SaaSを入れてもExcelが消えない理由

SaaS導入と現場運用をイメージした画像

SaaSを導入したのに、Excelの台帳や共有フォルダの管理が残ってしまう。
「結局、運用は前と変わらない」と感じるケースは少なくありません。

ここで大事なのは、Excelが悪い、現場が悪い、と決めつけないことです。
多くの場合、Excelが残る構造があって、そのまま導入すると自然に残ります。

このページでは、Excelが残りやすい理由をパターン別に分け、何から見直すと効果が出やすいかを整理します。

※ここではインフラの細部より、社内で方針を決めるための比較ポイントに絞って説明します。
※「ログイン必須にする前に考えること」は、こちらで整理しています。

まずは10分でできる切り分け

「SaaSを入れたのにExcelが残る」ケースは、いくつかの型に分かれます。
先に原因のあたりを付けておくと、対策の優先順位が決めやすくなります。

  1. STEP 1

    現場で残っているExcelを3つだけ挙げます(例:案件台帳/進捗表/見積一覧)。

  2. STEP 2

    それぞれに「残り方(後述の6パターン)」を当てはめます(複数でも構いません)。

  3. STEP 3

    一番重い理由と、次に重い理由だけに絞って手を入れます(全部を一度に直そうとしない方が進みやすいです)。

ポイント: Excelをなくす話に入る前に、Excelを使い続けている理由を確認しておくと、無駄な遠回りが減ります。

Excelが残るのは「失敗」ではありません

まず前提として、Excelが残っていること自体を「導入失敗」とは言い切れません。
Excelには、現場の細かな例外や、急な変更への追従、いろいろな部署への配布など、強い側面があります。

ポイント:Excelが残るのは「意思が弱いから」ではなく、業務のどこかに“仕組み側が受け止めきれていない部分”があることが多いです。
そこを最初に押さえておくと、判断が揺れにくくなります。

逆に言うと、Excelをなくしたいなら「Excelを禁止する」ではなく、
残る理由を分解して、順番に手当てする方が現実的です。

SaaS導入 標準機能で「動く」状態になる ここがゴールではありません 運用に乗せる 権限、入力ルール、周知、 例外対応の扱いを決める 現場で行き詰まる 入力の二重化、例外、 部門間の共有、加工が発生 「補助の台帳」が生まれる 本体データの不足を、別管理で補う 集計・配布・承認の都合で増えやすい 例)Excel / 共有フォルダ / 個人メモ / メール共有 本体の改善が後回し 「とりあえず回った」ため、 台帳が固定化しやすい 結果: SaaSは動いているのに、別管理が残り続ける
図:Excelが残る流れは、いきなり「戻る」ではなく、運用の詰まりを補う“補助の台帳”が増えていく形になりやすいです。対策は、詰まりの場所を特定して順に手当てします。

よくある残り方(6パターン)

Excelが残る理由は、ひとつではありません。混ざっていることも多いです。
まずは「どのタイプか」を見立てると、打ち手が選びやすくなります。

1) 入力が二重になる

  • 本体に入力すると手間が増える
  • 現場の必要項目が足りない
  • 結局、手元の台帳にも書く

まずやること:入力先をひとつに決め、片方は入力しない運用にします(必要なら片方向の連携を検討します)。

2) 例外対応が仕組みに入らない

  • 標準フローから外れる案件が多い
  • 例外だけ別表で管理する
  • 例外が増えるほど本体から離れる

まずやること:例外だけを受け付ける補助フォーム/補助一覧を用意し、例外情報が散らばらないようにします。

3) 部門間の共有が弱い

  • 「見たい人」がすぐ見られない
  • 権限や画面が合っていない
  • 配布しやすい資料としてExcelが残る

まずやること:閲覧専用の一覧・検索を整え、「見るだけの人」がExcelを求めなくて済む状態にします。

4) 集計・加工が業務に必要

  • 会議用、上長向け、取引先向け
  • 並べ替えや見せ方が毎回違う
  • 出力したExcelが“本流”になりやすい

まずやること:会議や報告で必要な形を決め、定型の出力(一覧・CSV・PDFなど)を作ります。

5) 承認・証跡の運用が別にある

  • 稟議、押印、監査対応の都合
  • 添付資料として台帳が作られる
  • どちらが正か曖昧になりやすい

まずやること:承認の結果と履歴をどこに残すか決め、確定データだけが参照される形にします。

6) 取引先・現場側がSaaSに入れない

  • アカウント発行の負担が大きい
  • 社外はログイン前提が難しい
  • 結局、ファイル共有で回る

まずやること:社外向けは共有リンクやフォームなど別導線を用意し、ログイン前提を減らします。

大事な見方:Excelを「やめさせる」ではなく、残っている理由を特定するのが先です。
理由が違うと、効く対策も変わります。
部署間の情報共有や運用をイメージした画像

原因を切り分ける見方

Excelが残る話は、議論が散らかりやすいです。
そこで、原因を次の3つに分けて考えると、話が進みやすくなります。

Excelが残る原因の切り分け
分類 典型例 見直しの方向
機能の不足 項目が足りない、例外フローがない、出力が弱い 補助機能を足す/周辺を小さく作る
運用設計の不足 権限が曖昧、入力ルールが決まらない、周知がない ルールと窓口を決める/手順化する
関係者の広さ 社外・現場・協力会社が入る、部署横断で見せたい ログイン前提を見直す/共有方法を設計する

特に3つ目は見落とされがちです。
「社内の誰が見るか」「社外の誰が関わるか」まで考えないと、運用側で帳尻を合わせることになります。

Excelを消す前に整える順番

「Excelをなくしたい」の気持ちは自然ですが、いきなり禁止すると別のところで詰まります。
現場で無理が出やすくなります。
そこで、次の順番で整えると進めやすいです。

STEP 1:正のデータを決める

まず、どの情報が“正”なのかを決めます。
本体なのか、台帳なのか。ここが曖昧だと、更新漏れが必ず起きます。

STEP 2:詰まりの場所を特定する

「入力が二重」「例外が多い」「出力が足りない」など、
残っている理由をひとつずつ切り分けます。

STEP 3:小さく補う

すべてを入れ替えるのではなく、困っている箇所だけを補います。
例:一覧・履歴・ステータス表示、出力、周辺の受付画面など。

STEP 4:運用を決めてから移す

権限、入力ルール、問い合わせ窓口、更新頻度などを決め、
“戻りたくなる理由”を先に減らしてから移行します。

補足:「ログインを増やせば解決する」と考えると、今度はID管理や問い合わせが増えます。
その判断は、マイページ機能は付けるべき?ログイン必須にする前に考えることで整理しています。

判断チェックリスト

ここまでを踏まえて、社内で判断しやすいようにチェック項目をまとめます。
Yesが多いほど、Excelが残りやすい側に寄っています。

Excelが残りやすいサイン
チェック Yesの場合に起きやすいこと
入力が二重になっている 「速い方」が残り、本体が形骸化しやすい
例外が多い/増え続ける 例外台帳が増え、全体像が分断されやすい
会議・報告の加工が毎回必要 出力Excelが固定化し、“正”が揺れやすい
社外が関わる ログイン前提が難しく、ファイル共有が残りやすい
権限や責任範囲が曖昧 更新漏れの責任が曖昧になり、別管理が増えやすい
結論:Excelをなくすかどうかは、根性論では決まりません。
「どこで詰まっているか」を特定し、そこを小さく補うのが近道です。

相談では、ここまで一緒に整理できます

1) 現状の棚卸し

残っているExcelを洗い出し、「なぜ必要になっているか」を6パターンで分類します。

2) 最小の補強案を2案

SaaSは活かしつつ、周辺だけを補う形で「無理のない構成」を2パターンほど出します。

3) ざっくり見通し

費用感・期間・運用の負担がどれくらい増減するか、判断できる粒度まで落とします。

補足: すべてを置き換える前提でなくても構いません。困っている箇所から順番に整える進め方も選べます。

SaaS導入後の「Excelが残る」状況を、現実的に解消したい方へ

「SaaSは残す」「周辺だけ整える」「ログイン前提を見直す」など、途中段階でも問題ありません。
いまの運用を崩さずに、どこから直すと効果が出やすいかを一緒に整理します。

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