CSV出力やAPIなどによる連携を検討します。
確認すること:例外の種類と発生件数を調べ、SaaSの設定で対応するか、例外受付用の画面や一覧を追加するかを判断します。
確認すること:閲覧者、必要項目、更新頻度を確認し、閲覧専用権限や部署別の一覧画面、定期出力のいずれが適切かを検討します。
確認すること:定期的に作成している資料を整理し、一覧画面、集計レポート、CSV、PDFなどで定型出力できるかを検討します。
確認すること:承認結果、変更履歴、添付資料の保存先を決め、確定後の情報を一か所で確認できるようにします。
確認すること:社外利用者には期限付きURLや提出フォームを用意し、閲覧範囲、有効期限、本人確認の方法を用途に応じて設定します。
個別のExcelだけを確認すると、台帳ごとに異なる問題があるように見えます。
原因を「機能・データ」「運用ルール」「利用者・組織」の3つに分けると、複数の台帳に共通する問題を把握できます。
| 分類 | 典型例 | 見直しの方向 |
|---|---|---|
| 機能・データ設計 | 必要な項目がない、例外処理に対応できない、必要な形式で出力できない | SaaSの設定変更、追加画面、データ連携、定型出力を検討する |
| 運用ルール | 正本、入力担当、更新期限、確認方法、問い合わせ窓口が決まっていない | 責任者と手順を決め、利用者へ周知し、定期的に運用を確認する |
| 利用者・組織 | 社外、現場、協力会社、複数部署など、利用条件の異なる人が関わる | 権限、閲覧専用画面、期限付きURL、提出フォームなどを使い分ける |
特に見落とされやすいのが、利用者ごとの条件です。
社内の閲覧者、入力担当者、承認者、社外の取引先では、必要な機能も適切なアクセス方法も異なります。全員に同じ画面とログイン方法を適用すると、別の共有手段が残る原因になります。
Excelの利用を先に禁止すると、例外処理や報告資料の作成ができなくなり、個人メモや別の共有ファイルへ置き換わる可能性があります。
まずExcelが担っている役割を移し、その後で二重管理を終了する順序が適切です。
次の4段階で確認します。
SaaSとExcelのどちらを最新情報として扱うのかを決めます。
正本が明確でないと、更新漏れや数値の不一致が発生した際に、どちらを修正すべきか判断できません。
入力、例外処理、閲覧、集計、承認、社外共有のうち、
Excelがどの業務で使われているのかを台帳ごとに確認します。
SaaSを入れ替える前に、設定変更や周辺機能の追加で対応できるかを確認します。
一覧、検索、履歴、ステータス表示、CSV・PDF出力、受付画面、API連携などが候補になります。
権限、入力担当、更新期限、問い合わせ窓口、既存データの移行方法を決めます。
新しい運用で必要な業務を行えることを確認してから、対象となるExcelの更新を終了します。
現在の運用に次の項目が当てはまるかを確認します。
該当項目が多い場合は、Excelの廃止より先に、機能・運用・利用者のどこに問題があるかを確認する必要があります。
| チェック | Yesの場合に起きやすいこと |
|---|---|
| 入力が二重になっている | SaaSとExcelの数値が一致せず、最新情報を判断できなくなる |
| 例外が多い/増え続ける | 標準案件と例外案件が別管理になり、案件全体を一覧で確認できなくなる |
| 会議・報告の加工が毎回必要 | 加工後のExcelが実質的な報告資料となり、SaaS上の情報が参照されなくなる |
| 社外が関わる | 取引先や現場との受け渡しに、メール添付や共有ファイルが必要になる |
| 権限や責任範囲が曖昧 | 更新担当が不明確になり、確認用の台帳や個人メモが増える |
「既存のSaaSは継続したい」「二重入力だけを解消したい」「報告用の一覧画面を追加したい」など、検討内容が固まっていない段階でもご相談いただけます。
現在のExcelと業務手順を確認し、SaaSの設定変更、周辺機能の追加、データ連携などから適切な方法をご提案します。