SaaSを導入したのに、Excelの台帳や共有フォルダの管理が残ってしまう。
「結局、運用は前と変わらない」と感じるケースは少なくありません。
ここで大事なのは、Excelが悪い、現場が悪い、と決めつけないことです。
多くの場合、Excelが残る構造があって、そのまま導入すると自然に残ります。
このページでは、Excelが残りやすい理由をパターン別に分け、何から見直すと効果が出やすいかを整理します。
「SaaSを入れたのにExcelが残る」ケースは、いくつかの型に分かれます。
先に原因のあたりを付けておくと、対策の優先順位が決めやすくなります。
現場で残っているExcelを3つだけ挙げます(例:案件台帳/進捗表/見積一覧)。
それぞれに「残り方(後述の6パターン)」を当てはめます(複数でも構いません)。
一番重い理由と、次に重い理由だけに絞って手を入れます(全部を一度に直そうとしない方が進みやすいです)。
まず前提として、Excelが残っていること自体を「導入失敗」とは言い切れません。
Excelには、現場の細かな例外や、急な変更への追従、いろいろな部署への配布など、強い側面があります。
逆に言うと、Excelをなくしたいなら「Excelを禁止する」ではなく、
残る理由を分解して、順番に手当てする方が現実的です。
Excelが残る理由は、ひとつではありません。混ざっていることも多いです。
まずは「どのタイプか」を見立てると、打ち手が選びやすくなります。
まずやること:入力先をひとつに決め、片方は入力しない運用にします(必要なら片方向の連携を検討します)。
まずやること:例外だけを受け付ける補助フォーム/補助一覧を用意し、例外情報が散らばらないようにします。
まずやること:閲覧専用の一覧・検索を整え、「見るだけの人」がExcelを求めなくて済む状態にします。
まずやること:会議や報告で必要な形を決め、定型の出力(一覧・CSV・PDFなど)を作ります。
まずやること:承認の結果と履歴をどこに残すか決め、確定データだけが参照される形にします。
まずやること:社外向けは共有リンクやフォームなど別導線を用意し、ログイン前提を減らします。
Excelが残る話は、議論が散らかりやすいです。
そこで、原因を次の3つに分けて考えると、話が進みやすくなります。
| 分類 | 典型例 | 見直しの方向 |
|---|---|---|
| 機能の不足 | 項目が足りない、例外フローがない、出力が弱い | 補助機能を足す/周辺を小さく作る |
| 運用設計の不足 | 権限が曖昧、入力ルールが決まらない、周知がない | ルールと窓口を決める/手順化する |
| 関係者の広さ | 社外・現場・協力会社が入る、部署横断で見せたい | ログイン前提を見直す/共有方法を設計する |
特に3つ目は見落とされがちです。
「社内の誰が見るか」「社外の誰が関わるか」まで考えないと、運用側で帳尻を合わせることになります。
「Excelをなくしたい」の気持ちは自然ですが、いきなり禁止すると別のところで詰まります。
現場で無理が出やすくなります。
そこで、次の順番で整えると進めやすいです。
まず、どの情報が“正”なのかを決めます。
本体なのか、台帳なのか。ここが曖昧だと、更新漏れが必ず起きます。
「入力が二重」「例外が多い」「出力が足りない」など、
残っている理由をひとつずつ切り分けます。
すべてを入れ替えるのではなく、困っている箇所だけを補います。
例:一覧・履歴・ステータス表示、出力、周辺の受付画面など。
権限、入力ルール、問い合わせ窓口、更新頻度などを決め、
“戻りたくなる理由”を先に減らしてから移行します。
ここまでを踏まえて、社内で判断しやすいようにチェック項目をまとめます。
Yesが多いほど、Excelが残りやすい側に寄っています。
| チェック | Yesの場合に起きやすいこと |
|---|---|
| 入力が二重になっている | 「速い方」が残り、本体が形骸化しやすい |
| 例外が多い/増え続ける | 例外台帳が増え、全体像が分断されやすい |
| 会議・報告の加工が毎回必要 | 出力Excelが固定化し、“正”が揺れやすい |
| 社外が関わる | ログイン前提が難しく、ファイル共有が残りやすい |
| 権限や責任範囲が曖昧 | 更新漏れの責任が曖昧になり、別管理が増えやすい |
「SaaSは残す」「周辺だけ整える」「ログイン前提を見直す」など、途中段階でも問題ありません。
いまの運用を崩さずに、どこから直すと効果が出やすいかを一緒に整理します。